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横浜ゴムは7月29日、4年ぶりとなる乗用車用スタッドレスタイヤの新製品「iceGUARD 7(アイスガード セブン)」を9月1日より発売すると発表しました。アイスガードは誕生以来、今年で20年目に入り、より氷上性能を高めた“第7世代”として登場。横浜ゴムではアイスガード セブンを“ヨコハマスタッドレスタイヤ史上最高の氷上性能”を発揮する新製品として市場投入します。ラインナップは全89サイズで、すべてオープンプライスです。

↑9月1日より発売されるアイスガード セブン。ラインナップは全89サイズで、すべてオープンプライス

 

従来製品比で「氷上性能」を14%、「雪上性能」を3%向上

アイスガード セブンが持つ最大のポイントは、新開発の専用パターンと「ウルトラ吸水ゴム」の相乗効果によって、従来製品「iceGUARD 6(アイスガード シックス)」に比べて、「氷上性能」を14%、「雪上性能」を3%向上させていることです。さらに「性能持続性」や「ころがり抵抗」、ウェットに効く「ウェット性能」、音に効く「静粛性能」などの各分野では、アイスガード シックスと同等の能力を確保。その結果、総合性能ではアイスガード シックスを上回るスタッドレスタイヤとして誕生したのです。

 

横浜ゴムがユーザーを対象に調査したところによると、スタッドレスタイヤに求める性能のトップ3は、「氷上制動性能」がトップで、続いて「雪上性能」「性能持続性」の順だったとのこと。

 

実際、横浜ゴム 取締役常務執行役員 兼 技術統括の野呂政樹氏は発表会の席上、「北海道の冬季気温が年々上昇して降雪量も徐々に減少し、これによって降り積もった雪が日中で溶けて夕方以降に凍結する要因を生み出している」ことに言及。その対策として「今後のスタッドレスタイヤにはより氷上性能が求められるようになる」と予想し、これがアイスガード セブンの開発コンセプトとなったことを明らかにしました。

↑“ヨコハマスタッドレスタイヤ史上最高の氷上性能”を発揮するアイスガード セブンの製品説明に登壇した取締役常務執行役員 兼 技術統括の野呂政樹氏

 

その意味でアイスガード セブンは、ユーザーのニーズをしっかりと捉えた中で誕生したことがわかります。

 

ただ、アイスガード セブンが特徴としている「氷上性能」と「雪上性能」を両立させることはかなり困難を極めたようです。たとえば氷上性能では凍結路面に密着させられる接地面積が重要ですが、これを広げれば雪上で求められる溝面積の減少につながってしまいます。一方で雪上性能を高めるために溝面積を増やせば、接地面積が減ってしまい氷上性能が落ちてしまうことになります。つまり、「氷上性能」と「雪上性能」では相反する関係にあり、アイスガード セブンの開発にあたってはまずこれを解決することが求められたわけです。

↑氷上でのアイスガード セブンと従来タイヤの制動距離比較。そのグリップ力は明らかな差がついている

 

新トレッドパターンの開発で「氷上性能」と「雪上性能」を両立

そのために進めたのが、「接地とエッジの両立技術」を駆使した新たなトレッドパターンの開発でした。これによってヨコハマタイヤのスタッドレスタイヤでは史上最大となる接地面積と溝エッジ量を確保したのです。たとえば、氷上性能のレベルアップを図るために採用した「マルチベルトブロックEX」「コレクティブビッグブロックEX」は、接地面積の拡大とブロック剛性の向上に寄与しています。また、「マルチダイアゴナルグルーブ」「トリプルライトニンググルーブ」は溝エッジ量を増大させており、これが優れた雪上性能をもたらしたというわけです。

↑非対称のトレッドパターンを持つことで、アイスガード史上最大の接地面積とブロック剛性を確保した

 

↑「雪に効く」を実現するため、エッジ量を大幅に増加させたアイスガード史上最大のエッジ量とした

 

加えてこの効果を長持ちさせるために、50%摩耗時にサイプが太くなる新形状の「クワトロピラミッド グロウンサイプ」を採用したことで、使用後期まで氷上性能をキープ。一方で新開発の「ダブルエッジマイクログルーブ」の採用は、装着初期の氷上性能も高める効果にもつながっています。

↑新開発の「ダブルエッジマイクログルーブ」。サイプの傾斜方向と交差させて横方向のエッジ効果の向上を図り、氷上で排水効果を向上させた

 

↑新開発の「クワトロピラミッド グロウンサイプ」と従来タイヤのサイプの摩耗比較図。50%摩耗時のサイプで大きな違いがある

 

コンパウンドは「アイスガード セブン」専用の「ウルトラ吸水ゴム」を開発して対応しました。実績のある「新マイクロ吸水バルーン」に加え、新たに「吸水スーパーゲル」を採用し、これによって氷上で滑る原因となる氷表面の水膜を素早く吸水します。さらに新採用の「ホワイトポリマーII」が「シリカ」を均一に分散させ、ゴムがしなやかになって氷への密着度向上を図りました。加えて新採用の「マイクロエッジスティック」が氷や雪を噛むエッジ効果を発揮させて、さらに実績のある「オレンジオイルS」がゴムのしなやかさを維持する劣化抑制効果を発揮することにもつながっているということです。

↑コンパウンドは「アイスガード セブン」専用の「ウルトラ吸水ゴム」を開発。新たに「吸水スーパーゲル」を採用して氷表面の水膜を素早く吸水する

 

新CMで深田恭子さんとウルトラセブンが共演。凍った路面での安心感と信頼感をアピール

アイスガード セブンの発売にあたってはテレビCMにも注目です。これまでも登場していた俳優の深田恭子さんに加え、新たにウルトラセブンが共演。アイスガード セブンの新テレビCM「セブンのうた」編を、8月26日より北海道エリアを皮切りに順次放映される予定です。テレビCMの製作には円谷プロも全面協力し、その内容は冬の凍った路面でも「ちゃんと曲がる、ちゃんと止まる」安心感と信頼感を表現した内容になっています。「ウルトラセブンのうた」をアレンジしたオリジナルメロディも楽しいですよ。

↑新CMで深田恭子さんと共演して登場するウルトラセブン。円谷プロの全面協力で実現した

 

 

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