BMW対メルセデス プラグインハイブリッド対決
BMW3シリーズとメルセデスCクラスは果たしてどちらが優れているのか?3シリーズ対Cクラスの新旧対決、今回はプラグインハイブリッド。メルセデスC 300 eとBMW 330eの比較テスト。
今回比較するのは、メルセデスCクラスとBMW3シリーズの現行プラグインハイブリッド車で、その形と構成要素はよく似ている。
しかし、それぞれ4気筒のガソリンエンジン、電気モーター、バッテリーを搭載し、システム出力は約300馬力という部分は同じだが、実際にはもっと違っている。
例えば、BMWは電気航続距離を約50kmとしているが、メルセデスは約100kmとしており、大きくメルセデス・ベンツが航続距離を伸ばしている。
では、どちらが総合的によりスマートな選択だろうか。
BMW 3シリーズは、184馬力の2.0リッターと113馬力の電動モーターを兼ね備えている。そのバッテリーは12.0kWhを蓄えている。
8速オートマチックが搭載され、システム出力は292馬力。
今回は電気だけで45kmの距離を走破した。ガソリンエンジンが始動すると、荒々しい喉を鳴らすような音と振動に起こす。
車両データ | BMW 330e | メルセデス C 300 e |
エンジン | 4気筒ターボ+電動モーター | 4気筒ターボ+電動モーター |
排気量 | 1998cc | 1999cc |
システム最高出力 | 292PS | 313PS |
システム最大トルク | 420Nm | 550Nm |
駆動方式 | 後輪駆動、8速AT | 後輪駆動、9速AT |
タイヤ | ミシュランパイロットスポーツ、225/40-255/35 R 19 Y | ピレリPゼロ、225/45-245/40 R 18 Y |
最高速度 | 230km/h | 245km/h |
全長/全幅/全高 | 4709/1827/1435mm | 4751/1820/1437 mm |
車体重量 | 1828㎏ | 2071㎏ |
平均燃費 | 25km/ℓ | 20km/ℓ |
CO2排出量 | 37g/km | 13g/km |
基本価格 | 54,150ユーロ(約703万円) | 56,168ユーロ(約730万円) |
テスト車価格 | 60,380ユーロ(約784万円) | 62,136ユーロ(約807万円) |
ZF製8速オートマチックはいつも通り、きめ細かい反応と、スムーズなシフトチェンジを実現する。内燃機関と電動モーターの相互作用は、スムーズで控えめなものだ。
それでいて、この「3シリーズ」は、ハイブリッドであっても、普通のガソリンエンジンに近い、クラシックなドライバーズカーのようなフィーリングだ。
素早く正確な – 人によっては鋭すぎる – ステアリング、噛み付くようなブレーキ、強調された便利さと機敏さ。
メルセデスのプラグインハイブリッドはより調和がとれている
BMWは約1.8トン、メルセデスは約2.1トンという車重だ。
「Cクラス」の車重は、現行の「Sクラス」と同じくらいだ。
その理由のひとつは、25.4kWhというBMWの2倍以上あるバッテリーにある。
もちろん、日常生活においても、電気のみで走れる距離が増えるということで、まったく異なる可能性が生まれている。そして、もちろんハイブリッドシステムもより洗練されたものになっている。
メルセデスは、BMW(20kW)よりも明らかに強く、またより繊細に回復する(最大100kW以上)。
また、BMWでは選択できない回生の強さを、3段階で調整することが可能となっている。
性能データ | BMW 330e | メルセデス C 300 e |
0-50km/h加速 | 2.3秒 | 2.2秒 |
0-100km/h加速 | 5.8秒 | 6.0秒 |
0-130km/h加速 | 9.0秒 | 9.5秒 |
0-160km/h加速 | 13.6秒 | 14.0秒 |
0-200km/h加速 |
24.3秒 | 23.0秒 |
60~100km/h加速 | 2.9秒 | 3.2秒 |
80~120km/h加速 | 3.7秒 | 4.0秒 |
前後重量配分 | フロント47/リア53 | フロント45/リア55 |
ターニングサークル | 11.5m | 11.2m |
シート高 |
520mm |
525mm |
制動距離(100km/hから) |
33.7m 112.6 |
34.0m |
テスト時燃費(155km) | 12.6km/ℓ | 12.3km/ℓ |
純電動航続距離 | 45km | 90km |
「C 300 e」のブレーキ性能は、測定値では「330e」とほぼ同じだが、ブレーキフィーリングが弱く、電動ブレーキから機械ブレーキへの移行がうまくいっていない。
BMWと同様、ガソリンエンジンはエネルギッシュで回転数が高く、9速オートマチックは高速で慎重な走りをする。
その結果、重量の差はあるものの、両者は実質的に同程度の性能を持っている。
新型Cクラスが3シリーズに挑戦
両車の違いは、別のところにある。
メルセデスは、前述のように、重い車であり、そのように走るが、BMWは単純に足が軽いという印象だ。
リアアクスルにエアサスペンションとレベルコントロールを備えたシャーシ(もちろんそこにバッテリーがある)は、明らかに一種のソフトフォーカスを持っており、メルセデスは横方向のジョイント、マンホールの蓋、その他すべてをも優しく動かす。
それは、言ってみれば、むしろ運転することと、運転されることの違いだ。
テストの詳細は、以下、フォトギャラリーとともにどうぞ。
第2位 800点満点中566点: メルセデスC 300 e.
長い電動レンジで、BMWよりe-carに近い。快適で、最高の装備とマルチメディアを備えているが、より高価である。
第1位 800満点中568点: BMW 330e
よく訓練され、成熟している。現在、3シリーズは完成されている状態といえよう。3シリーズはよりアジリティにフォーカスされている。
結論:
BMWとメルセデスは僅差(たった2点差)で、しかも非常に高いレベルで、これほど多くのポイントが付与されることは稀だ。
メルセデスはより高度なハイブリッドシステムを搭載し、長い電動レンジを持つ
一方で、BMWは、よりドライバビリティの高い車である。
メルセデス・ベンツの「Cクラス」と「BMW 3シリーズ」を比較する鉄板企画、今回はプラグインハイブリッドの対決である。この手の企画の場合、たいていは後からフルモデルチェンジした車種が勝つことが定番で、そのことから考えればメルセデス・ベンツの勝ちになるのだが、買ったのはBMWのほうであった。
考えられることは、BMWのほうが熟成されていたことと、つまりメルセデス・ベンツの熟成不足、ということ、さらにどちらがドライバーズカーであったかという点なのではないかと思う。ややその面で「メルセデス・ベンツ Cクラス」が今回は不利だったようで、わずかの差で「3シリーズ」の勝ちになったのではないかな、というのが私の推測である。
それにしても日本ではあまり人気のないプラグインハイブリッドモデルであるが、ヨーロッパではどれくらいの人気なのか、ちょっと見えてこないところが多い。全体のラインナップの中で、プラグインハイブリッドとディーゼルエンジンと普通のガソリンモデル(さらにはEVモデルも)が、いったいどういう比率で売れている状況なのか、あまり明確に伝わってこないのである。
シンプルで安い普通の内燃機関のモデルよりも、はるかに高価で、複雑(つまりトラブルをかかえやすい)なプラグインハイブリッドが、本国ドイツでは大人気なのだろうか? どうもその部分がいつも気になってしまうのである。
Text: Dirk Branke und Berend Sanders
加筆: 大林晃平
Photo: autobild.de