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 2017年8月以降、ミャンマーのラカイン州などでの激しい武力弾圧や迫害から逃れて隣国バングラデシュに流入した少数派イスラム教徒ロヒンギャの人々は70万人以上に上る。この未曽有の人道危機について、受け入れ国であるバングラデシュの英字紙デイリースターは、12月23日の社説で「ミャンマー国軍に制裁を」と訴えた。

バングラデシュ・コックスバザールのバルカリ難民キャンプで水浴びをするロヒンギャの人々(2021年3月25日撮影)(c) ロイター/アフロ

止まらぬ武器販売

 社説は、最近開かれたロヒンギャ問題に関するセミナーの席上、バングラデシュのアク・アブドゥル・モメン外務相が指摘した「残酷で厳しい真実」について伝えている。国際社会がミャンマー国軍の虐殺行為を非難する一方、同国に対して武器の販売をやめていない、という事実だ。
 社説はまず、「外務大臣の率直な意見に賛同するとともに、ミャンマーに経済制裁と武器供与の制裁を課すことを支持する」と明言した。さらに、「国連人権理事会は2017年にミャンマーで起きたロヒンギャ・コミュニティーへの暴力行為を<典型的な民族浄化の事例>と呼び、故国での暴力と迫害から逃れてきた70万人以上のロヒンギャの人々を受け入れてきた」と振り返った上で、中国、ロシア、インド、韓国、北朝鮮、イスラエル、ウクライナ、フィリピンなどの国々から24億ドルに上る武器がミャンマーに渡っていることが明らかになったと報じた。
 「国際社会はこの虐殺の実行者をこぞって非難し、バングラデシュの人道的な対応を称賛していたにも関わらず、そのうちの何カ国かがミャンマーに武器を販売していたことが明らかになった。彼らの言葉がいかにむなしく響くことだろう」

「正義とモラルに反する行為」

 ミャンマーを非難する裏で武器の取引をしていることに対し、社説は怒りを隠さない。
 「ミャンマー軍は、自国民に対して暴力や拷問を続けただけでなく、民主的な改革を受け入れることを拒み、政権を握るためにクーデターを起こし、民主化を叫ぶ人々を暴力で押しつぶした。少数民族との対立は武力紛争に発展し、今なお人々の言論の自由を奪い続けている。過去4年の間、多くの先進国がミャンマーとの経済関係を深める一方、ロヒンギャへの支援は減少し続けた。このようなミャンマー軍の人権蹂躙を許したまま経済関係を続けるということは、国際的な正義とモラルに反する」
 社説は、ミャンマーに対する効果的な圧力は、経済制裁と武器販売の停止だと指摘した上で、「国軍の一部や関連企業に制裁を科すだけでは十分ではない」と主張。地域の関係者は、制裁と同時に、ミャンマー軍が責任をとるように政治的な圧力をかける必要があると訴える。
 「国際社会は、バングラデシュのように彼らを受け入れている国の重圧を取り除くとともに、問題の根源に関心を向けなければならない。問題の根源とは、ミャンマー軍であり、彼らによる人権侵害にほかならない」
 近年で最大規模の人道危機と言われるロヒンギャ問題。その後、ミャンマーでは今年2月1日にクーデターが起こり、軍による弾圧と暴力は全土に広がり、人権団体の発表によれば、2月1日以降、12月29日までに1382人が亡くなり、拘束者は計1万1254人に上っており、状況は悪化の一途をたどっている。9月末には、ロヒンギャの自治組織の有力な指導者が射殺される事件も起きた。こうした中、70万人以上ものロヒンギャの人々を受け入れたバングラデシュの訴えは、悲鳴のように切実だ。この訴えに、国際社会はきちんと答えなければならない。

 

(原文https://www.thedailystar.net/views/editorial/news/sanction-myanmar-2923271)

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