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スマホを日常的に使う時間が長くなってしまい、肩こり・目の疲れなど体調にも影響している方は多いのではないでしょうか。
デジタルウェルビーイングという言葉をご存知でしょうか? 簡単に言うと「適切にデジタルテクノロジーに接し、社会的・身体的・精神的に健康的な状態」のこと。
GoogleはAndroidOS 9 pieから「Digital Wellbeing」設定機能を導入。AppleもiOS12から「スクリーンタイム」機能、iOS15から「集中モード」を搭載するなど、ユーザーのデジタルウェルビーイング対策を取っており、注目度の高さが伺えます。
スマートフォンはいまや1人1台が当たり前の時代となり、SNSや動画サービスなどに夢中の方も多いと思います。
この記事ではデジタルウェルビーイングについての説明と、デジタル機器との適度な距離を保つための方法を紹介します。

ライター:荒井 啓仁(編集:株式会社TOGL)

デジタルウェルビーイングとは。デジタル社会での「適切な在り方」

ウェルビーイングとは「身体的にも、精神的にも、そして社会的にも『よい状態』のこと」(『わたしたちのウェルビーイングをつくりあうために その思想、実践、技術』ビー・エヌ・エヌ新社より)。

2015年に国連で採択された「SDGs:2030年までの持続可能な開発目標」でもウェルビーイングは重要な達成目標の一つになっています。

転じてデジタルウェルビーイングとは「デジタル機器やテクノロジーと適切な距離を保ち、ウェルビーイングであること」を指します。

GoogleやAppleも重視するデジタルウェルビーイング

デジタルウェルビーイング

デジタル機器やインターネットの発達によって私たちの生活はより便利になりました。
一方で「スマホ依存」や「SNS疲れ」などデジタル機器の過度な利用は、肉体的・精神的に悪影響を及ぼすことも。
長時間のスマホの使用はドライアイやストレートネック、睡眠へ影響することがあります。またアメリカ精神医学会(APA)が約3500人に対して行った調査では、スマホを頻繁に取り出す人ほどストレスを多く抱えていたことが分かりました。

参考:APA:Stress in America: Coping With Change 2016
APA:Stress in America: Coping With Change 2017

eo健康:スマホの使いすぎで肩こり、頭痛、吐き気まで!? 急増する「スマートフォン症候群」
目がかすむ原因はドライアイ?目の病気?対処法を解説【眼科医監修】

そこでGoogleは2019年からAndroid端末にデジタルウェルビーイング機能を必須化。前述したようにAppleもiOS端末で「スクリーンタイム」や「集中モード」を搭載し始めました。両社ともそれぞれの開発会議「Google I/O」「WDCC」でデジタルウェルビーイングをOSの設計思想の根本に入れる考えを示しています。

スマホでデジタルウェルビーイングを保つための設定

iPhoneやデジタルウェルビーイングの機能は、お手持ちのスマホで簡単に設定することができます。iOS/Android別にご紹介します。

iPhone(iOS)は「スクリーンタイム」「休止時間」「集中モード」

設定

iPhone(iOS)の「スクリーンタイム」では、アプリやWebサイトの利用状況の確認や制限ができます。
iOS12以降がインストールされたiPhone(iOSデバイス)なら誰でも利用可能です。

自分が日々どれだけ端末やアプリを利用しているか把握したい場合は、「設定」アプリを開き「スクリーンタイム」を開きます。
スクリーンタイムがオフになっている場合は「スクリーンタイムをオンにする」ボタンを押し、スクリーンタイムを有効にしましょう。

スクリーンタイム

グラフをタップするとiPhoneとアプリの利用時間、iPhoneを手にとった回数、届いた通知の数まで確認できます。

自制するのが難しい、という方は他の機能も使ってみましょう。
iPhoneを使用できない時間を設定したい場合は「休止時間」。

ついつい覗いてしまうSNSやゲームだけを制限したいが、iPhoneが使えなくなると困る、という場合は「Appの使用時間の制限」がおすすめです。

休止時間

「休止時間」をオンにすると、操作した時間から日をまたぐまでiPhoneを休止できます。
スケジュールボタンをオンにすれば、時間帯の指定や曜日ごとの細かい設定も可能です。
アルバイトの時間や、自分で勉強する時間を決めている、という場合は「休止時間」を使いましょう。

