【パリ=白石透冴】国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は27日、縄文時代を幅広く知る上で貴重な「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産への登録を決めた。日本の文化遺産としては20件目で、自然遺産も合わせた世界遺産数は25件となった。
登録が決まったのは北海道、青森、岩手、秋田の4道県に点在する17遺跡だ。1万年以上にもわたる縄文人の定住文化全体をたどれる点などが評価された。
例えば「縄文都市」の異名を持つ巨大集落、三内丸山遺跡(青森市)では道路や大型建物を計画的に作ったことが分かるほか、石を環状に並べた大湯環状列石(秋田県)は葬送や祭祀(さいし)の文化をうかがわせる。御所野遺跡(岩手県)では焼けた木の実が見つかり、祭りに火が使われていた可能性が判明した。
ユネスコの諮問機関は5月、「先史時代の農耕を伴わない定住社会と複雑な精神文化、定住社会の発展段階や環境変化への適応を示している」と報告した。
地元自治体は観光への効果に期待するが、遺跡自体は定住跡などで地中にあるものも多い。観光資源とするためにはわかりやすく価値を伝える工夫が必要になる。
世界遺産委員会は26日にも、多くの固有種が生息する「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島、沖縄)の世界自然遺産への登録を決めた。