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 微生物の世界は新しい発見の世界でもあります。
特に、今日の遺伝子の分析による生物の進化の歴史には、これまでの常識を覆す発見がたくさんあって、ここで紹介する本の中でも指摘されていますが、生物の分類が大きく激変している真っ最中に私たちはいるのです。

そして、土壌微生物と植物の深い関わりも明らかになってきました。
例えば、「菌根の世界, p120」には、海岸のクロマツ林に共生している土壌微生物の数の推定値が掲載されていますが、数百種類以上の微生物がクロマツと共存共栄していることがDNA配列の調査で明らかになったと報告されています。

エンドファイトは1種類ではなかったのです。
数百種類の植物共生細菌(菌根菌・キンコンキン)が一本の樹木に生息しているのですね。

この、菌根菌の呼び名は生態別に分類されていて、名称も異なったりしています。
主な分類名称では、
AV菌根(アーバスキュラーきんこん)(内生菌根)・エンドファイト・
外生菌根・ラン菌根・エリコイド菌根(ツツジ型菌根)・
アープソイド菌根・モノトロボイド菌根

 等、

これらは、植物の体内へどのような形で進入して共生しているかがタイプ別に分類されていますが、
菌糸をどのくらい伸ばす奴なのか、球形をしているのかとか、とぐろの巻き方などで種類を分けています。様々な仕事上の役割があるのですが、
基本的な仕事として、植物から光合成の合成物を養分として吸収し、返礼として、土壌中の有機物や空気中の窒素などを植物に供給したりしてします。

然しながら、横着なこじき菌もいて、植物から養分をもらうだけのちゃっかりした奴もいると思われます。

また、ウイルスというと病原菌だと思われがちですが、ウイルスそのものが植物の生存に不可欠な存在であることも次第に明確になると思われます。

2冊目の本は、樹木の根っこの本です。
果樹園など、樹木にかかわる仕事をしている人の必読書です。

これまでの樹木栽培の本は、地上部の剪定技術などが中心だったと思いますが、
初めての根っこの教科書が誕生したのです。

この本の内容の特徴も、樹木の根っこに共生する微生物の話を無視しての解説が不可能なのです。
最先端の教科書では、微生物の共生を無視しては通れなくなりました。

土壌分析の本などでは、微生物の話を無視して解説しているものがほとんどですが、
今後は時代遅れの本として本箱の肥やしにやることが必至でありましょう。

と、いうことで、2冊の書籍を紹介いたします。
やや、難しいかもしれませんが、目次を掲載しておきます。
おそらく、興味のある項目があるはずです。
お手元に置いておきたい教科書です。

この本を読みこなす前に、新しい知見の本が出てきて、
この教科書も内容が塗り替えられるかもしれません。
新鮮なうちにお読みくださるようご提案いたします。

以下、本の紹介コピペです。

    

菌根の世界 菌と植物のきってもきれない関係
齋藤雅典[編著]築地書館
2,400円+税 四六判上製 248頁+カラー口絵8頁 2020年9月

緑の地球を支えているのは菌根*だった。
陸上植物の8割以上が菌類と共生関係を築き、
菌根菌が養水分を根に渡し、植物からは糖類を受けとっている。
植物は菌根菌なしでは生きられない。
*—菌類と植物の根の共生現象のこと

内生菌根・外生菌根・ラン菌根など、
それぞれの菌根の特徴、観察手法、最新の研究成果、
菌根菌の農林業、荒廃地の植生回復への利用をまじえ、
日本を代表する菌根研究者7名が
多様な菌根の世界を総合的に解説する。

菌を食べてしまう植物
光合成をやめた植物と菌根菌
枯れ木を渡り歩くタカツルラン
森林土壌から放出されるCO2の鍵をにぎる外生菌根菌
成木と実生の根の間の菌糸ネットワークが実生の成長を左右する
などなど、知られざる土の中の不思議な世界へようこそ

目次

はじめに

序章 地球の緑を支える菌根共生─菌と根の奇跡の出会い―――齋藤雅典・小川 真
根の表面を覆う菌と根の内部に入りこむ菌
特定の植物と関係を結ぶ菌
緑の誕生
植物と菌が出会うとき
【コラム】菌根と共生─用語の使い方(齋藤雅典)

