2021年12月19日から26日にかけて開催された「第4回全国高校eスポーツ選手権」決勝大会。26日には「リーグ・オブ・レジェンド」部門の決勝大会がオフラインで行われ,その模様がYouTubeやTwitchなどで配信された。
全国高校eスポーツ選手権とは,一般社団法人 全国高等学校eスポーツ連盟(JHSEF)と毎日新聞社が主催し,協賛にはゲーミングPCブランド「GALLERIA」でおなじみ,サードウェーブなどの企業・団体が名を連ねる大会。12月19日には「フォートナイト」部門で大阪・吹田高校のチーム「あいうえお」が,25日には「ロケットリーグ」部門で沖縄・N高校のチーム「Nポテ」が優勝している。
「リーグ・オブ・レジェンド」とは,5人チーム同士が対戦するストラテジーゲーム。プレイヤーは150種類以上いる「チャンピオン」を選択,チームで連携して敵チームや中立モンスターと戦いつつ,チャンピオンを成長させていく。そして最終的に敵チームの本拠地(ネクサス)陥落を目指すという内容だ。
eスポーツの代表格ともいえるゲームのひとつである。
予選大会を勝ち抜き,決勝トーナメントに進出したのは以下の4チーム。準決勝第1試合では「ロイヤル決して諦めない」と「ACK A」,第2試合では「N1」と「Yuki飯食べ隊」が戦った。
なお準決勝は1本勝負だが,決勝戦は2ゲーム先取した側が勝者となる。
大阪・ルネサンス大阪高等学校「ロイヤル決して諦めない」
兵庫・専門学校アートカレッジ神戸高等課程「ACK A」
沖縄・N高等学校「N1」
東京・クラーク記念国際高等学校 CLARK NEXT Akihabara「Yuki飯食べ隊」
準決勝第1試合を勝ち,先に決勝進出を決めたのはアートカレッジ神戸の「ACK A」。序盤こそルネサンス大阪の「ロイヤル決して諦めない」が着々とリードを広げていたものの,ACK Aは中盤,バロンナッシャー(倒すことでチーム全体が強化されるモンスター)を討伐するために相手が集結したところを急襲する。
ロイヤル決して諦めない側もその動きを読んでいたのだが,対バロン戦と集団戦のどちらを優先するか徹底できず,手痛い打撃を受けてしまう。さらにバロンナッシャー撃破もACK Aに奪われてしまった。
それが大きなきっかけになり,ACK Aはそのまま終盤まで有利に戦いを運び,逆転勝利を果たした。
そして準決勝第2試合はN高等学校の「N1」と,クラーク記念国際高等学校CLARK NEXT Akihabaraの「Yuki飯食べ隊」による戦い。現在2連覇中のN1に対し,前回大会で準優勝のYuki飯食べ隊は雪辱を狙う,因縁の対決だ。
いざ試合が始まってみると,Yuki飯食べ隊は扱いが難しいチャンピオンであるザイラをGalaxy1619選手が十二分に機能させ,N1は完全に虚を突かれた形となった。
N1側も開始から22分ごろに大量キルを獲得し,そのままバロンナッシャーを倒すことで形勢逆転を図ったものの,その動きもGalaxy1619選手が阻止。Yuki飯食べ隊はそのままN1を押し切って決勝進出を決めた。
そして宿敵を破ったYuki飯食べ隊と,劇的な逆転を果たし勢いに乗るACK Aによる決勝戦。まず有利な形を作ったのはYuki飯食べ隊側だった。開始から3分45秒ごろ,ボットレーン(マップ下側の道)でACK Aの攻撃を誘って自陣側に引き込みつつ,そこに素早く集合して2キルを奪う。
試合開始から10分経過時にはYuki飯食べ隊はボットレーンでタワー(防衛拠点)を2つ破壊,早くもACK Aの本拠地へと迫る形となる。ACK A側は試合を長引かせ,戦力差を埋める持久策をとるものの,Yuki飯食べ隊は冷徹なまでに手堅い攻めでACK Aのタワーの数を減らし,イニシアティブを握り続けて1ゲーム目を先取した。
2戦目はまたもやGalaxy1619選手のザイラが登場。ただACK A側もikki1031選手がそれをうまく牽制し,そう簡単にはボットレーンでの優勢を譲り渡さない。しかし戦局は少しずつ,だが確実にYuki飯食べ隊に傾いていった。
「ACK A」側は随所で奇襲をしかけYuki飯食べ隊を揺さぶろうとしたが,しっかり対応されて戦力差がさらに開いてしまう。そのまま最後までYuki飯食べ隊はACK Aの反撃を封じきり,第4回大会「リーグ・オブ・レジェンド部門」の優勝チームとなった。
悲願だった大会優勝を果たした「Yuki飯食べ隊」のメンバーは試合後,以下のようにコメントしていた。
siroshi15選手:
これまでの反省を活かし,優勢になった後も冷静に戦うことができました。保護者や周囲の期待に応えることができて嬉しいです。これからはクラークの時代だ!
toriyaki選手:
決勝では楽な気持ちで戦えました。siroshi15選手とは5,6年の付き合いがあり,親友かつ恩人だと思っている。一緒に優勝できて本当に嬉しいです。
Nanabito選手:
3年間出場し続けてきて,今年やっと勝てて嬉しいです。
Borutu選手:
あと一歩のところでたどり着けなかった優勝に,3年の大会でたどりつけました。まだ現実味がありません。
Galaxy1619選手:
ザイラを得意とするプレイヤーの動きを研究し,成果を出せた。指導してくれた方たちに恩返しできました。
一方,準優勝となった「ACK A」はこのように決勝大会を振り返った。
kaeto選手:
1試合目はミスもあったけど,決勝ではどんどんアクションを起こせました。ただ決勝は相手チームの研究不足で,出たとこ勝負に近くなったことが悔やまれます。
tatsu09選手:
2位は嬉しい反面,悔しい思いもある。先輩たちの思いを継いで来年もチャレンジしたいです。
Metamonn選手:
1年間ずっと練習してきて,最後に優勝できなかったのは悔しいものがある。でもいい経験になりました。
Kensou選手:
決勝は何もさせてもらえず,悔しい思いが残りました。準決勝も自分がMVPだ! と思ったのですが,kaeto選手が選ばれていたので,それも悔しかったです(笑)。
ikki1031選手:
今大会,自分はそもそも出る枠ではなかったが,なんとかして勝ちたい気持ちはありました。ただ,自分の力量以上のものを出せたとは思います。
クラーク記念国際高等学校 CLARK NEXT Akihabaraが初の優勝を果たした第4回全国高校eスポーツ選手権 リーグ・オブ・レジェンド部門決勝大会。果たして次回,大会の歴史に名を刻むのはどの高校,どのチームなのだろうか。そして高校生選手たちのさらなる切磋琢磨による,ハイレベルな試合にも期待したい。