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毎年、正月過ぎにニュースで耳にする「春節」は、いつからなのか知っていますか? 「春節」とは、中国・中国圏の旧暦の旧正月のことで、アジア圏では常識とされる伝統行事です。「春節」は、日本にはあまり馴染みがありませんが、お年玉など、日本と似た風習もあるのです。ここでは「春節」の意味や、主な過ごし方などについて紹介していきます。

【目次】
・中国や台湾などの大型連休「春節」とは?
・「春節」の期間
・「春節」の過ごし方とは?
・やったら良くないこと・良いこととは?
・「春節」には、日本に旅行に来る人も多い
・最後に

中国や台湾などの大型連休「春節」とは?

毎年、1月後半から2月上旬頃になると、「今年も中国で、春節の休暇が始まりました」というニュースを耳にすることはありませんか? 日本ではあまり馴染みがありませんが、「春節」はアジア地域の代表的な国民の休日です。アジアでは一般的な習慣であるため、この機会に知識として覚えてみましょう。

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「春節」の意味

「春節」とは、中国・中国圏の旧暦の正月(旧正月)です。日本では、新暦の1月1日を年明けの正月として祝う習慣がありますが、多くのアジア圏では、旧暦の1月1日を年明けとしています。「春節」という言葉は、中国語の「正月初一(古代における元旦)」を表します。英語では「Spring festival」「Chinese New Year」などと言われています。

「春節」は中国以外にも、大韓民国、シンガポール、モンゴル、マレーシア、ベトナム、インドネシアなどの国々でも行われています。

「春節」はいつごろからあるのか?

「春節」の歴史は古く、中国古代の商時代(紀元前1600年)頃、年末年始に行われた、神様や先祖への祭祀、豊作を祈る行事に由来するといわれています。

「春節」の期間

「春節」は中国の旧暦に基づいているため、毎年日にちが異なります。現在の暦でいうと、毎年1月の下旬か2月の上旬から休暇が始まります。期間は1週間程度、学校や仕事が休みになります。

そもそも「旧暦」とは、月の満ち欠けを基準にした暦「太陰太陽暦」のことで、古くからアジア圏で使われてきました。日本でも、明治維新のころに西洋由来の「太陽暦」を導入するまでは、長い間「太陰太陽暦」が使用されていました。現在では日本以外にも、「太陽暦」を採用する国は多いですが、旧正月を大切にする文化は続いています。

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「春節」の過ごし方とは?

日本では、正月にはおせち料理を食べたり、初詣に行くなどの伝統行事がありますよね。他の国では、正月はどのような過ごし方をしているのでしょうか? 詳しくみていきましょう。

中国の「春節」の挨拶

日本におけるお正月の挨拶に「あけましておめでとう」という言葉がありますよね。中国にも同じように新年の定番の挨拶があります。

・「新年快楽」(新年あけましておめでとう)
・「恭喜発財」(金運に恵まれますように)
・「大吉大利」(大きな良いことがありますように)
・「万事如意」(すべてのことが順調に進みますように)
・「心想事成」(願いが叶いますように)

中国の「春節」の風習

中国では「春節」が近づくと、街の道路や建物、家のあちらこちらに赤い提灯が飾りつけられます。家には、赤色の紙に縁起のいい言葉が書かれた「春聯(しゅんれん)」を貼ります。

また、正月前に家の中を隅々まで掃除します。部屋の隅から中央に向かって掃除をして、裏口から悪いものを捨てるのです。元旦になると、新たな幸運を出してしまわないように、掃除用具には手を触れてはいけないとされています。

中国にも日本と同じように、正月にお年玉をあげる習慣があります。中国のお年玉は「紅包」と呼ばれており、文字通り赤い紙で包まれています。

中国では、魔除として爆竹を鳴らす風習があります。爆竹の音と煙で「年(にえん)」という怪物を怖がらせ、家に近づけないようにするのです。「春節」の期間の振る舞いは、1年にわたり影響を及ぼすとされているため、なるべく怒らず、穏やかに過ごしているそうです。

「春節」の食事

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中国の大晦日の夕食は「団欒飯」と呼ばれ、一年で重要な食事とされています。地域によって違いがありますが、餃子や春巻き、あんの入った団子、魚料理、正月餅などが食卓に並びます。

大晦日の夕食といえば、魚料理。魚は、中国語で「余」と同じ発音であることから、「余裕がある」という意味をもつといいます。そのため、大晦日の日に魚を食べながら、「余裕のある日々が過ごせますように」と願いを込めるそうです。魚の種類や盛り付け方によっても意味が異なり、「魚の頭は、年長の方や、特別なお客様へ向ける」などの慣しがあります。

そして、中国北部の旧正月に欠かせないのが「餃子」。大晦日の夜に作り、子の刻(23時から1時頃)に食べるのが伝統とされています。餃子は昔のお金に似ていることから「富」をもたらすとされ、新年がさらに繁栄することを祈りながら食べます。

大晦日の日に、家族団欒で餃子を作ることも伝統です。「春節」では、普段は都市部で働く若者も、実家に帰省して、家族揃って過ごすのが一般的とされています。

やったら良くないこと・良いこととは?

やったら良くないこととしては、「幸運を逃してしまうため、旧暦の1日に、髪の毛を洗ったり、掃除をしてはいけない」「不吉なことを口にすること」「不吉な言葉、色、数字にまつわる贈り物をしてはいけない」ことなどがあります。

反対に、やって良いことは「赤い下着を身につける=不幸や災難を防ぐとされる」「たくさんの赤い爆竹と花火に火をつける=悪を払うこと」などがあります。日本においても、赤い下着を身につけることで魔を払う習慣があるため、よく似ていますね。

「春節」には、日本に旅行に来る人も多い

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かつては、春節期間中は新年の挨拶をする以外に、外出をすることは控えるのが一般的でした。しかし、現在では家族の価値観も大きく変わり、春節休暇を利用して旅行を楽しむ人が増えています。

近年では連休を利用して、日本に旅行で訪れる中国人観光客もたくさんいます。冬の日本で、スキーなどのウィンタースポーツをしたり、温泉を楽しみたいという人も増えているそう。また、海外でも人気のある日本のアニメグッズを買いに来たり、アニメや映画の舞台となった場所に足を運ぶ人も多いです。また、日本は比較的治安もいいため、安全性の高さも人気の理由といえるでしょう。

また、日本以外の旅行先としては、アジア圏ではタイ、シンガポール、ベトナム。長距離旅行先としては、アメリカ、イタリア、ニュージーランド、イギリスなどが人気のようです。

最後に

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今回は、「春節」の意味や主な過ごし方、日本への旅行について紹介しました。お年玉などの日本と似た風習も見られ興味深いですね。「春節」は、日本にはあまり馴染みがありませんが、アジア圏では常識とされる伝統行事です。この機会に、海外の文化について理解を深めてみてはいかがでしょうか。

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