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首相官邸=東京都千代田区
首相官邸=東京都千代田区

政府は30日、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染者が日本で初めて確認されたと発表した。感染者はアフリカ南部のナミビアから11月28日に成田空港に到着したナミビア人の30代男性外交官で、医療機関で隔離されている。入国時の検査で陽性と判定され、ウイルスのゲノム(全遺伝情報)解析でオミクロン株と判明した。

岸田文雄首相は30日の自民党役員会で、「われわれは、まだ危機のさなかにある。気を引き締めて対策に当たる」と述べた。茂木敏充幹事長が役員会後の記者会見で明らかにした。首相は同日、官邸で関係閣僚と対応を協議し、松野博一官房長官を議長とするタスクフォースの設置を決定した。首相は協議で、現状把握と国民への分かりやすい説明、基本的な感染症対策の徹底を呼び掛けるよう指示した。

厚生労働省によると、感染が確認されたナミビア人男性はワクチンを7月に2回接種済みだった。入国時に無症状だったものの、29日に発熱した。同行の家族2人を含め、航空機の乗客70人は検査で陰性が確認された。70人は自宅や宿泊施設で待機しており、政府は70人全員を濃厚接触者として扱う。乗員10人は日本に入国していない。

オミクロン株は世界保健機関(WHO)が11月26日に最も警戒レベルが高い「懸念される変異株(VOC)」に指定し、アフリカ南部からの渡航を制限する動きが各国で拡大していた。松野氏は30日の記者会見で「水際措置が有効に機能していたと考えている」と述べた。

国立感染症研究所によると、オミクロン株について疫学的な情報は十分に得られておらず、重症化しやすいかなどは不明。ただ、南アフリカでのデルタ株からの急速な置き換わりや30カ所というこれまでで最も多様な変異を持つことから、感染力の強さやワクチン効果の大幅な低減が懸念されている。

11月24日に南アフリカがWHOに新たな変異株として初めて報告し、感染確認地域は隣国のボツワナや、香港、イスラエル、欧州など急速に広がっている。

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