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 ぴあ総研が28日、新型コロナウイルスの影響で壊滅的危機に陥っているライブ・エンタテインメント市場規模の推移予測を公開した。2022年3月までにイベント開催制限が完全撤廃され、2025年まで政府の支援が継続することを前提に、最短で2023年にはコロナ禍前の水準まで回復すると予測した。

【グラフ】フェスの落ち込みはもっと深刻 10年間の市場規模と動員数の推移

 ライブ・エンタテインメント市場規模は、国内で開催された音楽コンサートとステージ(ミュージカル、演劇、歌舞伎、お笑い、バレエなど)のチケット推計販売額の合計(オンライン配信ライブは含まず)を算出したもの。2020年の公演回数は前年比68.2%減(13万5874回→4万3372回)、動員数は同82.1%減(8283万人→1480万人)、市場規模は、過去最高を記録した2019年の6295億円から82.4%減の1106億円まで落ち込んだ。

 コロナ禍の収束が見えない中、感染拡大防止対策を徹底したうえで公演は徐々に再開され、2021年の公演回数は7万4413回と推計しているが、上限人数制限などが撤廃されていないため、回復は限定的。業界全体の体力も落ちているため「しばらくは厳しい状況が続く」とし、2021年の市場規模は2787億円にとどまると予測する。

 今後の見通しについて、ワクチン接種がさらに進んでコロナ禍が収束し、2022年3月までにイベント開催制限が完全撤廃されると仮定した場合、コロナ禍で抑制された需要と供給の反動増、コロナ禍前に深刻化していたライブ会場不足問題の解消、入場料収入減と感染予防対策費増に伴うチケット平均単価の上昇などの要因をあげ、2022年は5167億円、2023年には過去最高を記録した2019年を上回る6330億円まで回復すると予測。その後、年平均2.4%の安定した成長を見込んでいる。

 ただし、コロナ禍で財務基盤が傷んだライブエンタメ産業の再起は、J-LOD live(コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金)やARTS for the future!(コロナ禍を乗り越えるための文化芸術活動の充実支援事業)といった政府の支援が2025年まで継続することが前提としている。

 ぴあ広報によると、同社が2020年7月に横浜・みなとみらいに開業したぴあアリーナMM(約1万人収容)の稼働率は、2021年に入ってから60〜70%まで回復。「2022年末まで予約がほぼいっぱい」になっているという。