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<p>容疑者、脳に損傷 刑事責任の追及に壁 大阪・北新地ビル火災</p><p>容疑者、脳に損傷 刑事責任の追及に壁 大阪・北新地ビル火災 心肺停止状態から蘇生(そせい)したものの、火災による一酸化炭素(CO)中毒や心肺停止の影響で脳に重度の損傷を受け、危険な状態とみられる。</p><p>大阪市北区曽根崎新地のビル4階で起きた放火殺人事件で、放火や殺人の疑いが持たれている谷本盛雄容疑者(61)は依然、意識不明の重体となっている。心肺停止状態から蘇…</p><p>大阪市北区曽根崎新地のビル4階で起きた放火殺人事件で、放火や殺人の疑いが持たれている谷本盛雄容疑者(61)は依然、意識不明の重体となっている。心肺停止状態から蘇生(そせい)したものの、火災による一酸化炭素(CO)中毒や心肺停止の影響で脳に重度の損傷を受け、危険な状態とみられる。意識が回復しても記憶に障害が残って事情を聴けない可能性もあり、刑事責任追及のハードルは極めて高い。 事件は17日午前10時20分ごろ、ビル4階のクリニックで発生。消防の到着時、被害者26人が奥の診察室側で倒れているのが見つかったのに対し、谷本容疑者は出入り口側で発見された。4階から最初に搬送されたとみられ、CO中毒の症状があり心肺停止状態だったが、搬送先の病院で蘇生した。一方で被害者は26人のうち25人が亡くなった。 関係者によると、谷本容疑者は自発呼吸を取り戻したが意識はない。やけどの範囲は顔など限定的だが、心肺停止の間に酸素が脳に供給されず損傷を受ける低酸素脳症と診断された。症状が悪化し脳の損傷が広がると、呼吸や心拍をつかさどる脳幹の働きが阻害され、再び心肺停止になる恐れがあるという。 火災被害者の治療に詳しい鳥取大病院救命救急センターの上田敬博教授(50)は「低酸素脳症で再び自発呼吸が止まった場合、蘇生させることは不可能に近い」と指摘する。 上田教授は令和元年7月に36人が犠牲となった京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などで起訴された青葉真司被告(43)の主治医を担当した。 上田教授によると、青葉被告は全身にやけどを負って一時意識不明だったが、現場から逃げたためCO中毒からは免れていた。その後、意識が回復し、発生10カ月後に京都府警に逮捕された。一時心肺停止に至った谷本容疑者の場合は、意識が戻っても低酸素脳症の影響で記憶障害などが出る恐れがあり「事件について何も覚えていない可能性もある」とする。 谷本容疑者の容体は予断を許さない状況が続く一方、大阪府警は谷本容疑者の居住先から犯行計画とみられるメモなどを発見。クリニック内の防犯カメラには、谷本容疑者が逃げようとする被害者に体当たりし、避難を妨害する様子も写っていた。 捜査関係者は「確固たる殺意を示す証拠が数多くある」としながらも、「谷本容疑者の意識が戻ったとしても、会話ができ、事件当時の記憶を呼び起こせるまでに回復しなければ逮捕や起訴は難しい。刑事責任を追及するためのハードルは高い」としている。 特集・連載:</p>