もっと詳しく

2021年も残りわずか。今年も振り返りシーズンの到来です。ことセレクトショップに関しては、みんな気になるのが(?)、店主の考える今年のベストセレクト! 今回は東京・蔵前のWEEKENDER SHOPの芹澤伸介さんにベストセレクトを聞きました。


芹澤伸介さん(WEEKENDER SHOP店主)
近年じわじわと注目度が上がっている蔵前エリアに店を構える「WEEKENDER SHOP」の店主。今年の個人的なニュースは載るのが夢だった雑誌BRUTUS(No. 947)にお店が特集されたこと。普段メディア掲載の告知はしないポリシーだが、思わずインスタに投稿してしまったそう。

■今年のセレクトについて

見た目のデザインだけでなく、素材や着心地を重視して、国内海外問わずセレクトしていくという基準は変わっていません。そのベースを踏まえた上で、新しいブランドやアイテムは常に探しています。今年は〈アブガルシア〉や〈カル〉、〈トーキョーサンダル〉、〈ダンスコ〉などが新しく加わりました。そんな風に一見違うテイストのアイテムが混在している状態こそがセレクトショップの意味だと思うんです。

そもそも、僕がWEEKENDER SHOPという名前を付けたのは、週末のようなワクワクする感じをお客さんに提供したいという気持ちから。できるだけいろいろなテイストを集めたいし、逆に言うと雰囲気が似たブランドやアイテムでお店を統一したくないという気持ちは強くあります。〈アブガルシア〉のようなテックな雰囲気のウェアを置く一方で、天然素材にこだわる〈ミッタン〉のようなブランドも切り離さず並列にセレクトします。そういう感じが僕は好きだし、お店としても絶対面白いと思うんですよね。

ベストセレクト_ 01
Caleのブラックメリノウール裏毛のプルオーバーとパンツ

〈カル〉はこの秋冬から取り扱いを始めたブランドです。何に惹かれたかと言われれば、まずは色使いですね。デザイナーさん自身としては、攻めているつもりはないと思いますが、僕からしたらこの色の打ち出し方は新鮮でした。うちはわりと黒や濃紺などの色を軸にして、取り扱うアイテムの色をセレクトしていくんです。でも〈カル〉の色展開を見る限り、その意識はあまりない気がしますね。裏はふわふわに起毛したウール生地なので肌触りもいいんですよ。特にパンツは今の時期履くとめちゃくちゃ暖かい。うちの店にはないセンスの色使いですが、生地のクオリティという部分ではうちのセレクトで大事にしている部分とも重なります。今回のトップスとパンツは〈カル〉の中で比較的手に取りやすい値段だったのもセレクトの決め手でした。これ、自分用にも欲しいんですよ(笑)。

ベストセレクト_ 02
KaILIの2wayショルダーバッグ

〈カイリ〉はこういうバッグがあったらいいなというアイデアありきで作られているブランドですね。これはショルダーバッグとしてだけでなく、荷物が増えた時はバッグの上部を広げてトートバッグとしても使えます。買い物時のエコバッグとしても使いやすいので、今の時流にも合っていますよね。最近の〈カイリ〉の顔とも言えるバッグです。生地はドイツ軍のユーズドのテント素材を使っていて、一点一点表情が違います。うちは今までユーズドテイストのアイテムは仕入れてこなかったので正直どうかな?という不安も若干ありましたが、蓋を開けてみるとすごく好評でした。このバッグを仕入れることで、世のメンズはユーズド、ミリタリーやテントなどそういう要素があるアイテムが好きなんだなと改めて実感しました(笑)。そんな新しい発見が僕の中であったし、お客さんにも喜んでもらえたし、いろんな意味で仕入れてよかったアイテムです。

ベストセレクト_ 03
formeのモンクストラップシューズ

〈フォルメ〉は浅草の革靴ブランド。革靴のカテゴリーとしてはうちの主力的な存在ですね。デザイナーさんが引く木型やパターンは日本人の足型との相性がいいし、インソールの形などもオリジナリティがあります。同ブランド目当てのお客さんが毎日来店されると言っても、過言ではないですね。細かな難しい箇所も丁寧に作られていて、すごく腕のいい職人さんが作っている革靴だなという印象です。そんな中、ここ最近の〈フォルメ〉で個人的なベストはこの一足。僕はシボ感のある素材の革が元々好きなのですが、この無骨なバッファローカーフとシングルモンクのデザインのバランスがすごくいい。もちろん、展示会で気に入ったから仕入れているのですが、入荷して改めて「これ、めっちゃかっこいいじゃん」と。入荷したばかりなので、お客さんの反応はまだこれからというところですが、少なくとも僕は売り場でうっとり見とれてしまうほど気に入っています(笑)。

■2021年の売り場を振り返って

去年からコロナの中、不安な気持ちで営業してきましたが、お客さんがしっかり来店してくれたという実感があります。それは実店舗、オンラインショップ両方に言えること。そんな中、実際買っていってくれるのはやっぱり毎回見るおなじみの顔ぶれというか、いつも通ってくれているお客さんなんですよね。加えて、ふらっと入っていただく新規の方も増えていますし、改めてお客さんには感謝しかありません。あとはコロナ禍になって、まとめ買いが増えている気がします。いろんなお店を回るとリスクがあるので、一店舗で揃えておこうという意識の方も多いようです。そんな方が信頼できるお店としてうちを選んでくれているというのは、すごくうれしかったことですね。

■来年のお店について

うちは来年でオープンして5年になるんです。それに向けてひとつの区切りとして隣にレディースの店舗をオープンします。いろいろ物件を探していたタイミングで、たまたまお隣りが空いたので決めました。コロナ禍で大変な時にオープンするのはリスクも大きいのですが、うちにとってはひとつの新しい挑戦ですね。来年の2月に向けて現在準備をしています。男性、女性問わずより幅広い方に楽しんでいただけるお店にできればと思っています。


WEEKENDER SHOP
住所: 〒111-0051 東京都台東区蔵前3丁目18−7
営業時間: 11:00-20:00
定休日: 月曜日
電話: 03-5825-4609