App使用時間の制限

「App使用時間の制限」では、アプリのカテゴリーや特定のアプリ、特定のWebサイトへの接続を制限できます。
制限したいアプリやカテゴリーを選択し、一日あたりの接続時間を設定。
こちらも曜日ごとに細く設定ができるので、生活のサイクルに合わせて設定可能です。

デジタルウェルビーイングを意識した新機能「集中モード」

集中モード

「集中モード」はiOS 15から追加された、よりデジタルウェルビーイングを意識した機能。
集中したいモードによってアプリごとの通知が設定できたり、通話着信を許可したりと、「スクリーンタイム」や「休止モード」より細かい設定が可能です。

iPhoneの「設定>集中モード」を選べば、用途ごとに設定できます。
集中モードを新しく作る場合は右上の「+」ボタンを押しましょう。
「ゲーム」や「フィットネス」など、名前のついている項目は「集中モードに入る条件も設定可能です。
作った集中モードはコントロールセンターからもオンにできます。

Androidは「Degital Wellbeing」

Android 9 Pie以降のスマートフォンを利用の場合、その名も「Degital Wellbeing」というアプリでスマホやアプリの使用状況を管理できます。
一部機種によっては、あらかじめダウンロードされてない場合もあるので、ホーム画面で見当たらない場合はGoogle Playからダウンロードしましょう。

「Degital Wellbeing」のトップにはダッシュボードがあり、タップするとスマートフォンを見ている時間、ロックを解除した回数、届いた通知の数が見れます。
グラフをタップすると一日のうちにどういったアプリを利用してるか確認できます。

特定のアプリを利用する時間を制限することも可能。
アプリ名の横に表示された砂時計のマークをタップし、アプリタイマーの時間を入力すれば設定完了です。

パソコンではサイトブロックを活用

仕事中にどうしてもSNSをチェックしてしまうという方も多いのではないでしょうか?
パソコンをよく利用する場合は、サイトブロック機能を使うのもおすすめです。
サイトブロックとは、特定のWebサイトへのアクセスをブロックする拡張機能。
時間の指定が可能なものや、不快なサイトを表示したくない場合にも利用できます。

・関連記事:見たくないサイトをブロック!Google Chrome等ブラウザの機能・設定

デジタルデトックスのススメ

デジタルデトックス

スマホやパソコンなどデジタル機器やインターネットと物理的に距離を置くことでストレス・疲労の軽減(排出)を目指す「デジタルデトックス」も試してみましょう。

例えばデジタルデトックス用のプランを提供している施設への宿泊や、電波の届かない山中へのキャンプがあります。
「スマホを手放さざるを得ない状況」に身を置くことで、強引ですがデジタルデトックスの足がかりを作れます。

旅行や遠出が難しい場合「禁欲ボックス」とも呼ばれる、「タイムロッキングコンテナ」を利用するのも一つの手です。
「タイムロッキングコンテナ」とは、タイマー付きの小さな箱で自身で設定した時間が経過しないと開けられません。
やや強引な方法ですが、設定を変えるだけではスマホを手放せないという方にはおすすめです。

こちらの記事では編集部のライターが試してみたデジタルデトックスの方法を紹介しています。ぜひご覧ください。

・関連記事:デジタルデトックスのやり方とは?SNS疲れ・眼の疲れを解消!

子供のデジタルウェルビーイングについて

デジタル機器依存は、年齢が低いほどより危険性が高まるといわれています。
友人とオンラインでゲームを遊んだり、メッセージアプリで連絡を取ったりと、子供にとってもいまや生活必需品になりつつあるデジタル機器。
トラブルに巻き込まれないよう見守ることに加え、お子さまのデジタルウェルビーイングを守るためにデジタル機器の管理や設定をすることも大切です。

各デジタル機器やアプリ等では保護者の方が機能を制限したり管理できたりする「ペアレンタルコントロール」が搭載されていることが多くあります。
ペアレンタルコントロールを適切に利用されることをおすすめします。

・関連記事:iPhoneで子供の利用アプリ・時間を制限。中3の子供と親の本音

まとめ 

現代の日常生活に欠かせないデジタル機器は便利で私たちの生活を豊かにする反面、利用しすぎると生活そのものの質が低下してしまう恐れも。
デジタルウェルビーイングを意識して、デジタル機器を適度に利用することが大切です。
まずは自分が日中どれだけデジタル機器を利用しているか確認し、意識を向けることから始めてみてはいかがでしょうか?