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General Motors(ゼネラルモーターズ)傘下で自動運転車を開発するCruise(クルーズ)は、カリフォルニア州セントラルバレーの農場から太陽光発電電力を調達する「Farm to Fleet」という新たな取り組みを始めた。San Francisco Chronicle紙が最初に報じたところによると、Cruiseは、Sundale Vineyards(サンデール・ヴィンヤーズ)とMoonlight Companies(ムーンライト・カンパニーズ)から再生可能エネルギー・クレジットを直接購入し、サンフランシスコで運行するすべての電気自動車の電力供給に活用しようとしている。

Cruiseは先日、サンフランシスコで人間のセーフティーオペレーターがいない試験車両で乗客を運ぶ認可を取得した。また、GM Financial(GMフィナンシャル)から50億ドル(約5500億円)の融資枠を受け、電気自動車や自動運転車など数百台のCruise Originを購入し、商用化に向けた動きを加速させている。今回のカリフォルニア州の農家との提携は、再生可能エネルギーの導入を進めるカリフォルニア州にとって有益であることは間違いないが、Cruiseは慈善事業を行っているわけではない。

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California Independent System Operator(カリフォルニア独立系統運用機関)はこの夏、電力需要が高まり、停電を起こす可能性のある熱波を想定し、米国西部の電力会社にメガワット単位での販売を呼びかけた。電力供給は、干ばつや停電、新しいエネルギー源の導入の遅れ、水力発電の減少などにより、すでに予想を下回っている。Cruiseが計画している大幅な台数の増加にカリフォルニア州の送電網が対応するには、送電網を強化するしかないようだ。しかし、Cruiseは、エネルギー源を確保するだけではなく、より高い目標を持っていることを明言している。

Cruiseの広報担当Ray Wert(レイ・ワート)氏はTechCrunchの取材に対し「私たちが都市やコミュニティのために正しいことをし、交通手段を根本的に変えていくことが目的です」と述べた。

環境保護団体「Nature Conservancy」の報告書によると、カリフォルニア州の農家は干ばつに悩まされており、農地を太陽光発電所に変えることにより気候変動の目標を達成できる可能性がある。だからこそCruiseは、セントラルバレーの農家に今アプローチすることに意味があると考えたのだ。

「Farm to Fleetは、都市部の交通機関の二酸化炭素排出量を急速に削減すると同時に、再生可能エネルギーに取り組むカリフォルニアの農家に新たな収入をもたらす手段です」とソーシャル・アフェアーズ&グローバル・インパクト担当副社長のRob Grant(ロブ・グラント)氏はブログで述べた。

Cruiseは、クリーンエネルギーのパートナーであるBTR Energy(BTRエナジー)を通じて、農家に対し合意した契約料金を支払っている。同社はコストを公表していないが、他の形態の再生可能エネルギー・クレジット(REC)を使用した場合と比べて、支払う金額は大きくも小さくもないとしている。RECは、再生可能エネルギー源が1メガワット時の電力を発電し、それを送電網に渡すと生成される。Cruiseによると、Sundaleは20万平方フィート(約1万9000平方メートル)の冷蔵倉庫に電力を供給するために、2メガワットの太陽電池容量を設置し、Moonlightは選別・保管施設に合計3.9メガワットの太陽電池アレイと2つのバッテリー貯蔵システムを設置しているという。これらの農場からクレジットを購入することで、Cruiseは電力使用量のうち特定の量が再生可能エネルギーで賄われていることを証明できる。RECは一意であり追跡できるため、どこから来たのか、どのようなエネルギーを使ったのか、どこに行ったのかが明確になる。Cruiseは、農場から購入するRECの数量について明らかにしていないが、同社のサンフランシスコの車を動かすのに十分な量だと述べている。

「太陽光発電の電力は同じ送電網を通っています。Cruiseは農場のソーラーパネルで発電された再生可能エネルギー・クレジットを購入しますが、最終的にそれはなくなります」とワート氏は話す。「カリフォルニア州大気資源局に四半期ごとに提出するデータにより、車両の充電に使用した電力量に相当する数のRECを償却しています」。

また、CruiseはBTRエナジーと協力し、アリゾナ州での事業に必要なRECの供給を確保している。同州での事業には、Walmart(ウォルマート)との配送試験も含まれる。

カリフォルニア州では低炭素燃料基準が定められており、輸送用燃料の炭素強度を低減し、より多くの低炭素代替燃料を提供することを目的としているため、完全に再生可能な電力を使用することはCruiseにとって有益だとワート氏はいう。同社はすべてのEV充電ポートを自社で所有・運営しているため、電力の炭素強度スコアとエネルギー供給量に応じてクレジットを生成することができる。Cruiseはこのクレジットを、二酸化炭素排出量の削減や法規制の遵守を求める他の企業に販売することができる。

Cruiseは、実用性だけでなく、業界の標準を確立し、再生可能エネルギーの需要を創出することで、より多くの人々や企業に再生可能エネルギーの創出を促すことを目指している。

グリッド分析を行うスタートアップであるKevala(ケバラ)のCEOのAram Shumavon(アラム・シュマボン)氏は、今回の提携について、Cruiseを賞賛すべきだと述べている。

「Cruiseが認めようとしているのは、同社が消費する電力に関する炭素強度であり、それを何らかの形で相殺しているということです」とシュマボン氏はTechCrunchに語った。「炭素会計にはスコープ3と呼ばれるカテゴリーがあり、サービス提供に必要なサプライチェーンが実際にどれだけの炭素を含んでいるのかを把握しようとするものです」。

シュマボン氏は、商業活動の炭素強度を定量化することで、企業はその説明責任を果たすことができ、供給者には自然エネルギーからの供給を求めることで、変化を促すことができると述べている。例えば、ある自動車メーカーは、アルミニウムを供給する会社に、石炭発電ではなく水力発電のある地域からのみ調達するよう依頼することができる。これにより、自動車メーカーの炭素強度を下げることができる。

「輸送部門は温室効果ガス排出量の40%以上を占めています。そのため、我々は2月に『クリーンマイル・チャレンジ』を発表し、自動運転業界の他の企業に、毎年何マイルを再生可能エネルギーで走行しているかを報告するよう呼びかけました」とワート氏は話す。「他の企業が我々に追随することを期待しています」。

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画像クレジット:Cruise

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi