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【ソウル=桜井紀雄】韓国では、朝鮮戦争での中国人民志願軍の活躍を美化した中国映画への拒否感が強い。

 9月には、中国兵の活躍を描いた「長津湖」と同種の中国映画が市民団体などの強い反発に遭って配給中止に追い込まれた。

韓国で物議を醸したのは、1953年の中国側と米軍などとの激戦を描いた「1953金城(クムソン)大戦闘」(原題「金剛川」、邦題「バトル・オブ・ザ・リバー 金剛川決戦」)。韓国での上映を前に、予備役軍人の団体などが「中国や北朝鮮の視点から描いた政治宣伝物だ」と上映許可の取り消しを要求。映画輸入会社が契約撤回を表明し、国民に謝罪した。

中国で韓流ドラマや韓国人歌手が人気を集めた裏で、キムチやチマ・チョゴリといった韓国文化に関し「中国発祥」とする見方が横行していることへの韓国側の不満も高まっている。

昨年10月には、世界的人気の韓国男性グループ「BTS(防弾少年団)」が朝鮮戦争での米韓の連帯に触れた発言を中国のネットユーザーが攻撃し、韓国人ファンの強い反感を買った。

最近発表された日韓共同での世論調査によると、韓国で中国への印象が良くないとの回答は前年より15%近く上昇して約74%に上り、日本への否定的印象(約63%)を上回った。

一方、北朝鮮は「最近、中国で朝中が米国の侵略に打ち勝った戦争の映画が多く作られ、大人気となっている」と外務省ホームページで好意的に伝えている。