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 2020年にこの世を去ったザ・ドリフターズのメンバー・志村けんさんの半生を描いたドラマ『志村けんとドリフの大爆笑物語』(フジテレビ系)が12月27日に放送される。そこでドリフメンバーの高木ブー(88才)、仲本工事(80才)と、高木役を演じた加治将樹(33才)、仲本役を演じた松本岳(28才)による座談会の様子をお届け。NEWSポストセブンで報じた全3回の対談企画の“延長戦”を公開する。

【写真11枚】遠藤憲一がいかりや長介、勝地涼が加藤茶を演じるドリフのおなじみオープニングシーン他

 今回は志村さんが正規メンバーに抜擢されたときの意外な反応を明かす。《延長戦全3回中1回》

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松本岳(以下、松):ドリフの皆さんは営業で全国を巡られたそうですが、地方で飲みに行く時は“全員集合”だったんですか?

高木ブー(以下、高):年齢も違うし、それはなかったな。

仲本工事(以下、仲):ぼくは下戸だし。だけど地元のかたが食事を招待してくれた時には全員集合していたよ。

高:一緒に行ったね。ぼくは飲んべえじゃないけど、ドリフの頃は飲んでいた。

仲:姿が見えなくなって“あれっ、ブーたん、どこ行った!?”とみんなで探したら、椅子の下で寝ていたことがあったよな。

高:北海道でね(笑い)。4〜5回、ベロベロなっちゃってわからなくなったことがあった。まぁ、ベロベロに酔っても寝ちゃうだけなんだけどさ。

仲:仕事が終わって夜中の2時、3時になることもあったもんなぁ……。食事会でみんなが揃っても、終われば散り散りになっちゃう。まずね、荒井(注)さんがいなくなっちゃうの。

高:荒井さんはキャバレーだったね。付いていくと面白いんだよ。キャバレーにはたくさんテーブルが並んでいるじゃない? 隣に座って飲んでいたと思ったら、“やぁ、◯◯さん!”なんて言いながら、いつのまにか別のテーブルでにこにこ飲んでいるの。
加治将樹(以下、加):荒井さんは地方でも顔が広かったんですね。

高:違うんだよ、全然知らない人と(笑い)。キャバレーで居合わせた初対面のお客さんたちと騒いでるの。

加:付いていくと面白いというのは、そういうことでしたか(笑い)。その荒井さんが1974年にメンバーから抜けられて。

仲:いかりや(長介)さんは荒井さんが抜けるとなって随分考えたと思うよ。

高:ぼくは案外、平気だったな。

仲:まぁ、加藤(茶)も含めて、ぼくたちのポジションは変わらないからね。

松:とはいえ、荒井さんが抜けられるとなったら、そのポジションはどうするのかという話にはなりますよね。

高:そうだね。長さんが舞台の真ん中で「全員集合ー!」と呼びかけて両側からぼくらが2人ずつ出てくる時に、片っぽだけ1人じゃ、しょうがないだろって。

加・松:そうかぁ〜!(しみじみと)ドラマでは志村(けん)さんがいかりやさんへ弟子入りを志願する場面も描かれるんですが、それまでボーヤ(付き人)だった志村さんが正式メンバーになると決まった時はどんな感じだったんですか?

高:志村か、って。

仲:志村でもいいし、誰でもいいんだよ。ドリフのチームにうまく入る人が大切なわけでさ。

高:じゃあ、志村を入れた5人でまた頑張ろうなって。

加:ぼくらも志村さんを迎えた5人のチームワークとして、『8時だョ!全員集合』時代のネタ会議や楽屋の様子を撮りました。待ち時間の過ごし方にも個性があって面白かったんですが、ドリフさんの中で楽屋からいちばん早く帰られるのはどなたですか?

松:あーっ、ぼくもそこ気になる!

高:3人は早かったな。で、ぼくと長さんが最後。

仲:ぼくら3人はさっさ、さっさと着替えて”おつかれさーん!”って。

高:独身と所帯持ちの違いだよ。

仲:ブーたんは支度が遅いんだって。あと、楽屋の後始末をしてくれるから。最後まで残って、誰かが何か忘れ物をしていないか見てくれる。ブーたんに“ねぇ、あれ忘れてなかった?“と聞けば、たいてい持っていてくれた。たださ、見つけてもすぐ言ってくれないんだよな(笑い)。

高:へへへ。

加・松:あははは!

仲:忘れ物だけじゃなく、“〇〇持ってない?”なんて聞くと、”はいよ“って、大きなかばんからパッと出てきたし。

加:黒いトートバッグですね! ドラマでも出てきます。外側にポケットがたくさんあって、荷物がAからFに仕分けられていました。

高:たとえばAのポケットには爪切り、Bのポケットには綿棒……といった具合に分けて、誰かに爪切りがほしいと言われたら“Aのポケットだよ”と差し出す。近所のかばんやさんに特注して作ってもらって、ずっと持って歩いていたんだ。

加:かばんの仕様は劇中でも忠実に再現してありました。

松:特注のかばんまで作られていたとは。必需品を管理して、4人が帰られたら忘れ物の見回りをされるのが高木さんのご担当だったんですね。

高:加藤の担当は衣装係。ドリフのコントで使う衣装はみんな加トちゃんがデザインしたんだよ。

加・松:へぇ〜!

仲:ぼくの担当は見ているだけ。志村といかりやさんは文句を言うだけね(笑い)。

【プロフィール】
高木ブー(たかぎ・ぶー)/現在のザ・ドリフターズのメンバーの中では最年長。ウクレレ奏者としても知られており、先日、「日本武道館に出演した最高齢アーティスト」の記録を更新した。

仲本工事(なかもと・こうじ)/ドリフターズメンバー随一の運動神経を持ち、体操コントではバク転が名物に。現在、東京・目黒で居酒屋『仲本家』を経営中。

加治将樹(かじ・まさき)/大きな身体とコミカルな芝居を武器にドラマ、舞台で活躍中。日本テレビ系ドラマ『二月の勝者−絶対合格の教室−』に出演中。1月28日からは舞台『マーキュリーファー Mercury Fur』の出演を控える。

松本岳(まつもと・がく)/月曜ミステリーシアター『名もなき毒』でデビュー。スーパー戦隊シリーズ「手裏剣戦隊ニンニンジャー」ではアオニンジャー役を好演。以降も話題作で活躍中。

◆志村けんさんの半生を描いたフジテレビ系ドラマ『志村けんとドリフの大爆笑物語』が12月27日に放送される。志村けん役を山田裕貴が演じるほか、いかりや長介役を遠藤憲一、加藤茶役を勝地涼、高木ブー役を加治将樹、仲本工事役を松本岳が演じる。ザ・ドリフターズのメンバーに取材を重ねて完成したファン待望の一作となっている。

取材・文/渡部美也 撮影/中村功 写真提供/フジテレビ

志村けんさんがリーダー・いかりや長介さんに弟子入りを志願するシーン。訪ねたが留守だったため、いかりやさんが帰ってくるまで雪の中で数時間待ち続けた(写真/フジテレビ提供)

毎週木曜午後3時から始まるネタ会議は翌朝になることもあったという。爆笑の渦を生み出すための会議も忠実に再現(写真/フジテレビ提供)