Sony(ソニー)が、初のVlog(ブイログ)向けミラーレス一眼カメラ「VLOGCAM ZV-E10」を発表した。このカメラは、コンパクトなVlog用モデル「VLOGCAM ZV-1」から多くの機能を取り入れている。同時に、基本的にはAPS-Cミラーレス一眼カメラのα5000シリーズやα6000シリーズがベースになっており、その良い点を(悪い点も)受け継いでいる。
ZV-E10がZV-1と比べて最も優れている点は、より大きなAPS-Cサイズのセンサー(有効約2420万画素)を搭載していることと、レンズ交換式のミラーレス一眼であることの2点だ。後者はソニーの60種類以上のEマウントレンズをVlogger(ブイロガー)に開放することになり、レンズ固定式のZV-1よりも多用途に向く。また、前者のセンサーの大型化によって、光に対する感度が向上し、被写界深度が浅くなる。
ZV-E10は、α6100など近年のソニー製カメラに搭載されてきた2400万画素のAPS-Cセンサーを採用している。6K相当の情報量をダウンサンプリングしたシャープな4K動画を最大30fps(1080pなら120fps)で撮影できるが、ローリングシャッターがひどく、意図した用途には適さない可能性もある。
最も好ましい点としては、ZV-1と同様に、光学式および電子式の手ブレ補正機能を搭載していることだ。これによって、手持ちでの撮影はかなりスムーズになるはずだ。ただし、歩きながら話すVlogの撮影に魔法のような効果を期待してはいけない。特にローリングセンサーの揺れが問題になる場合は。
ZV-E10は、α6000シリーズよりも小さくて、重量は343g。ZV-1と比べても、大きさも重さもそれほど変わらない。電子ビューファインダーは搭載されていないが、ソニーのAPS-Cミラーレスカメラとしては初めて、横開きの可動式バリアングルモニターを搭載している。これは近頃のVlog撮影には必須の機能だ。
ZV-E10は、動画・静止画ともにソニーの最新の位相差AFシステムを搭載しているため、驚異的な速さで被写体に追従し、目・顔・頭を確実に検出してピントを合わせる。また、S&Q(スロー&クイックモーション)機能により、タイムラプスやスローモーションの映像を、後から作業する必要なく、カメラ内で記録・再生できる。
ZV-1に搭載されていたいくつかのVlog向け機能は、そのまま受け継がれている。その1つは「Product Showcase(商品レビュー用設定)」と呼ばれる機能で、カメラの前に置かれた被写体に瞬時にピントを移すことができる。製品やデバイスなどをレビューするVloggerには特に便利な機能だ。
もう1つは、周囲の明るさに合わせて最も低い絞り値を瞬時に設定する「Bokeh(背景ぼけ切り換え)」ボタンだ。これを押すと、背景をできるだけぼかして、被写体をくっきりと浮かび上がらせることができる。
ZV-E10には、声を拾うための高品質な3ウェイ(左、右、中央)マイクが内蔵されている。専用のショットガンマイクやラペルマイクの品質や声の分離性には及ばないものの、マイクを購入しなくてもVlogを撮影することができる。シューに取り付け可能なウインドスクリーンが付属するが、それでも十分ではない場合は、さらに風切り音を抑える設定にすることも可能だ。マイク入力端子も備えているが、ヘッドフォン出力端子はない。
ライブストリーミングを行いたい人は、Panasonic(パナソニック)の最新機種「GH5-II」と同様に、ZV-E10をスマートフォンに直接接続して、YouTubeなどのサービスに直接ストリーミングすることができる。ウェブカメラとしても使用できるが、(標準的なウェブカメラと違って)映像だけでなく音声も配信できるので、高品質なマイクの性能を活用できる。
ZV-E10は、ブラックとホワイトの2色が用意されており、日本での価格はオープン価格。店頭予想価格はボディ単体が7万8000円前後、レンズキット(ソニーの16-50mm F3.5-5.6パワーズームレンズが付属する)が8万9000円前後となっている。発売は9月17日だが、予約販売の受付が7月30日の10時より開始になる。
編集部注:この記事はEngadgetに掲載されている。本稿を執筆したSteve Dentは、Engadgetの共同編集者。
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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Sony、カメラ、Vlog
画像クレジット:Sony
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(文:Steve Dent、翻訳:Hirokazu Kusakabe)