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海外で人気の「野長ナンバー」とは?

 日本では、希望ナンバーやご当地ナンバーなど、自分のクルマに取り付けるナンバープレートにこだわる人も多くなっています。
 
 一方で海外では日本のナンバープレートが人気を集めているといいますが、そのなかでも日本に実在しない「野長ナンバー」の人気があるようです。

海外では謎の「野長ナンバー」が人気だという(photo:sign*chicken)

 海外、とくにアジアや北米では2000年以降の日本製スポーツカーの人気と共に、日本のレプリカ(模造)ナンバーを愛車に取り付ける「ナンバープレートカスタム」が広まってきました。
 
「25年ルール」や「JDM」という言葉が海外の日本車ファンの間で広く認知されるようになった2010年代前半頃から、日本のナンバープレートは「JDM plate」(JDMプレート)と呼ばれ、レプリカから本物の使用済みナンバーまでebayなどのフリマサイトで多数、販売されています。

【画像】希望ナンバー「1008」は何の語呂合わせ? 答えを見る!(16枚)

 なお、本物の使用済みナンバープレートには返納義務があり、廃車手続きのあと記念所蔵として破壊処理(直径40ミリの穴をあける)したプレート以外、日本から持ち出されることがそもそも違法です。

 人気のレプリカナンバーには「横浜」「神戸」「京都」など海外でも良く知られる都市名が多く使われていますが、実はこれらの有名都市よりも圧倒的にポピュラーな地名があります。それが「野長」です。

 日本のフリマサイトで販売されている例は少数ですが、ebayやWISHウィッシュといった海外のフリマサイトには多数の「野長」なる地名のレプリカナンバーが出品されており人気商品となっています。

 海外のフリマサイトでは、「Japanese License Plate」や「JDM Plate」などの商品名で販売されていることが多く、特徴としては以下が記されています。

 ・アルミ製なので錆びない
 ・穴が開いているのですぐに取り付け可能
 ・穴の位置は多少の誤差があるかも
 ・取り付けはプロにやってもらうのがおススメ
 ・サイズは33cm×16.5cm(日本の中型ナンバープレートのサイズと同一)

 なお価格は幅が広く1枚1300円前後から4000円前後まで同じようなナンバーに見えても差があります。

 その「野長」ナンバー。「日本人なら『長野』の反対じゃないの?」ということはすぐにわかるでしょう。

 では、「なぜ反対なのか?」また、「東京」や「京都」「横浜」など世界に名が知れた都市ではなくなぜ「長野」がベースになっているのでしょうか。

 海外のフリマサイトで野長ナンバーを3年前から販売している業者に「野長」の意味を聞いてみたところ、次のように話しています。

「漢字のナンバー、日本のナンバープレートはとくに人気があります。

『野長』の意味は良く分かりません。日本にある地名だと聞いたことがあります。

 JDMプレートのなかではかなり昔からありますね。『横浜』も『札幌』も『京都』など、いろんな名前がありますが漢字の意味はわかりません。

『野長』が人気というよりも、十年以上前からあるからたくさん販売されているという感じです」

※ ※ ※

 販売側も「野長=地名」だという認識はあるようですが、その意味や由来などは深く考えたことがないようです。

「野長」は「長野オリンピック」に関係している?

 アメリカで日本の1990年代スポーツカーを扱う専門店に「長野」という地名がどれくらい認識されているのか聞いてみたところ、次のように話していました。

「長野は1998年の冬季オリンピックがおこなわれた場所だから世界で有名になりました。

 東京や神戸、京都など海外によく知られた日本の都市名ではなく、今まで聞いたことがなかった『長野』という地名が新鮮なイメージを与えたのでしょう。

 また、1990年代の終わりといえばインターネットが一般に普及し始めた時期ですから、『長野』の地名も世界に拡散されたのかもしれません。

 実際、「長野」でも「野長」でもその違いを気にする人はアメリカではほとんどいないでしょう。

 日本のナンバープレートらしく漢字が使われていればそれでいいのかもしれません」

「ロングビーチ=長浜」というナンバー(photo:Japanese Classic Car Show 日本旧車集会)

 さらに、カリフォルニア州ロングビーチで開催される全米最大の旧車イベント「JCCS」(Japanese Classic Car Show日本旧車集会)を2005年の初回から主催するテリー山口氏は、「野長」について次のように話しています。

「野長はかなり前からよく見ますが、多分最初にレプリカのJDMプレートを製作して売り出したショップが作ったものがはびこっているだけではないでしょうか。

 大量生産したほうが1枚当たりのコストが安いので、たくさん作ったのかもしれません。

『長野』ではなく『野長』にしたのは、単なるミスということも考えられますが、(あくまで私の推測ですが)長野は実際にナンバープレートの地名として日本で使われているため、ナンバープレートの偽造という違法行為に当たらないよう、わざとひっくり返して『野長』にした可能性もあります」

 前述にある「野長」の由来を販売業者や事情通の話からまとめてみると、次のようになります。

 ・「野長」は「長野」に由来する。1998年長野オリンピックで「長野」の名前が世界に拡散?
 ・違法行為にならないよう、敢えて「野長」にした説もあり
 ・JDMプレートがはやり始めた頃、最初に「野長」でレプリカナンバーを作ったその流れで今もポピュラー
 ・地名の意味まで調べる人は少なく、ほとんどの人が「ナンバーに漢字がついていればそれでいい」と思っている?

※ ※ ※

 ちなみに、JCCSでは2019年は15周年を記念して、「長浜15 あ 旧車‐集会」なるナンバープレートを作成しました。

 長浜は会場である都市名「ロングビーチ」をそのまま日本語にしたものです。

 前出のテリー氏いわく「意味を聞いてくる人は数人です。販売する際には説明文を入れています」とのことでした。