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イタリアでは、コロナ禍における2度目のバカンスがそろそろ終わりますが、同国では、ペットを滞在先に連れて行く人が少なくありません。コロナ禍で際立つイタリア人とペットの関係を見てみましょう。

 

ロックダウン中でも犬の散歩はOK

↑キミは特別だ

 

イタリアはペットに寛容な国で、飼っている動物を同伴して入店できるレストランやバールがたくさんあります。食料品店など、衛生的な観点から犬を連れ込めない店にも、お店の外にドッグパーキングが設置されていることが一般的。また、ほとんどのペットが公共の場できちんと振る舞えるようにしつけられています。「イタリアではペットと共に移動することを前提に日常生活が成り立っている」といっても過言ではないかもしれません。

 

それを裏付ける別の事例があります。2020年3月、イタリア政府が全土ロックダウン(都市封鎖)を宣言し、ジョギングなど1人でする運動さえも規制されました。しかしそんな中でも、自宅の周辺だけという条件付きではありましたが、犬の散歩だけは許可されていたのです。「小さな子どもでさえも外で遊べないのに犬は問題ないのか?」という意見があったものの、冗談が好きなイタリア人だけあって、「外出したい方に犬を貸します」というジョークがすぐにSNS上に溢れました。

 

そんなイタリアでは、現在もリモートワークを続ける人が少なくありませんが、この新しいライフスタイルは、これまで「ペットを飼いたい」と思いながらも、時間的余裕がないために諦めていた人にとって、その願いを叶える絶好の機会になっているようです。

 

価格比較サービスIdealo社の調査によれば、イタリアにおける2020年のペットフードのオンラインでの売り上げは前年比80%増を記録し、犬は同145.7%増、猫は同115.6%増という伸びを見せました。また、イタリア社会の動向を調査するEurispes社が2020年に実施したアンケートで、ペットを保有していると答えた人は、前年の33.6%から39.5%に増えています。

 

政府中央統計局によると、2020年前半のイタリア人の国内旅行は前年比39%減、外食は同38.9%減、衣料品は同23.3%減、映画などの娯楽費は同26.4%減となりましたが、その分だけお金がペット市場に流れたとも考えられそうです。

 

また、ペットショップで動物を購入するだけではなく、殺処分を待つ動物を引き取るという動きも活発です。イタリア動物保護協会は2020年に8100匹の犬と9500匹の猫が引き取られたと報告しており、引き取り件数は前年に比べ15%以上も増えました。

 

高齢者向けのペット用品デリバリー支援

↑誇らしいボランティア活動だわん

 

高齢者にとってもペットは心の友。ただし、ロックダウン中は数日分の食料を1回の買い物で備蓄する必要があったため、ペットフードまで手が回らないという高齢者が多かったようです。スマートフォンやパソコンなどを使うことができず、オンラインでの買い物ができない高齢者も少なくありません。

 

それを受けて、ミラノでは非営利団体のバルズーが70歳以上の高齢者を対象に、エサや医薬品を含むペット向けの必需品をボランティアで配送する活動を始めました。ペット商品の大手チェーンも提携しており、配送料金は無料。バルズー会長のルイジ・グリッフィーニ氏は「ペットがいる家庭の支援を目的とした我々の取り組みは、非常事態にこそ機能しなくてはなりません」と語っています。

 

日本と同様にイタリアも高齢化社会ですが、このようなボランティアが存在することは、「ペットを飼いたい」と願う高齢者の背中を押しているでしょう。

 

何があっても離れない

↑アフターコロナでも重要な存在

 

ペットの数が増えると飼育放棄が問題になる国もありますが、イタリアはそうではないようです。これは、イタリア政府が義務付けているペット飼育に関する施策が功を奏しているのかもしれません。

 

イタリアではペットを飼うにあたり、オーナーは保険省の管轄にある動物の戸籍簿に登録する必要があります。さらにペットはマイクロチップで管理されるうえ、飼い主は首輪に付けた小さなメダルに自分の名前や電話番号を彫る義務があり、ペットの飼育を放棄したとしても、マイクロチップや首輪の登録情報をたどって、飼い主に連絡が来る仕組みになっているのです。

 

ペットセラピーの専門家によれば、ロックダウンという未曾有の恐怖と不安の中でも、人間はペットと触れあうことでストレスを解消できるそう。コロナ禍がある程度収束しても、未来に対して不安を抱く人も多いことから、これからもペットは人間の精神状態を回復したり維持したりするために重要だと言われています。

 

夏のバカンスは終わりますが、すでに多くのイタリア人は「次のバカンスをペットとどう過ごそうかな?」と考えていることでしょう。