北方四島での共同経済活動について、日ロ両政府は2016年12月の首脳会談で、「平和条約の締結に向けた重要な一歩になり得る」として協議を始めることで合意しました。
その後、2017年には、優先的に取り組む事業として、
▼海産物の養殖、
▼温室野菜の栽培、
▼島の特性に応じたツアーの開発、
▼風力発電の導入、
それに
▼ゴミの削減対策の5項目に絞り込みます。
事業の実現に向けて、おととしには日ロ双方のゴミ処理の専門家が北海道根室市と国後島の関連施設を互いに視察したほか、日本人観光客による試験的な観光ツアーも初めて行われました。
共同経済活動の実施にあたっては、双方の法的立場を崩さないことが前提となるため、法的な枠組みをめぐって首脳会談や外相会談、それに両政府の作業部会などを通じて協議が重ねられていますが、合意には至っていません。
日本側が双方の法的立場を害さない「特別な制度」を求めているのに対して、ロシア側は「ロシアの法制度の下で行われるべきだ」と主張し、双方の立場には依然として隔たりがあります。
こうした中、ロシア政府は2017年、色丹島の一部を、国内外の進出企業に税制上の優遇措置を与える独自の経済特区に指定し、投資を呼び込む姿勢を示しています。
これに対して日本政府は、ロシアの法制度を念頭においた経済特区は「日本の立場と相いれない」として抗議してきました。