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2021年の国際ボランティア・デー(12月5日)のテーマは「私たちの共通の未来のために今こそボランティアをしよう(Volunteer now for our common future)」でした。これからの社会を担う若い世代はボランティア活動や社会問題についてどのような意識を持っているのでしょうか? 最近、アメリカで発表されたチャリティーに関する調査結果などから探ってみましょう。

↑ボランティアを変えるミレニアルとZ世代

 

2021年12月、アメリカの金融機関であるウェルズ・ファーゴは、アメリカ人のチャリティー活動に関するアンケート調査の結果を発表しました。この調査は同年11月にオンラインで実施され、同国の成人811人が回答。若い世代が募金の方法を変えていることが明らかになりました。この調査によれば、回答者の46%が、社会的弱者の夢や目標を実現するためのクラウドファンディング・プラットフォーム「GoFundMe」やソーシャルメディア、インターネットを通して寄付をしているそう。この傾向は、1980年から1990年代前半に生まれた「ミレニアル世代」や、90年代後半から2000年代に生まれた「Z世代」に多くみられることが特徴です。

 

コロナ禍の影響も見られました。同調査によれば、回答者の46%がコロナ禍で寄付の量を増やしたとのこと。逆に寄付を減らした人は11%でした。ミレニアル世代(74%)とZ世代(76%)は寄付が足りないと考えていることも判明しています。しかも、ミレニアル世代とZ世代の回答者の約半分は、お金ではなく時間を与えたいと考えていました。「慈善活動とは必ずしも募金することとは限らず、単純に考え方であることが多い」とウェルズ・ファーゴの関係者は述べています。

 

ボランティアは自分のためにもなる

以前から、ミレニアルやZ世代はボランティアに対して意識が高いことが知られていました。イギリスのチャリティー団体「ブリティッシュ・ハート・ファウンデーション(British Heart Foundation)」が、2019年に同国の成人2001人を対象に行ったボランティアに関する調査によると、Z世代でボランティア活動に参加した経験がある人は46%、現在ボランティア活動に参加中の人は24%でした。それに対して、55歳以上の人はおよそ33%がボランティア活動の経験が一度もなく、「今後もボランティア活動をする予定はない」と回答していました。

 

世代によってボランティアへの関心が異なるのは、ボランティアに対する見方と関係がありそうです。この調査では、年齢が高い世代ではボランティアを、自分ではなく他人のために行う「利他的」なものと捉えているのに対して、Z世代はボランティア活動を「新しいスキルや経験を得るための手段」と見ていることがわかりました。Z世代は、ボランティア活動を通して新しい人や考え方に触れ、他人や社会のために良いことをしつつ自分の経験を豊かにしていきたいと考えているのかもしれません。

 

Z世代の考え方に注目すると、彼らには社会問題や環境問題に対する意識が高いという特徴があります。2017年にアメリカの13歳から19歳までの男女1003人を対象に行われた調査では、モノを買う場合、回答者の89%が「社会問題や環境問題に取り組んでいる企業から買いたい」と考えており、92%が「(2社で)価格と品質が同じなら、社会問題や環境問題で良い取り組みを行っている企業のほうを選ぶ」と答えていました。リサイクルの制度が普及し、多様性を重んじる教育を受けて育ってきたZ世代は、もともと社会問題や環境問題を自分事として捉える意識が根付いており、それがブランドやモノを選ぶ基準の一つになっているようです。

 

これらの調査からは、ミレニアル世代とZ世代は社会や環境に対する意識・関心が高く、ボランティア活動などを通して社会と積極的に繋がろうとしている姿が見えてきます。「より良い社会にしたい」という思いが強い若い世代が、21世紀のボランティアを変えていきそうです。