第1章 土の中の小さな宝石─アーバスキュラー菌根菌―――齋藤雅典
心を虜にする輝く胞子
アーバスキュラー菌根菌を観察する
分離し、同定し、分類する
分類体系の見直しにつながる発見
根が菌を呼び寄せる
アーバスキュラー菌根菌はどうやって植物と物質のやりとりをしているか
根組織から樹枝状体を取り出す
菌根共生を制御する遺伝子
農業利用への道
利用の難しさと可能性
荒廃地での植生の回復と菌根菌
【コラム】菌類の分類と同定(齋藤雅典)

第2章 外生菌根の生態とマツタケ―――山田明義
外生菌根菌に支えられる樹木たち
外生菌根を観察する
土壌から養分・水分を吸収するのは根ではない
実験で外生菌根共生を証明する─菌根合成
樹木の成長を左右する外生菌根
外生菌根とキノコ
外生菌根共生の進化─起源と将来
マツタケと菌根共生
国産マツタケの生産と森林環境
マツタケ─シロとその生態
マツタケの近縁種とその地理的な分布
いかにマツタケを増産するか
マツタケはわからないことだらけ
【コラム】わが国における外生菌根研究事情(山田明義)

第3章 外生菌根菌を通して海岸林の再生を考える―――松田陽介・小長谷啓介
海岸の植物が厳しい環境で生育できるわけ
海岸林に生育する植物と菌根菌
海岸に生えるキノコ
海岸クロマツ林を支える菌根菌
キノコ調査と根の観察からみる菌根菌の多様性
DNA解析を利用して菌根菌の多様性を研究する
海岸クロマツ林にはどのくらいの種類の菌根菌が生息しているのか?
菌根菌の多様性と樹木の成長
謎の「黒い粒」菌核─セノコッカム・ジェオフィラム
セノコッカムの知られざる生態
塩に耐える力─菌根菌、菌根の塩類ストレス
耐塩性の高い菌根菌を探せ
海岸林の再生に菌根菌を利用する

第4章 菌によりそうランの姿を追いかけて―――辻田有紀
はじまりは菌とともに
ネジバナの菌根菌をみてみよう
世にも奇妙なマヤランの虜に
DNAで正体を暴け
マヤランの種まき大作戦
ランの始まりを求めて屋久島へ
運命の分かれ道
世界最大! キノコを食べるラン

第5章 菌根共生の原点─コケ植物とシダ植物の菌根共生―――辻田有紀
コケ植物の菌根共生
タイ類で見つかった新たな共生系
シダ植物の胞子体における菌根共生
損する? 得する? 菌と植物のかけひき
光合成をする配偶体に菌根菌はいるの?

第6章 菌類を食べる植物─菌従属栄養植物の菌根共生―――大和政秀
菌根共生、菌従属栄養植物との出会い
菌従属栄養植物とは
コケ植物の菌従属栄養植物
シダ植物の菌従属栄養植物
ラン科植物キンランの菌根共生
神社林のタシロラン
巨大な無葉緑ランを支える菌根菌
菌からランへどのように栄養は移動するのか─同位体で探る
菌からランへの炭素・窒素の流れをみる
菌根菌にとっての菌従属栄養性のメリット
多様なツツジ科の菌根共生
モノトロポイド菌根
アーブトイド菌根─部分的菌従属栄養性
アーバスキュラー菌根を形成する菌従属栄養植物
希少植物の保全と菌根共生
【コラム】私が菌根研究者(マイコライゾロジスト)になったわけ

おわりに─菌根共生の進化を考える(小川真)
編集後記(齋藤雅典)
参考文献 
索引

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森の根の生態学
平野 恭弘・野口 享太郎・大橋 瑞江編
ISBN 978-4-320-05813-2 共立出版
判型 A5 ページ数 376ページ
発行年月 2020年12月 価格 4,400円(税込)

