フランスで過ごした最後の1日はかなり大忙しだった。
その数日前、20日付で解約したはずのiPhoneが未だに電波を受信していた。もしや解約がちゃんと出来ていなくて、来月分まで支払わなければいけないとしたら非常に困る。帰るのは明日だし、銀行口座も閉じてあるから支払い能力なんてない。
そんな事をその前々日に友人の相談していたら、この日の昼に一緒にオランジュショップに行ってくれる事になった。
ついでに携帯のSIMロック解除もお願いしてもらう事にした。
結果として、電波を今も受信しているのは仕様で、解約した日から10日間は使えるのだそう。ナンじゃそりゃ。
てなわけで、20日に解約して24日まで使えないのだと思っていた携帯は、バッチリ帰国まで繋がっていました。(帰国後はずっと機内モードにしていたけれど、さっき見たら電話番号の登録が消えていたので無事に解約された模様。良かった!)
SIMロックも普通にできた。ただし、auショップのお姉さんの話によると、フランスでiPhoneのSIMロックを解除してそれにauのSIMカードを入れても「おそらく動作しないだろう」との話だった。
仕方ないので今日、晴れて日本のauでiPhone4Sを契約して、試しにSIMカードを入れてみたけどやっぱりダメだった。
機械の方ではなく、カードの方の都合でauでないと使えないらしい。
電話問題が解決し、次は保証金。
この日の朝、”État de lieu”という書類(要は部屋の備品が壊れてないかとかをチェックする書類)を作ってもらい、寮を運営する大学の関連事務所へ行った。
入居の際に支払った500ユーロ程の保証金を全額返してもらえた。
フランスにおける日常生活で100€札を見る事は殆どないので、記念撮影。
ユーロ紙幣の最高額面は200ユーロだけど、フランスではほぼ流通してないといっていいと思う。少なくとも僕はフランスでは遂に1度も200ユーロ札を見た事はなかった。ギリシャでホテルの代金を払おうとお金を下ろした時に見たのが最初で最後だった。
200ユーロ札を使わなければいけないような高額なお金のやり取りは小切手で行われるのが普通だし、100ユーロの新札をスーパーで使ったら警備員がやってきて偽札チェックをしていった事からも分かる通り、紙幣への信用度はかなり低いのだと思う。
口座を閉じ、携帯を切り、遂に寮の退去手続きも済ませて後は本当に帰るだけになった。
仲の良かった友達には携帯の番号(ふだんはSMSでやり取りするからメールアドレスは必要ない)でなくメールアドレスを教えて、部屋に残った私物で持ち帰らないものは全て捨てて、かなりスッキリした状態で最後の夜を迎えた。
夕方、いつも行くケバブ屋のおじさんに声をかけた。
「明日日本に帰るんだ。」
「そうか!!いつ戻ってくるんだ?」
「いつかは分からない。とりあえず勉強を続けて卒業しなきゃ。」
「そっか~。ここにポストカードを飾ってるんだけどさ、東京のポストカードもひとつ送ってくれよ。」
「わかった!落ち着いたら1枚選んで書くね。」
夜は、ここ数ヶ月頻繁に通っていた近所のビールバーに行った。
月曜の夜だからいつもよりは人が少なかったけど、常連さんも何人かいた。
ここで会う人とはここでしか会わないから、ここの常連仲間には何日か前から「君と話すのは今日で最後かもね」と言ってあった。
「今日がフランスでの最後の夜なんだ」
と言ったらみんな一様に残念がってくれ、何人かは日本に行った時はガイドを頼むと言ってくれた。
名残惜しく閉店までダラダラして、少し飲んで喋って、「あびやんと!」と言って帰宅した。
またフランスに来る事があったら、必ず一度はリールに来たいな。とてもいいバーです。”La Capsule”
あちこち歩き回って、結構疲れた。
最後の夜はなんだかとても長く感じた。
静かな夜だった。