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30人ほどの警察官が警戒を始め、5つ星ホテル「The Okura Tokyo」の周囲は突然、緊張感に包まれた。その15分後、ホテルに現れたのは警護車両3台を含む5台の車列。IOCのトーマス・バッハ会長(67)の“ご帰還”は異様なまでのものものしさだった。

「バッハ会長は1泊300万円のインペリアルスイートに宿泊しています。日本食が大好きだそうですが、ホテルには『銀座久兵衛』や『山里』といった一流の料理店も入っています」(スポーツ紙記者)

もちろんVIP待遇は、宿泊施設ばかりではない。

「バッハ会長らIOC幹部たちのために、高級ミニバン・アルファードの最高ランクが数台用意されました。シートは総革張り、車体には五輪マークもあしらわれている特注車です」(JOC関係者)

とはいえ男爵も大満足とはいかないようだ。本誌が会長の車列を目撃した日は、ワンボックスカーに乗車していたようだが、ホテルに戻るほんの3時間前まで、デモ隊が「バッハはいますぐ日本から出ていけ!」というシュプレヒコールを上げていたのだ。

「“日本人はおとなしい国民”という認識だったようで、バッハ会長は五輪反対デモに驚いています。連日のシュプレヒコールに、いら立ちを隠せないときもあります」(前出・JOC関係者)

こんな事態も想定されたのか、滞在中のホテルも、地方での視察先も超厳戒態勢が敷かれている。

■ホテルには常時50人の警官隊がバッハ会長を警備…

「ホテルの敷地を取り囲むように、20mごとに警察官が立っており、近隣の大通りには警視庁の大型人員輸送車が数台止まっています。外から確認できるのは30人ほどですが、17日にデモ隊と対峙した際には、50人の警官隊が出動したそうですので、常時50人は配備されているということでしょう。

そのほかに私服警官もホテル内に10人ほどいます。3交代制としても、毎日180人ほどが動員されていることになります」(前出・スポーツ紙記者)

7月8日の来日から、8月8日の閉会式まで約1カ月。その期間だけでもバッハ会長関連の警護費用は莫大なものとなる。

自身も要人の警護に参加したことがある警察官によれば、

「給与のほかに、特別手当として1時間につき2千円から2千500円が加算されます。8時間勤務なら1人2万円、それが180人動員されているとなると、1日360万円になります。車両に関する費用などを計算せず、人件費だけでも1億円を超えるのです。

さらに直接の警備以外にも、バッハ会長が赴く場所には、スタッフや警備員たちがあらかじめ車列を組んで試走もしています」

バッハ会長だけが“安心安全の五輪”の恩恵を受けているとすれば、やるせない……。