 森の中で普段目に見えない地下部の世界では,樹木が「根」を土壌に張り巡らすことで,生態系を作りだし,森を支えている。樹木の根は,太い根で体を支え,隣り合う樹木の根でネットワークを作ることにより,表層崩壊や土砂流出を防ぐなど,様々な災害から国土を保全するという減災の役割を果たす。樹木の細い根は,生存に不可欠な養水分を吸収し,森林における物質・水循環を駆動する。自ら動くことのできない樹木は,変動する環境下で根を変化させながら適応し,土壌中の生物と共生することで生育する。すなわち樹木の根が,様々な生態系サービスを発揮する森林を,見えない土壌の中で支えているといえる。
 森の根に関する知見は,林業で対象とされてきた幹や葉に比べ著しく少なく,研究も立ち遅れており,樹木の根に関する教科書は,これまでほとんど例を見ない。本書は,「樹木の根を対象とする唯一の教科書」として,第一線の研究者が,樹木の根に関する基礎的知見について網羅的に,その手法や最新動向とともに紹介することで,樹木の根を介した森林生態系の新たな理解を広めることを目的とする。「樹木の根について知りたい」という読者に応えることが本書のねらいである。
 第1章から第3章までは,樹木根の基礎的な仕組みを,太い根や細い根などの機能や構造,成長特性を通して紹介する。第4章では変動する環境下における樹木根の反応を,第5章では根系の発揮する減災機能を取り扱う。終章で樹木根の発揮する生態系サービスをとりまとめ,持続可能な森林や社会への貢献を,樹木の根という視点から解説する。

序章 森林を支える樹木根
はじめに
0.1 森林生態系における樹木根
0.1.1 地球システムと森林
0.1.2 樹木の根を研究する
0.2 本書のねらいと構成
おわりに
引用文献

第1章 樹木の根系と分布
はじめに
1.1 太い根と細い根
 1.1.1 粗根
 1.1.2 細根
1.2 根のバイオマス
 1.2.1 バイオマス
 1.2.2 樹木地上部との関係
 1.2.3 根系モデル
1.3 土の中の根の広がり
 1.3.1 個体の根の形態と分布
 1.3.2 深さ方向の分布
 1.3.3 水平方向の分布
1.4 様々な形態の根
 1.4.1 気候帯による違い
 1.4.2 特殊な根
おわりに
引用文献

第2章 樹木根の成長
はじめに
2.1 樹木根の構造と成長
 2.1.1 根の組織の基本構造と機能の変化
 2.1.2 個根の組織の変化と物質移動の制御
 2.1.3 分枝の形成
2.2 根の形質
 2.2.1 樹木の細根形質
 2.2.2 機能形質の測定とそれを用いての系統分類
 2.2.3 植物の経済スペクトル
2.3 根の季節動態
 2.3.1 根の成長の季節性の重要性
 2.3.2 根の成長時期の種間差
 2.3.3 根と枝の成長の季節性
 2.3.4 根の季節性へ影響を及ぼす温度以外の外的要因
2.4 森の根の競争
 2.4.1 根の競争が生じる原因
 2.4.2 対称型競争と非対称型競争
 2.4.3 林床の実生・稚樹と成木の間の競争
 2.4.4 他個体に対する成長抑制作用
 2.4.5 樹木とササの競争
2.5 根に関わる微生物
 2.5.1 樹木に関わる微生物
 2.5.2 樹木根系を脅かす微生物
 2.5.3 樹木根系に共生する放線菌
 2.5.4 樹木根系に共生する菌根菌
 2.5.5 森林生態系における菌根共生の意義
 2.5.6 まとめにかえて
おわりに
引用文献

第3章 物質循環と樹木根
はじめに
3.1 樹木根の水吸収
 3.1.1 樹木根が水を吸収する仕組み
 3.1.2 樹木根の水吸収機能の評価
 3.1.3 樹木根の水吸収研究における課題と展望
3.2 養分循環と樹木根
 3.2.1 森林における養分循環
 3.2.2 養分吸収機構
 3.2.3 養分環境と根の生産
3.3 炭素循環と樹木根―蓄積・生産・ターンオーバー―
 3.3.1 樹木根のバイオマスと炭素蓄積量の推定
 3.3.2 国内外における樹木根の炭素蓄積量
 3.3.3 細根の生産とターンオーバー
 3.3.4 細根バイオマス,細根生産量,細根ターンオーバー速度の推定手法
 3.3.5 細根生産量,細根ターンオーバー速度を変化させる要因
3.4 炭素循環と樹木根―樹体内配分と呼吸―
 3.4.1 炭素の根への配分
 3.4.2 呼吸を通して大気に戻される炭素
 3.4.3 同位体を利用した森林炭素配分様式の解明
3.5 樹木根の土壌化
 3.5.1 分解速度と分解呼吸
 3.5.2 可溶性成分
 3.5.3 分解残渣
 3.5.4 粗根の分解
 3.5.5 土壌有機物の滞留時間とそれを支配する要因
3.6 土壌食物網と根
 3.6.1 土壌動物と根
 3.6.2 根滲出物を利用する土壌生物
 3.6.3 菌根を利用する土壌生物
 3.6.4 生根を利用する土壌生物
 3.6.5 枯死根を利用する土壌生物
おわりに
引用文献

