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「悪運が強い」という言葉は、悪いことをしても報いを受けず、栄えるような運が強いという意味を持ちます。悪いことをしている本人が使ったり、または悪い行為を非難する時に使うことが多い表現であって、相手を褒めるときに使う言葉ではないので注意が必要です。ここでは、「悪運が強い」の正しい意味や使い方について紹介していきます。

【目次】
・「悪運が強い」とは?
・「悪運が強い」の使い方
・「悪運が強い」の誤用とは?
・「悪運が強い」人の特徴
・最後に

「悪運が強い」とは?

日常生活で、「あの人は悪運が強いな」と表現することは多々ありますよね。皆さんはその言葉を、どのような意味で受け取っていますか? 本来の意味を知ったら、今まで間違った使い方をしていた! という方も多いかもしれません。それでは、「悪運が強い」の言葉をみていきましょう。

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「悪運が強い」の意味

「悪運が強い」とは、「悪いことをしても報いを受けず、栄えるような運が強い」という意味をもつ慣用句です。悪いことをしたのに、誰からも咎められず罰せられない、運が強い人のことを表す時に使われます。

そもそも「悪運」とは、2つの意味を持つ言葉です。「悪いことをしても報いを受けず、かえって栄えるような運」と「運の悪いこと、不運」という意味があります。「悪運が強い」とは、前者の意味合いが強い言葉といえますね。

「悪運が強い」の類語

「悪運が強い」と意味が近い表現には、「憎まれっ子世に憚る」があります。現代では、あまり聞く機会のない言葉かもしれません。

「憎まれっ子世に憚る(はばかる)」とは、「人に憎まれるような者が、かえって世間では幅をきかせる」という意味のことわざです。悪知恵のはたらく人や、厚かましい性格で、人から嫌われるような人間の方が出世する、というようなニュアンスを持つ言葉です。主に、世の中の理不尽さを感じているような時に使用します。

「悪いことをしている人が得をする」というような意味合いが、「悪運が強い」とよく似ていますよね。

「悪運が強い」の対義語

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「悪運が強い」の対義語としては、「幸運」「星の巡り合わせ」があります。

「幸運」とは、「運が良いこと、巡り合わせが良いさま、しあわせ」という意味です。「受験勉強を一生懸命頑張っている妹の幸運を祈る」「あたたかな家庭に恵まれた幸運な人」のように使われます。

二つ目の「星の巡り合わせ」とは、「論理的に説明できない運命や、幸福な出来事」というような意味があります。「彼と出会ったのは、きっと星の巡り合わせだね」というような使い方をします。「巡り合わせ」には、「自然にめぐりくる運命」という意味があることから、思いがけない幸せな出来事や、良縁に恵まれたときなどに使用されることが多いでしょう。

いずれの言葉も悪事は働いておらず、幸せに恵まれた場合に使われる表現です。

「悪運が強い」の使い方

「悪運が強い」の正しい使い方を例文で紹介します。

「悪運が強い人とは、なるべく関わりたくない」「彼は悪運の強さで、今まで遅刻を見逃されてきたが、ついに怒られてしまった」「宿題を忘れてしまったけど、悪運の強さからか、たまたま先生が休みで怒られなかった」「いくら悪運が強くても、いつかはしっぺ返しが来ると母は言った」

以上のように「悪運が強い」は、ズルをしたり、悪いことをしていることが前提の言葉です。悪いことをしている本人が使ったり、または悪い行為を非難する時に使うことが多い表現といえるでしょう。

「悪運が強い」の誤用とは?

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日常生活の中で、「悪運が強い」という言葉を勘違いして使っていることがよくあります。例えば、「車と接触したのに怪我をしなかったなんて、悪運が強いね」というように、「悪いことがあったが、運の良さで助かった」「強運だ」というようなニュアンスで使われる事がほとんどですよね。

しかし、本来「悪運が強い」とは、悪いことをしている事が前提で使われる言葉。褒め言葉として使うのは誤用であるため、他の人に対して使うときは注意が必要です。先述した例文を正しく言い換えるなら、「車と接触したのに怪我をしなかったなんて、幸運だね」などと表現することができます。

「悪運が強い」という言葉を使う場合は、「単純に運が良い場合には使用しないこと」「褒め言葉には使わないこと」の2つの点に注意しましょう。

「悪運が強い」人の特徴

「悪運が強い」の正しい意味や使い方は、お分かりいただけましたか? 本当は悪いことをしているのに咎められずにいるなんて、なんだかずるいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。このような人の悪事がバレないのは、本当に運が強いからだけなのでしょうか? 「悪運が強い」人の秘密を紐解いていきましょう。

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1:悪いことだと自覚している

「悪運が強い」人は、自分が悪いことをしているという自覚があります。例えば、誰かを騙して事業が成功したり、ズルをしてテストでいい点数を取ったり…。「偶然悪いことをしてしまった」というケースは少なく、むしろ何か願望を達成するために計画を立てて、悪事を行っていることが多いと思われます。

どうしたら嘘や罪がバレずに済むか、あらかじめ考えて行動しているため、ボロが出ることもありません。悪事がばれないのは運のおかげというより、その人の計画性によるものでしょう。

2:頭の回転が速い

「悪運が強い」人の悪事がバレないのは、その頭脳の賢さから。万が一不測の事態が起こっても、すぐに打開策を思いつき、その場を上手く切り抜ける事ができます。慌てる姿を見せず、冷静な対応ができるため誰も疑うことがありません。

3:何事にも動じない

何事にも動じない性格も、「悪運が強い」人の特徴の一つ。大抵の人は、悪いことをしてしまえば罪悪感を感じたり、動揺して態度に出てしまうところですが、このようなタイプは決して動じません。揺るがぬ自信と肝の据わった度胸を持ち合わせていることから、着実に計画を実行し、なおかつ他人にバレることがないのです。

4:罪悪感がない

「悪運が強い」人には、罪悪感がないことも考えられます。自分のしている事が社会的に良くないことであり、道徳的にも許されないことと分かっています。ですが、そのことで自分自身を責めたり、罪の意識に苛まれることがないのです。

そのため、日常生活では、割と快活で社交的であることも考えられます。「悪運が強い」人は、人の心を掴むコツを心得ているため人に好かれていたり、リーダー的な役割をしていることも珍しくないのです。

最後に

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「悪運が強い」の正しい意味や当てはまる人の特徴は、理解していただけましたか? ついつい、「悪い事があったのにラッキーだったね」と相手を褒める時に使ってしまいがちなこの言葉。本来の意味に照らし合わせると、誤用となるため気をつけましょう。

この機会に正しい意味を覚えて、適切な場面で使えるようにしたいものですね。ぜひ、参考にされてみてはいかがでしょうか?