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2021: More than OK!

今年もGoogle(Alphabet)にお世話にならない日はありませんでした。このインフォグラフィックによると、人類は毎分570万回もGoogle検索し、約69万時間分の動画をYouTubeで見ていたそうです(YouTubeはGoogle傘下、GoogleはAlphabet傘下)。

それだけでもヤベェ会社だなと思いますが、今年はコア以外の部分もすごかった!

コスパも技術もエゲツない Google Pixel 6

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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

Google謹製のAndroidスマホが日本市場デビューを果たしたのが2018年。Pixel 3は、ソフトの力で群を抜いてキレイな写真が撮れるシンプルイズベストなスマホでした。ただしメモリ容量やバッテリー持ちがちょっと物足りない記憶。

2019年のPixel 4は、Soliレーダーという飛び道具が最高に面白いスマホでした。でもバッテリー持ちは相変わらずで、カメラのハードウェアが物足りなかった…。そして2020年のPixel 5はスペックが中堅なのにお値段が結構しちゃう、スタイル重視な微妙スマホでした。

Pixel 3〜5で共通しているのは、ハードウェアが弱い割に値がはっているところです。魅力度は3→4→5と下がってきているように思えたくらいで、Pixelも「Killed by Google」の墓場に向かっているのかなーと心配していたほど。

が!!

2021年のPixel 6はそんな憂いを吹き飛ばすスター選手でした。Googleがハードウェアに本気を出して、スマホの根幹にあるプロセッサーを自社設計。そのおかげで、あらゆるAI機能をオンデバイス処理に落とし込むことに成功しています。写り込みを消し去る画像処理や、文字起こし翻訳といった言語処理まで、オフラインで利用できるのは画期的です。

Video: ギズモード・ジャパン/YouTube

ソフトウェアアップデートは従来の3年から5年に延長され、メモリ容量やカメラ構成などのハードウェアも軒並みアップグレードを果たしています。まさしくフラグシップとなったのに、お値段はPixel 5にたったのプラス1万円。Galaxy S21などと比べると1万円ほど安く、性能を考えると納得感は十分。Pixel 6は、2021年ベストスマホはこれなんじゃないかと思えるくらい素晴らしい出来だったんです(AIでAI用のチップをデザインしたら人間がやるより早くなったという研究結果もアツい)。

こうなると噂のスマートウォッチ、Pixel Watchへの期待も高まりますし、チップを自社設計していると噂の2023年Chromebookも期待大。IoT部門でもMatterにいち早く対応するなど、2021年のGoogleからはハードウェアへの熱が感じられました。

いきなり息を吹き返した Wear OS

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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

Googleのスマートウォッチ用OS、Wear OSの苦悩は一言でまとめると、「ニワトリとタマゴ」だと思います。Wear OSが大手スマートウォッチメーカーに採用されない→GoogleもQualcommもWear OSに注力できない→Wear OSがよくならない→メーカーに採用されない。なんていう感じのグダグダ。

この負のスパイラルを打開すべく、GoogleとSamsungは手を組んでそれぞれのスマートウォッチプラットフォーム、Wear OSとTizenを2021年に統合させました。

そして生まれた新生Wear OS。初めて搭載したGalaxy Watch 4は「Goodと思えた初めてのAndroidスマートウォッチ」と米Gizmodoに言わしめるほどの仕上がりで、Androidユーザーの多くが「やっとか!」と思ったはずです。

販売シェアでもGalaxyシリーズが大きく成長しましたし、この勢いで最高なPixel Watchが発売されたら、長らく「Apple Watchとその他」だったスマートウォッチ業界が変わりそう。

これまでのWear OSがダメダメすぎたのもありますが、今年はとにかく大躍進しましたね。

量子から宇宙まで抜け目なし

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Image: Google | Sycamore 量子プロセッサ

暦を読むアナログコンピューター、弾道計算をするデジタルコンピューター、そしていよいよ広まりそうな量子コンピューター。新たな時代の幕開けです。

そこでもGoogleはしっかり存在感を示しています。2021年5月に「誤り訂正可能な100万量子ビットの量子コンピューター」を10年以内に開発する道筋が立ったと発表したんです。これは実用的な量子コンピューターが作られるという意味で、一部の分野においてはスーパーコンピューターをはるかに凌駕する計算能力が、Googleの手によって一気に開ける可能性があるということ。

