【ワシントン=横堀裕也、テヘラン=水野翔太】アフガニスタンの首都カブールの国際空港付近で起きた自爆テロを受け、米国防総省は28日、イスラム過激派組織「イスラム国」が拠点とするアフガン東部ナンガルハル州で空爆を行い、テロの計画立案者ら2人が死亡し、1人が負傷したと発表した。米軍の撤収期限が31日に迫る中、空港周辺では厳戒態勢が続いている。
自爆テロで米兵13人が死亡したことを受け、バイデン米大統領が報復を宣言していた。米国防総省は空爆について、無人機による越境攻撃で、民間人の被害はなかったとしている。米メディアによると、米軍は、殺害した計画立案者らはカブールの国際空港を狙った新たなテロを計画していたとみており、中東方面から無人機を飛ばして攻撃したとされる。3人が26日の自爆テロに関与したかどうかは明らかにしていない。米軍が移動中の車両を攻撃したとの情報もある。
AP通信によると、26日の自爆テロについて、米政府は一般的な自爆テロの2・5~5倍の量の爆発物が使われ、殺傷性を高めるために金属破片も仕込まれていたと分析している。ロイター通信は、イスラム主義勢力タリバンが自爆テロに絡み、複数の「イスラム国」戦闘員を拘束したと報じた。
自爆テロの死者は米兵13人を含め約180人に達した。重体の人も多く、死者が増える恐れもある。
米ホワイトハウスは27日の声明で、国際空港で続く救出作戦について「ここ数日間で最も危険な期間に入る」との見通しを示した。在カブール米大使館は27日、空港入り口から「直ちに」離れるよう自国民に通告した。本紙通信員によると、周辺では、タリバンが軍用車両を配置して警戒態勢を敷いており、国外退避を希望するアフガン人の姿はほとんど見られなくなったという。救出作戦にあたる各国関係者に同行するアフガン人協力者らだけが空港に入場できる状況とみられる。
ジェン・サキ大統領報道官は27日の記者会見で、「『イスラム国』による深刻な脅威が続いている」と指摘した上で、「米軍は撤収態勢に入る。兵士の撤収だけでなく、装備品の回収も始める」と説明した。
フランス、カナダ、ポーランドなどに続き、英国も作戦を近く終了する見通しだ。ロイター通信によると、米欧などの救出により、これまでに自国民や協力者ら計11万人超が国外退避したが、多数が取り残される恐れがある。