新型コロナウイルスの感染者数が高止まりしている東京都で、若年層の重症者が急増している。
65歳以上の高齢者にはワクチンが行き届き重症化を抑える効果が出ている一方、30代以下の若年層には接種が進んでいない自治体が多い。専門家からは若年層にも速やかにワクチンを届ける体制づくりが急務との声が上がる。(大森貴弘)
感染状況を分析する都の会議資料によれば、25日の重症者はその時点で過去最多の277人。年代別にみると、これまで重症化しにくいとされてきた30代が23人、20代が4人で、10代も1人いた。1月の感染第3波の際、重症者がピークだった1月20日は、160人中30代以下はゼロ。60代が53人▽70代が59人▽80代が23人−など、60代以上で9割近くを占めた。
現在、65歳以上の高齢者のワクチン接種率は8割を超える。これまでは病院や介護施設などで集団感染が発生し、持病を抱えた高齢者に一気に広がって重症化するケースが多かった。高齢者と施設のスタッフがワクチン接種を終えたことで集団感染が抑えられ、8月25日時点で60代以上は3割にとどまる。
逆に目立ち始めたのが30代以下だ。ワクチンは年齢順に接種を行っている自治体が多く、若年層に行き渡っていない。全体の感染者が増える中、ワクチン未接種の層で重症者が増えており、肥満や喫煙歴など何らかのリスク要因を抱えている人が多いという。
入院患者に占める30代以下の割合も3割と増加しつつあるといい、都医師会の猪口正孝副会長は「入院から遅れて重症化するので、若年層の重症患者は今後も増える」と指摘。若年層へのワクチン接種の加速化を訴えると同時に「あらゆる世代に重症化リスクがあるとの意識を持ってほしい」と呼びかけている。