国内を代表する日本料理店のひとつ「なだ万」。理念に“老舗はいつも新しい”を掲げ、伝統を守りながらも様々な試みを展開しています。今回注目するのは、その最新事例。全国の自治体とコラボレーションし、日本料理の魅力とともに各地の文化を発信する取り組みを紹介します。
総料理長の故郷・高知のご馳走が盛りだくさん
「なだ万」が地方とのコラボレーションを行うのはこれで6回目。2018年より「都道府県別 産直フェア」と銘打って開催しており、今回は高知県とタッグを組んで特別メニューを開発しました。
今回の協業先が高知県となった理由のひとつは「なだ万」の総料理長・上村哲也さんが高知県出身で、観光特使も務めているから。言い換えれば、総料理長が手掛ける故郷自慢のご馳走が味わえるというわけです。
上村料理長は故郷への想いを語るとともに、今回の料理の特徴も解説。希少な食材としては「土佐あかうし」や「四万十鰻(しまんとうなぎ)」があるほか、高知県民が比較的よく食べるうつぼ料理を取り入れるなど、高知県ならではのコースになっていることを教えてくれました。
本まぐろ、うなぎ、土佐あかうし。贅沢食材が満載
ここからは全七皿からなるコースの一部を紹介しましょう。一皿目は旬菜となり、小鉢などに盛られた前菜のオンパレード。秋を表現した飾り付けも、さすがの美しさです。
うつぼ料理はこの旬菜から登場する形で、うつぼの唐揚げを畳鰯(たたみいわし)などと一緒に提供。食べてみると香ばしく、うまみが凝縮して濃醇旨口な日本酒が合いそうな味わいです。
3皿目は造りとなり、本まぐろをメインとした献立に。高知の魚料理といえばかつおのたたきが有名ですが、今の時季は旬ではないためあえて採り入れなかったとか。今回それ以上に料理長がオススメするのが、この本まぐろ。高知県で唯一、本まぐろの養殖を行っているのが大月町という自治体で、こちらの「日本一黒潮本まぐろ」は今年の「全国養殖クロマグロ品評会」で最優秀賞に輝いた逸品。
四皿目の煮物は「四万十鰻」が登場。こちらは、稚魚が四万十川へ流れ込んで成長したうなぎのことです。今回は玉子とじで提供され、清流に育くまれた身はピュアな味わいで、上品な脂のうまみととろける食感も絶品でした。
メインを飾るのは五皿目の焼物。「土佐あかうし」の登場です。「和牛」とはよくいわれますが分類すると4品種があり、大部分を占めるのは「黒毛和牛」でおなじみの黒毛和種。ほかに褐毛和種、日本短角種、無角和種があり、高知県内でしか改良されていない褐毛和種・高知系の通称が「土佐あかうし」です。
褐毛和種は二大系統で熊本の「くまもとあか牛」のほうが有名ですが、そのぶん「土佐あかうし」のほうがより希少といえるでしょう。特徴は、赤身の濃いうまみと上品な霜降りにあり、「高知県フェアコース」ではロースを使用。外は香ばしく中はジューシーでしっとりとした、贅沢な味を堪能できます。
久々に外食するなら贅沢に、という人はぜひ「なだ万」へ
本コースは、シメまでもちろん高知県尽くし。食事には四万十川ののりを練り込んだつけ麺が、デザートでは地元酒蔵の酒粕を使ったアイスなど、大満足の七皿となっています。
また「高知県フェアコース」は11月からですが、10月31日までは全国の「なだ万厨房」ショップ40店舗で、特別弁当「なだ万高知県フェア『高知味めぐり』が販売されています。2160円とこちらもなかなかの価格ですが、コースに比べれば気軽なプライス。
少しずつ外食を楽しむ動きも出始めてきた今日この頃。高知出身の人はもちろん、久々の外食だからこそ贅沢したいという人も、ぜひ本フェアをご利用ください。
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