台北(CNN) 台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統は26日、CNNの独占インタビューに応じ、中国からの脅威が「日々」増大しているとの認識を示し、台湾における米軍の存在を初めて認めた。米中間の緊張が高まる中、台湾はその中心に位置している。
蔡総統は台湾は民主主義の「灯台」であり、民主主義の価値観に対する世界中の信頼を支えるために守られる必要があると述べた。台湾は中国南東部の海岸から200キロ足らずの距離にある。
蔡総統は「この人口2300万人の島は日々自分たちを守り、自分たちの民主主義を守ろうとしている。我々国民が自分たちにふさわしいと考える種類の自由を保持する状況を確実にしている」「もし我々が失敗すれば、こうした価値観を信じる人々が、これが自分たちが戦う(べき)価値観なのだろうかと疑念を抱くようになる」と語る。
台湾と中国本土は70年以上前の内戦終結時に国民党が退却して以来、別々に統治されてきた。台湾は今、繁栄した民主主義国家となっている一方で、本土の中国共産党は台湾を不可分の領土とみなしている。ただ、同党が台湾を支配したことは一度もない。
現在、台湾と中国の関係はこの数十年で最も冷え込んでいる。今月上旬には記録的な数の中国軍機が台湾周辺の空域に飛来した。中国の外交関係者や国営メディアからは、台湾が中国共産党の方針に従わない場合の侵攻の可能性を警告する声も出た。
軍事力の誇示が行われる背景の一つにはトランプ前米政権やバイデン現政権下で進む米台間の関係強化がある。大規模な武器の売却や米高官級当局者の訪問は、台湾の国際的な立場を補強する一方、中国政府の反感を買った。
蔡総統はCNNとのインタビューで、この数十年で総統として初めて、訓練目的で台湾に米軍が存在することを認めた。米軍は1979年に撤退し、同年、米国は公式な外交上の承認を台湾から中国へと切り替えた。ただ昨年になって、米軍の小規模な展開について示唆する報道も出ていた。
米軍は昨年早く、米陸軍特殊部隊の訓練教官が台湾にいることを示す動画を投稿し、その後削除した。昨年11月には、台湾国防部(国防省)が米軍が台湾で現地兵士を訓練していると一時発表したが、その後地元メディアに対して否定した。
蔡総統は台湾に現在存在する米軍要員の正確な数には触れなかったものの、「人々が思うほど多くはない」と述べ、「我々の防衛能力強化のため米軍と幅広い分野で協力している」とも語った。