第4章 環境変動と樹木根
はじめに
4.1 大気CO2濃度およびO3濃度上昇に対する樹木根の応答
 4.1.1 大気CO2濃度の上昇に対する樹木根の応答
 4.1.2 対流圏O3濃度上昇に対する樹木根の応答
4.2 温度上昇に対する樹木根の応答
 4.2.1 地温上昇への応答
 4.2.2 山火事による温度上昇への応答
4.3 乾燥ストレス,滞水ストレスに対する樹木根の応答
 4.3.1 森林の乾燥ストレス
 4.3.2 乾燥ストレスに対する根の生理的反応
 4.3.3 キャビテーションとエンボリズム
 4.3.4 乾燥ストレスによる根の量的な変化
 4.3.5 森林の滞水ストレス
 4.3.6 滞水ストレス耐性に関わる樹木根の性質
4.4 土壌酸性化に対する樹木根の応答
 4.4.1 土壌酸性化
 4.4.2 実験条件下で土壌酸性化が樹木の根に与える影響
 4.4.3 土壌の酸性化が進行した森林における細根反応
おわりに
引用文献

第5章 樹木根の発揮する減災機能
はじめに
5.1 土壌侵食と樹木根
 5.1.1 土壌侵食の発生メカニズム
 5.1.2 森林植生の働き
 5.1.3 土壌侵食を抑制する管理方法
5.2 倒木と樹木根
 5.2.1 樹体を支える力を測る
 5.2.2 樹木の倒れにくさは何で決まる?
 5.2.3 樹木の倒れにくさが発揮する減災機能
5.3 表層崩壊と樹木根
 5.3.1 崩壊を抑制する力を測る
 5.3.2 根の補強強度は何で決まる?
 5.3.3 崩壊防止力の評価
5.4 植生管理への応用
 5.4.1 非破壊的な根系評価方法
 5.4.2 樹木根に着目した森林植生の管理
おわりに
引用文献

終章 樹木根と森林の生態系サービス
はじめに
6.1 生態系サービスと森林
 6.1.1 生態系サービスの定義と変遷
 6.1.2 樹木の根と生態系サービス
6.2 樹木根と持続可能な社会
 6.2.1 今後取り組むべき樹木根の課題
 6.2.2 持続可能な社会への貢献
おわりに
引用文献

索引

Box 2.1 森に棲む線虫
Box 2.2 外生菌根菌の働きを調べる
Box 2.3 菌根形成率の計測
Box 3.1 森林の炭素循環を家計の収支に例えると…
Box 3.2 炭素配分に関する用語の説明
Box 3.3 地下部炭素フラックス(TBCF)は,なぜ土壌呼吸Rsから
    リター量を差し引くことで求めることができるのか?
Box 3.4 葉と根の分解速度の調和
Box 3.5 樹木が細根を増産するとき,土壌には何が起こるのか
Box 3.6 黒色土
Box 3.7 葉の枯死過程
Box 3.8 地表面の攪乱

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http://www.narunaru.info/index.html
土壌菌についての解説しています。

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ナルナルで被害を最小限に食い止めましょう。
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◆現代農業2016年10月号にナルナルボカシや樹木への効果等の記事が多数掲載されています。是非お読み下さい。
☆植物全般、松枯れモンパなどの樹木、野菜の病気やウイルス対策、お花の無農薬栽培など、あらゆる場面で活躍しています。果菜の糖度アップ、収量増にもどうぞ。