香港で活動する日系企業を対象にした調査で、施行から1年がたった反政府的な動きを取り締まる香港国家安全維持法について半数以上の企業が懸念を抱いていることが分かりました。
JETRO=日本貿易振興機構の香港事務所などは、今月2日から9日まで香港で活動する日本企業や日本人が経営する飲食店などを対象にビジネス環境についてのアンケートを行い、280社から回答を得ました。
それによりますと、去年6月に施行された香港国家安全維持法について、57%の企業が「大いに懸念している」または「懸念している」と回答しました。
理由について複数回答で尋ねたところ「情報に制限がかかるおそれがあるから」と答えた企業が79%と最も多く、次いで「司法の独立が失われるおそれがあるから」が60%と、インターネットに対する規制やビジネス上のルールに影響が出ることへの懸念が強まっていることがうかがえます。
また、海外に移住する人が増えていることを踏まえ、「優秀な人材の確保が困難となるおそれがある」と答えた企業も58%に上りました。
香港では新型コロナウイルスの影響で中国本土との間の往来制限が続いていることから、香港の拠点を閉鎖や縮小し中国本土に人員を移す日系企業が増えているということで、香港でのビジネスを見直す動きがさらに広がる可能性があります。