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日本では、2021年10月1日からSIMロックが原則廃止されました。海外に目を向けると、SIMロックの適用や規制は国によって異なるようですが、ドイツでは以前からSIMフリーが一般的。1つのキャリアに縛られず、自分の携帯電話の使用状況に合わせてプランを探せるのは、節約好きなドイツ人の国民性にピッタリですが、実際には、どのような料金プランがあるのでしょうか?

 

スーパー独自のプリペが安い

↑スマホの契約はシンプルに

 

ドイツでは、携帯電話料金のプランは「契約」と「プリペイド」に分けられ、日本と異なり、プリペイド式携帯の使用率が高いことが特徴です。ある調査によると、2020年時点で携帯電話会社との契約の割合が75.9%、プリペイドの使用が24.1%とのこと。日本でプリペイド式は普及していませんが、ドイツではプリペイドカードがリーズナブルなうえ、スーパーなどで手軽に購入できます。

 

ドイツでもSIMロックのスマートフォンは販売されており、2年契約の縛りがありますが、プリペイドの利点は自分が必要なときに必要な分だけカードを購入することができること。Wi-Fiが普及した今日、SIMフリーの携帯電話が一般的に使われているドイツでは、プリペイド式のほうがお得になることがあります。

 

ドイツでは、携帯プリペイドカードが至るところで購入可能。携帯ショップや家電量販店ではもちろん、スーパーやドラックストア、郵便局、キオスク(コンビニ)などでも簡単に購入することができます。MVNO(仮想移動体通信事業者)が提供する格安SIMプリペイドについては、大手スーパーなどが自社ブランドのカードを販売していることが注目すべき点。各スーパーが価格やスペックを競い合っており、店内の冷蔵コーナーの横などにプリペイドカードが陳列されているのは、日本ではほとんど見ない光景です。

 

ドイツの大手携帯電話事業者は、ドイツ・テレコム、ボーダフォン、オーツーの3社で、日本のNTTドコモやソフトバンク、auにあたります。大手キャリアでは携帯電話契約プランとプリペイドプランの両方が販売されている一方、それ以外では格安SIM料金が特徴のMVNOがプリペイドプランで人気を集めています。

 

ドイツの携帯契約料金形態は、基本的に「通話し放題」と「インターネット通信容量」によって価格が変わります。この点はプリペイドプランでも同様。例として、大手ドイツ・テレコムと、ドイツ国内スーパーのカウフランドが提供する格安SIMの料金プランを挙げてみます(1ユーロ=約133円で換算〔2021年10月21日時点〕)。

 

ドイツ・テレコムの場合

契約プラン

6GB 12GB 24GB
39.95ユーロ

(約5300円)

49.95ユーロ

(約6630円)

59.95ユーロ

(約7960円)

 

プリペイドプラン

2GB 3GB 5GB
9.95ユーロ

(約1320円)

14.95ユーロ

(約1985円)

24.95ユーロ

(約3310円)

(出典:ドイツ・テレコムサイト)

 

カウフランドの格安SIMの場合

プリペイドプランのみ

3GB 6GB 12GB
7.99ユーロ

(約1060円)

12.99ユーロ

(約1725円)

19.99ユーロ※

(約2650円)

※利用データ量が12GBを超えた場合、請求月末まで通信速度が低速化する

 

プリペイドがお得なユーザーは?

↑ドイツのスーパーでは、さまざまなプリペイドカードが陳列されている

 

上記の料金一例を見ると、データ容量の少ないプランの場合、月々の料金はプリペイドのほうが割安になることがわかります。どのようなタイプのユーザーにプリペイドが好まれるのかといえば、ドイツでは次の2つが挙げられます。

 

・ビジネス用の携帯とは別にプライベートで携帯を使用する場合
・在宅ワークやWi-Fi環境にいることが多い場合

 

一般的にプリペイドにも無制限の通話が付帯されているので、インターネットをあまり使用しなければ、費用とデータ量が少ないプリペイドで十分といえます。出張や外出が少ないユーザーの場合、自宅のWi-Fiを使えば、プリペイドの制限を気にすることなく、スマートフォンを使用できるでしょう。

 

ドイツで携帯電話を新規購入する人や現在の契約から変更しようとする人は、何を基準にプリペイドを選ぶのでしょうか? プリペイドのメリットとデメリットを挙げてみます。

 

【プリペイドのメリット】
・月々のインターネット料金を節約できる

・年間契約がない

・子どもに持たせる携帯電話の使用を制限できる

 

【プリペイドのデメリット】
・事前払いでしか購入できない

・翌月分のチャージを忘れてしまいがち(一般的にプリペイドはチャージ式です)

・海外での通話料金(EU圏外の場合)やローミングが高い(契約プランの場合、海外でもEU圏内同様に使用できるオプションがある)

 

3つ目のデメリットで「海外での通話料金」を「EU圏外の場合」と補足していますが、そこにはヨーロッパならではの理由があります。

 

EU圏内ならローミング料金が不要

2017年6月、EU圏内であれば、ローミング料金を追加することなく携帯電話を使うことができるようになりました。この法案はプリペイドにも適用されており、ヨーロッパの通信事情に大きな変化をもたらしました。

 

他国と陸続きで隣り合わせのヨーロッパでは、旅行や仕事ではもちろん、国境近くに住んでいる人の中には、隣国にちょっと買い物に出かけたり、学校に通ったりしている人がいます。しかし、ローミングがオンのままになっていることに気づかずに、自国以外で携帯電話を使用してしまうと、帰国後に多額の料金を請求されてしまうことがありました。これが2017年の法案によって廃止されたうえ、EU圏外でも料金を気にすることなく使用できるようになったのです。

 

もともとこの法案では、ローミング料金が2022年までに段階的に引き下げられる計画でしたが、2021年2月、EUはさらに10年間延長する意向を発表。この制度はさらなる改善が期待されていますが、ドイツ人を含め、EU圏内を行き来する人にとっては目の離せないテーマです。

 

日本と異なり、プリペイドプランが普及しているドイツ。EU圏内だけでなく圏外でもローミング料金がかからなくなるなど、スマートフォンの使用料金は今後さらに節約できそうです。