フィリピンのドゥテルテ大統領は任期中、最後となる施政方針演説を行い、南シナ海問題で中国の主張を全面的に否定した国際的な仲裁裁判の判断についてその価値を認めない考えを最後まで強調しました。
フィリピンのドゥテルテ大統領は昨夜(26日)、首都マニラにある議会下院で6年間の任期中、最後となる今後1年間の施政方針演説を行いました。
この中でドゥテルテ大統領は、南シナ海問題で中国の主張を全面的に否定した国際的な仲裁裁判の判断について「国際法の一部で妥協の余地はない」と述べ、中国をけん制しました。
しかし、その後は一転して「こんな拘束力のない文書で、私にどうしろというのか。本当の意味での仲裁裁判など存在しない」などとして、判断の価値を認めない考えを任期の最後まで強調しました。
また、「中国のミサイルはフィリピンに数分で到達する。中国と戦争をすれば虐殺されるだけだ」とも述べ、中国との直接的な対立は避ける姿勢を示しました。
地元メディアからは「戦争をするかしないかではなく、どのように国の主権を守るのかが問われているのに、それには最後まで答えなかった」などと批判が出ています。
今週は、アメリカのオースティン国防長官がフィリピンを訪問する予定ですが、両国の軍事協定の協議や中国への対応をめぐる議論では難航も予想されます。