【ワシントン=渡辺浩生】中国が核弾頭を搭載可能な極超音速兵器の発射実験を8月に行ったとの英紙報道をめぐり、米軍制服組トップのミリー米統合参謀本部議長が実験の実施を認めた上で「大変憂慮すべきことだ」と発言した。27日放送の米ブルームバーグテレビのインタビューで語った。
音速の5倍以上の速度で飛行して探知が困難な極超音速兵器は、弾道ミサイルの迎撃を念頭に置いた既存のミサイル防衛網を無力化しかねない、との指摘がある。米国、ロシアも開発を競っている。
ミリー議長は「われわれが目の当たりにしたのは、極超音速兵器システムの実験という大変重大な出来事だった」と指摘。これまで国防総省は英紙報道について個別のコメントや確認を避けてきたが、米高官として初めて実験実施を認めた形だ。
米国内では、中国の実験実施を、1957年に旧ソ連が史上初の人工衛星打ち上げに成功して米国に衝撃を与えた「スプートニク・モーメント」に匹敵するとの指摘がある。ミリー氏は「よくわからないが、かなりそれ(スプートニク・モーメント)に近いと思う」とも語った。
米ホワイトハウスのサキ報道官は27日の記者会見で「中国は地域の緊張を高める能力を追求し続けている」と指摘し、議長の発言は中国の軍備増強全般に対する米国の懸念を反映したものだと語った。