量子コンピューターは自然界の力そのものを使って計算する新たな手法なので、この世界の理解がさらに加速していくはずです。つまり自然科学の発展。すると応用科学も底上げされるので、そのまま技術→ガジェット→サービスと最先端化学の恩恵がもっともっと身近になってくるでしょう。たとえばお望みの能力を持ったAIや、特殊な性質を持った素材の作り方をすぐに導き出せるかもしれません。

そんな量子コンピューティングのパワーは、Googleのクラウドを通じて世界中の研究者が使えるようになるはずです。しかしそれは海底の光ファイバーケーブルだけではなく、宇宙も経由していることと思います。

というのも、Googleは2021年にSpaceX社と手を結んでGoogleのデータセンターをStarlink衛星ブロードバンドに直結すると発表しているんです(その裏で気球インターネット開発は停止)。つまりStarlinkに繋ぐためのガジェットを持ってさえいれば、地球のどこにいてもGoogleのネットサービスが使えるということ。

なんだったら、Starlinkプロジェクトはいずれ月や火星と接続することも視野に入れているでしょうから、宇宙のどこにいてもGoogleが使えるようになっているかもしれませんね。2015年にSpaceXに投資したGoogleは、いったいどこまで見据えていたのか。

ノーベル賞級のAIテックで創薬

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Image: DeepMind|分子レベルのマシンとも呼べるタンパク質は、形状でその機能が変わる

人体の60〜70%は水といいますが、その次に多いのがタンパク質です。だいたい10〜15%ほど。

毛も皮膚も神経も脳もタンパク質なしでは存在しえませんし、タンパク質が不可欠なのはほかの動物はもちろんこと、細菌やウイルスについても言えることです。地球生命は、タンパク質によって形作られているといっても過言ではありません(ウイルスが生命かどうかは別の話)。

なので「タンパク質」がどういうものか理解して自由にイジれるようになれば、人類文明にとって絶大な意味を持ちます。本物の牛肉を超える人工肉を作ったり、二酸化炭素をものすごい効率で燃料に変える酵素を作ったり、人体の不具合をめちゃくちゃ的確に治療したり。mRNAワクチンだって、一言でいえばタンパク質工場である細胞をハックする技術ですからね。でもタンパク質の構造はあまりにも複雑で、たとえパワフルな実験器具やスパコンを持っていても、形状を正確に知ることはとても困難でした。

そこに舞い降りたのが2020年のAlphaFold 2。囲碁で覇者となったAI=AlphaGoを作ったチームが、タンパク質構造予測用に作ったAIです。2021年7月には無料公開され、これがとんでもない精度とスピードで軽々とタンパク質の形状を当てていくので、構造生物学にとんでもないパラダイムシフトが起きました。なにせ50年来のサイエンス課題をぼほぼ解決してしまったんです。iPod発案者であるTony Fadell氏も「ノーベル賞に値する」と大絶賛。

そして2021年11月には、この系統の技術で創薬することを目的としたIsomorphic Labs社が設立されました。実は医薬品の多くもタンパク質でできているので、このテックとの相性は抜群。期待しかありません。

いま社内ではおそらく、人体にある受容体などのタンパク質、ウイルスや細菌といった病原体の抗原タンパク質、それから人類に知り得ているあらゆるタンパク質の形状を片っ端からモデル化しているのだろうと思います。あとは形状のマッチングで薬の役割を果たせそうなタンパク質を割り出し、副作用の危険性や量産可能性などで絞り込み、実際に試して認可を得られれば新薬です。お金・時間・物量を必要としていたこれまでの創薬とは一線を画していますよね。

しかもAlphabet傘下には「医療データを有効活用したい」Verily社と「老化を治療したい」Calico社があるので、最終的にはテイラーメードの老化治療薬やメソッドの開発に繋がるのかも。

やっぱり今年のGoogle、ヤバくないですか?

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