Intel NUCなどのようにクライアント用Intel NICを搭載している場合、Windows ServerやHyper-V Serverをインストールしても、Intel NIC用ドライバーをインストールできないためネットワークを利用できません。
ここではできるだけ簡単に、搭載されたIntel NICを使えるようにする方法を説明します。
Intel Ethernet Connection I219-V
Intel Ethernet Connection I219-Vは、Intel NUCなどクライアント用途で使われるパソコンに搭載されているギガビットイーサネット・ネットワークインターフェースコントローラー(NIC)です。
このインテルLANアダプターが搭載されたパソコンに、Windows ServerやHyper-V ServerなどのサーバーWindowsをインストールして、Intel NIC用のドライバーをインストールしようとすると、このような表示が出てインストールできません。
これはクライアント用LANアダプターはクライアントWindowsでしか使えないように、わざとドライバーの定義ファイルでサーバーWindowsの記述を排除しているためです。
しかしサーバーWindowsでネットワークが使えないのは致命的です。簡単に解決する方法はこのようなUSB接続のLANアダプターを使用することです。
それでもやはり、搭載されているインテルNICを使いたいと思うでしょう。
そのためには多少面倒ですが、下記の手順でインテルLANドライバーをインストールすることで、インテルLANアダプターを使えるようにすることができます。
方法についてはこちらで説明されているのですが、分かり難い点があるため詳細に説明します。
- Microsoft Hyper-V Server 2016でNICが読み込まれない問題について(Qiita)
- Windows Server 2019にIntel LAN Adapter I219-Vのドライバをインストールする(物理の駅 by 現役研究者)
ここではIntel Ethernet Connection I219-Vについて説明しますが、手順通りに対応するドライバーを調べれば、他のLANアダプターでも同様の手順でドライバーをインストールできるはずです。
インテルNIC用ドライバーのインストール手順
以下の手順でLANドライバーをインストールします。
1.ドライバーのファイル名を調べる
インテルLANドライバーのインストールパッケージには、複数のタイプのIntel NICドライバーが、各Windows別に分類されてパッケージ化されています。そのため対応するドライバーのファイルを特定するのが困難です。
簡単な方法は対象のパソコンにクライアントWindowsをインストールして、そこにIntel NICドライバーをインストールして、インストールされたドライバーファイルを確認します。
まず、Windows 11またはWindows 10をインストールします。エディションはProでもHomeでも構いません。インストール後はライセンス認証はしません。
こちらからツールをダウンロードしてインストールメディアを作成して、Windows 11またはWindows 10をインストールします。
- Windows 11 をダウンロードする(Microsoft)
- Windows 10 のダウンロード(Microsoft)
インストールしたら「スタート」ボタンを右クリックするか、[Windows]+[X]を押して開いたメニューから「デバイスマネージャー」をクリックして起動します。
「ネットワークアダプター」を開いてIntel NICの項目、ここでは「Intel(R) Ethernet Connection (10) I219-V」をダブルクリックして「プロパティ」を開きます。
「ドライバー」タブに切り替えて「ドライバーの詳細」をクリックします。
「ドライバーファイル」に表示された項目で拡張子が「sys」のファイルのファイル名を調べます。ここでは「e1d68x64」ですので、このファイル名をメモしておきます。
必要な情報は得られたので、開いているダイアログやプログラムを閉じます。
2.Intel NIC用のLANドライバーの準備
インテルのサイトから最新のLANドライバーパッケージをダウンロードします。Intel NUCのドライバーはこちらとなります。
ダウンロードしたドライバーパッケージファイル、例えば「lan-win10-25.6.exe」は自己展開型のZIPファイルですので拡張子を「zip」に変更して展開します。
I219-Vは最大1Gbps(1000Mbps)のアダプターなので「PRO1000」フォルダーに着目します。第11世代NUCなど2.5Gbps(2500Mbps)のアダプターを搭載したパソコン用なら「PRO2500」となります。
「PRO1000」の下の「Winx64」の下の「NDIS68」を開きます。他のフォルダーは初期のWindows 10やWindows 8.1など、古いWindows用のドライバーです。何故、このフォルダーが正解なのかは、「1.ドライバーのファイル名を調べる」で調べたファイル名「e1d68x64」に「68」が含まれているためです。「64」は64ビットWindowsを表す「x64」の一部で「NDIS64」を指すものではありません。
「NDIS68」をフォルダーごとUSBメディアにコピーしておきます。
3.Windows ServerまたはHyper-V Serverのインストール
Windows 11またはWindows 10と同じ構造のサーバーWindowsは、Windows Server 2016またはHyper-V Server 2016以降ですので、これらのサーバーWindowsをインストールします。
4.セキュアブートを無効にする
この後の操作で「セキュアブート」が有効になっているとLANドライバーをインストールする準備ができません。そのまま実行するとこのようにコマンドがエラーとなり実行されません。
そのため一時的に「セキュアブート」を無効にします。
サーバーWindowsをシャットダウンしてBIOS画面を表示させます。Intel NUCの場合はパソコン起動時に[F2]を押します。BIOS画面を表示させる方法はパソコンによって違いますので、取扱説明書やメーカーサイトで確認してください。
「セキュアブート」を無効にするには、Intel NUCの場合は「Boot」セクションの「Secure Boot」タブの「Secure Boot」のチェックを外して、設定を保存します。
BIOSを終了して、サーバーWindowsを起動します。
