広島への原爆投下直後に降った「黒い雨」を巡る訴訟で、一審に続き原告全員を被爆者と認めた広島高裁判決を受け、菅義偉首相は26日、上告を断念すると明らかにした。上告期限は28日だった。今年8月で終戦から76年。黒い雨に遭った原告らの高齢化が進む中、救済へ道が開けた。
菅首相は官邸で、原告全員に直ちに被爆者健康手帳を交付する方針を表明。上告見送りの理由について「多くの方が高齢者で、病気の方もいる。速やかに救済すべきだと考えた」「広島県、広島市としっかり連携する」と記者団に述べ、上川陽子法相と田村憲久厚生労働相に必要な指示を出したと明らかにした。