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世界一の人口増加率と高い経済成長率を有するアフリカ大陸へのビジネス展開は、日本のみならず世界各国の企業が検討しています。最先端のテクノロジーを駆使した医療や通信、金融などのサービスが同大陸で続々と展開されていますが、それは農業分野においても同じです。

英国王立工学アカデミーのAfrica Prize for Engineering Innovationを初受賞した『KubeKo』(画像提供/LONOのFacebook)

 

2021年7月に英国王立工学アカデミーから「Africa Prize for Engineering Innovation」を初受賞した化学エンジニアのノエル・ヌグッサン(Noel N’guessan)氏は、コートジボワールを拠点とする化学エンジニアで、スタートアップ企業「LONO」の共同創業者です。同アカデミーは毎年、英国で最も優れたエンジニアを表彰している権威ある団体で、最終選考に残るまでに数多くの厳しい審査を通過しなければなりませんが、今年この栄誉に輝いたのは、ヌグッサン氏が開発した、有機性廃棄物や生物学的廃棄物を堆肥や調理用ガスに変える「KubeKo」でした。

※1ポンド=約154円換算(2021年11月25日時点)

 

アフリカの農業廃棄物は、販売される農作物の約2~5倍の量になると言われており、コートジボワールでは年間約3000万トンの廃棄物が生み出されます。KubeKoによる廃棄物の再利用は、副収入をもたらすことで農家の生活を劇的に改善する力を秘めているうえ、地域の持続可能性を高め、地球環境に貢献するなど数多くのメリットを有していると評価されています。

 

LONO社で販売されているKubeKoコンポストは、有機性廃棄物を約4週間で堆肥に変え、400kgの有機廃棄物から約150㎏の堆肥を得ることが可能。また、KubeKoバイオガスは、生物学的廃棄物から調理用ガスと液体堆肥を生み出します。1日あたり5kgの廃棄物が約2時間の調理を可能にし、さらに液体堆肥も得ることができます。

 

現地の人々を苦しめていた大量の廃棄物が、生活の向上や収益に貢献するものに変化したことで、大きな感動と喜びを生み出したことは想像に難くありません。

 

グローバル展開に不可欠なサステナビリティ

KubeKoの受賞が示しているように、グローバルに評価されるビジネスモデルを生み出すためには、現地ニーズに即した商品やサービス展開を実施するだけではなく、地域環境や持続可能性を考慮することが必須といえるでしょう。

 

現在でも日本のものづくりは世界中から高い評価を得ており、製造業に携わる人であれば、現地ニーズを詳細に把握することで新たな商機を得られる可能性が高まります。幸い日本には、開発途上国に向けた調査やビジネス支援を専門的に展開している民間企業が存在しており、場合によっては政府系機関のバックアップを見込めることもあるでしょう。高い技術力を持つ企業が、現地のニーズを知る企業と手を組めば、暗闇を照らすサーチライトを手に入れたも同然。日本企業もKubeKoのようなイノベーションを生み出せるはずです。