5.「デバイスID」を調べる
サーバーWindowsが起動したらサインインして、「Windowsターミナル」「Windows PowerShell」「コマンドプロンプト」などコマンドが使えるアプリを開きます。管理者権限は必要ありません。Hyper-V Serverでは開いているコマンドプロンプト画面を利用します。
次のコマンドを実行します。
- msinfo32
左側で「コンポーネント」を開き「問題のあるデバイス」を選択します。
右側の「イーサネットコントローラー」に表示された文字列の「DEV_」の次に記された4桁の英数字を読み取ります。ここでは「15BE」です。これがサーバーWindowsに対応した記述を追加するために必要な「デバイスID」ですのでメモしておきます。
6.「inf」ファイルの書き換え
USBメディアにコピーしたドライバーのファイルをサーバーWindowsでも使えるように書き換えます。
まず、こちらのファイルをダウンロードしてください。
このファイルを展開すると「書き換え済み inf」というフォルダーの下に「I219-V」用ドライバー「ver.25.6」のデバイスIDが「15BE」の場合に利用できる、書き換え済みの「e1d68x64.inf」があります。同じ環境なら下記の手順で書き換えなくてもUSBメディアの「NDIS68」フォルダーに上書きコピーすることで使えます。
数字で始まる3つのファイルは後で使用するためUSBメディアの「NDIS68」フォルダーにコピーしておきます。
違う環境、または、より新しいバージョンのドライバーを使う場合は、以下の手順で書き換えます。
USBメディアの「NDIS68」フォルダー内でファイル名が「1.ドライバーのファイル名を調べる」で調べた「e1d68x64」で拡張子が「inf」のファイル「e1d68x64.inf」を「メモ帳」で開きます。infファイルは複数の言語で記述されているため、インストールされていない言語は文字化けしますが無視してください。スタートメニューが使えない環境でメモ帳を起動するには「notepad」というコマンドで起動します。
まず、[Intel.NTamd64.10.0.1..18362]というセッションを探します。
そこから下に向かって「5.「PNPデバイスID」を調べる」で調べたデバイスIDの前に「E」を付けた「E15BE」を含む2行を探します。2行を選択して[Ctrl]+[C]でコピーします。行が長いので改行に注意してください。これを2か所に貼り付けます。
1か所目は[Intel.NTamd64.10.0]というセクションの最後です。
単純に貼り付けるのではなく、他の行と同じように体裁を整えます。
2か所目は[Intel.NTamd64.10.0…18362]というセクションの最後です。
同様に単純に貼り付けるのではなく、他の行と同じように体裁を整えます。
編集が終わったら、上書き保存します。
7.ドライバーのインストール準備
管理者権限のWindowsターミナルまたはコマンドプロンプトを開いて、USBメディアの「NDIS68」フォルダーをサーバーWindowsの任意のフォルダーにコピーします。
そしてカレントフォルダーを「NDIS68」フォルダーに変更します。
「NDIS68」フォルダーには、
- Intel NIC用のドライバーファイル
- 書き換えたinfファイル
- 当サイトからダウンロードしてコピーした「1-NetDriver.cmd」「2-NetDriver.cmd」「3-NetDriver.cmd」
が揃っているはずです。
未署名のドライバーをインストールできるように設定を変更します。
[1]、[Tab]を押すと「1-NetDriver.cmd」と表示されるので[Enter]を押して実行します。
「この操作を正しく終了しました。」と表示されていることを確認してください。表示されない場合は、「4.セキュアブートを無効にする」が正しく行われているか確認してください。
8.再起動
パソコンを再起動させます。
9.LANドライバーのインストール
管理者権限のWindowsターミナルまたはコマンドプロンプトを開いて、カレントフォルダーを「NDIS68」フォルダーに変更します。
[2]、[Tab]を押すと「2-NetDriver.cmd」と表示されるので[Enter]を押して実行します。
編集したinfファイルが「e1d68x64.inf」ではない場合は、以下のコマンドを実行してください。
- pnputil -i -a <infファイル名>
正しく実行されるとこのような表示が出ます。これはinfファイルを書き換えたため不正なドライバーと判断されたためです。
今回は意図的に書き換えていますので問題ありません。「このドライバーソフトウェアをインストールします」をクリックします。
インストールされるとこのように表示されます。
「msinfo32」を実行してみると「コンポーネント」「ネットワーク」「アダプター」に「Intel(R) Ethernet Connection I219-V」とあり、Intel NICが正しく動作していることが確認できます。
10.後始末
未署名のドライバーをインストールできるように設定を変更したので、元に戻します。
管理者権限のWindowsターミナルまたはコマンドプロンプトを開いて、カレントフォルダーを「NDIS68」フォルダーに変更します。
[3]、[Tab]を押すと「3-NetDriver.cmd」と表示されるので[Enter]を押して実行します。
「この操作を正しく終了しました。」と表示されていることを確認してください。
11.セキュアブートを有効に戻す
サーバーWindowsをシャットダウンしてBIOS画面を表示させます。Intel NUCの場合はパソコン起動時に[F2]を押します。BIOS画面の表示させ方はパソコンによって違いますので取扱説明書やメーカーサイトで確認してください。
Intel NUCの場合は「Boot」セクションの「Secure Boot」タブの「Secure Boot」のチェックを入れて、設定を保存します。
BIOSを終了して、サーバーWindowsを起動します。
まとめ
非常に面倒ですが、同じパソコンにサーバーWindowsを再インストールする可能性があるなら、infファイルを残しておけば今度は多少楽になるでしょう。
LANドライバーと同様にグラフィックスドライバーもサーバーWindowsにはインストールできません。使えれば仮想マシンの表示速度はもっと速くなるのですが残念です。
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