もっと詳しく

Continental Shy Tech Display(2021): コンチネンタルは、必要なときにだけ情報を表示するディスプレイを新開発、発表した。従来のディスプレイは情報を表示するためだけに存在するもので旧態依然としたものだ。そこで、コンチネンタルは新開発した“シャイテック”ディスプレイで過ごしやい車内空間を演出する。すべての情報!

運転情報であろうと、インフォテインメントであろうと、スクリーンのない現代の車では、ほとんど何も機能しない。
ダッシュボードの小さなモニターから、メルセデスの「MBUX」ハイパースクリーンまで、画面は純粋な情報源と、入力フィールドであるだけでなく、重要なデザイン要素にもなっている。
一方で、これ、多くの場合、感覚過負荷のリスクを高める傾向がある。
これこそが、まさに、コンチネンタルが、新しく開発した「シャイテックディスプレイ(Shy Tech Display)」で対抗、解決しようとしていることだ。
ディスプレイは必要な場合にのみ表示され、それ以外の場合は消え、木目パネルなどの室内装飾としての役割を果たす。
そのテクノロジーについて説明しよう。

必要なときにだけ情報を取得する。
これこそが、コンチネンタルが新しいディスプレイで採用しているアプローチだ。車内にほぼシームレスに統合でき、目立たない。
これは、LCD画面の表示面に、木材、皮革、またはカーボン模様を表現できる特別な印刷技術によって可能になっている。

情報が不要な場合、ディスプレイは装飾面で覆われる。

特別に最適化された背景照明との組み合わせにより、一体型ディスプレイは有機ELモニターのように動作するため、電源を切っても目立たないようにできている。
要件に応じて、個々の領域を制御したり、ナビゲーションマップやフィルムなどの大きなディスプレイを表示したりできるようになっている。
ディスプレイはまた、シリーズ生産モデルに触覚フィードバックを提供できる可能性を備えている。
コンチネンタルによれば、このテクノロジーにより、ディスプレイを車内のどこでも使用できるようになり、デザイナーは新しいデザインオプションを利用できるようになる。

「コンチ-ディスプレイ」による新しいデザインの可能性

ディスプレイは、広い領域に表示することも、装飾面に部分的に表示することもできる。

これはすべて未来の夢のように聞こえますか?
とんでもない。その反対だ。
コンチネンタルは、有名なメーカーが、この「シャイテック」ディスプレイに関心を示しており、遅くとも、2023年に量産される予定であることを、我々AUTOBILDに認めた。
しかし、同社は、まだどの特定の自動車メーカーが顧客であるかは、明らかにしていない。
「シャイテック」ディスプレイは、将来、コックピットやインフォテインメントシステムの設計にまったく新しい発想と自由度をもたらすであろう。
初期のプロトタイプは、非常に良い印象を与え、実際には本当に見栄えがする。しかし、どこのメーカーが、どのようにこの新しい技術を、彼らの車に統合するかはまだ分からない。

もう新しい技術や発想など、出きってしまっているかと思いきや、まだまだこういう新技術が生まれてくるところが面白い。このコンチネンタルが開発した技術は、自動車だけではなく、家庭などでも利用できるのではないだろうか。
いつもは普通の壁と思っている場所が、必要な時だけモニターになって、テレビなどを見ることができる・・・。そんなSFチックな体験もこの技術によって可能になるのではないだろうか。もちろんクルマの中も、今までの「メーターパネル」という概念をなくして自由に設計することも可能になるだろうし、なかなか個人的には賛成するべき点の多い技術である。
今後は、人の頭の中に「こんなことをしたい」という発想をどれだけ持てるかで、新しい技術が生まれてくるのだと思うし、まだまだ思いもよらない光景に出会えることを楽しみにしていたい。

Text: Andreas Huber
加筆: 大林晃平
Photo: Continental