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現在、新型コロナウイルス感染症に対処すべく各国の政府が国民にワクチン接種を呼びかけているが、ワクチン反対派の人たちがいることも事実だ。そんな中でアメリカでは公の場で「ワクチン接種しないで」と書かれた葬儀社の名前が入った広告宣伝車が注目を集めているが、実はこの広告には別の意図があったようだ。『The US Sun』『Crooks and Liars』などが伝えている。

米ノースカロライナ州シャーロットで現地時間19日、バンク・オブ・アメリカ・スタジアムの付近を走っていた広告宣伝車のトラックが多くの注目を集めた。トラックの側面には黒地に白で「ワクチン接種しないで。ウィルモア葬儀社」と書かれており、下にはウィルモア葬儀社のものと思われるウェブサイトのアドレスがあった。

この広告を目にした多くの人たちは葬儀社がこのようなメッセージを訴求したことに困惑したようで、SNSでは「元葬儀屋としてこんな広告が許されたことが驚きだわ」「そうだよね。ワクチン打ったら葬儀屋が儲からないもんね」といった声が見られた。

ところが一見、反ワクチン的な内容に映る広告だが、ウィルモア葬儀社のウェブサイトを訪れると想像を大きく覆されることとなる。そこには「今すぐワクチンを接種して」「もしまだなら、すぐにお会いしましょう」とあった。

まるでワクチンを接種していない人はすぐに葬儀社の世話になるとも取れるような内容だが、このメッセージの部分をクリックすると地元の医療機関「StarMed Healthcare」のウェブサイトへ移動するようになっている。そこにはワクチンについての情報と接種した人のための登録フォームなどが掲載され、ワクチン接種を促すような内容となっていた。

医療関係を中心にしたマーケティング情報のウェブサイト「MMM ONLINE」によると、今回注目を集めた移動宣伝車とウィルモア葬儀社のウェブサイトは完全な「ワクチン接種推進活動」を促すものだったと伝えている。そして実際にウィルモア葬儀社は存在しないとのことだが、このウェブサイトには多くのアクセスが集中したようだ。

このキャンペーンを手がけたのは広告代理店「BooneOakley社」だったが、同社のデビッド・オークリー氏(David Oakley)はCNNの取材に対し次のように述べた。

「私は従来の(ワクチン接種推進)広告は機能していないと感じています。“Get the Shot”や“Go Get Vaccinated”といった普通のメッセージでは、他のメッセージの中に埋もれてしまうのです。」
「視点を変えて、人々に『なんてこった!』と衝撃を与えるようなことをしたかったのです。」
「私たちがこのような活動を行ったのは、人々にワクチンを接種してもらいたいからであり、あの広告のおかげで1人でも多くの人がワクチンを接種してくれれば大成功だと思います。たった一人でも、私にとっては価値のあることなのです。」

また米最大手のヘルスケアを中心に扱う総合広告代理店「CMI Media Group」の執行役員であるアンドリュー・ミラー氏(Andrew Miller)も「人々の話題を集める素晴らしいマーケティングキャンペーンである」と称賛しこのように語った。

「もしワクチン反対派の人たちをターゲットにしているのであれば、彼らの注意を引いてウェブサイトにアクセスしてもらうことにより、今まで目にすることの無かった情報を見てもらう機会を与えることができると言えます。それは彼らの視点を変えることにもなるでしょう。」

また同氏は「巧妙なキャンペーンではあるが、実際には一部の人が直面した悲しい状況を逆手にとった皮肉なアイデアだと言えます。つまりワクチン接種をためらった多くの人が、実際に葬儀屋の世話になっている現状を利用して関心を集めたようなものですから」と話している。画像は『AMERICA’S BEST PATRIOT Alison Boxxer 2021年9月21日付Twitter「“Vaccine is Full of Sh”」』『wilmorefuneralhome.com』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)