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 新型コロナのワクチン接種をめぐり、国際社会の「ワクチン格差」が問題になっている。先進国では3回目のブースター接種が始まる一方、いまだ一回目の接種も完了していない国々がある。しかし、問題は、単にワクチンの分配が「不公平」であるだけでなく、各国の接種プログラムの実行にもあるようだ。12月16日付けのネパールの英字紙「カトマンドゥ・ポスト」は、この問題を社説で採り上げた。

ネパールの社説は、国内のワクチン接種の遅れについて体制の不備を厳しく批判した (c) Thirdman / Pexels

3割にとどまる接種率

 ネパールでは、12月半ば現在、国内で必要なワクチン接種が完了した人は約3割にとどまっている。世界平均の約47%を下回り、オミクロン株による感染が国内で急激に広がる中、低い接種率には不安が募る。社説は、ワクチン・ヒエラルキーが国際社会に存在している、と指摘する。
 「ワクチンは貧しい国々にいまだ届いていない。これまでも私たちは、豊かな国々がワクチンを必要以上に買いだめし、あるいは無駄にしていると批判してきた。その間、貧しい国では一回目のワクチン接種すらできないでいるというのに。豊かな国々はワクチン・ヒエラルキーの頂点にいる。世界中の人がワクチン接種を受ける以外、パンデミックから世界を救う方法はないと分かっているにも関わらず、このヒエラルキーこそが貧しい国の人々のワクチン接種を阻んでいる」
 そのうえで、ネパールのワクチン接種率が低い背景を次のように指摘した。
 「今日までのワクチン接種が30%にとどまっていても、(ワクチンを入手できている)ネパールはまだ幸運な方だ。しかし、たとえ十分な量のワクチンを入手したとしても、政府が着実にワクチン接種プログラムを進めない限り、ワクチン量に比例して接種率は上がらない。それは、明らかに私たちがワクチンの確保にばかり意識を向け、効率的に接種を進めることに関心が低かったことが原因だ」

国民の生命を守る責任

 社説によれば、ネパール政府は、ワクチン接種を効率的に実施できない状態にあり、国際的なワクチン供給システムであるCOVAXやほかのワクチン提供者に対して配達を遅らせるように伝えたという。これについて、社説は「多くの人が接種を待っているというのに、なんと無責任なことか。ワクチン格差が指摘され、ワクチンを買いだめすることは倫理的に許されないが、接種を待っている人々に、本来、受けられるはずの接種をしないことは、控えめに言っても無責任だ」と述べ、ネパール政府を厳しく批判した。
 社説は言う。「ワクチンを無駄にしないための最後の手段がワクチンの入荷を遅らせることだとしても、政府が事前によく準備をしていれば、このような状態は避けられた。問題は、ワクチンが供給過多かどうかという問題以前に、政府が適切なワクチン接種プログラムを進められなかったことにある」
 そのうえで、今、ネパール政府はまず、入手済みのワクチンを無駄にせず、待っている人々に一刻も早くワクチン接種をすべきだ、と訴える。同時に、二度のワクチン接種を終えた人にブースター接種を開始することも、ワクチンの供給を途切れさせないための手段としては有効だろう、と指摘した。
 「新型コロナの大規模な感染拡大の恐れは、いまだ消えていない。政府は、ワクチンの獲得に努力していることをアピールするだけでなく、迅速な接種にも取り組まなければならない。国民の生命を守るという観点から、政府はどんな言い訳もすべきではない」

 

 (原文https://kathmandupost.com/editorial/2021/12/16/start-jabbing)

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