自動車など世界のさまざまな業界で、クリーンエネルギーとしての電化が注目されている。ネパールは、長く計画停電に苦しんできたが、最近ではその状況が改善され、インドに売電できるまでになっているという。11月4日付のネパールの英字紙カトマンドゥポストでは、社説でこの問題を採り上げた。
1日18時間におよぶ停電
社説によれば、2017年までネパールでは停電がよく起きており、時には1日18時間も停電が続くことがあったが、最近は改善されつつあり、人々は疑心暗鬼ながらもその変化を歓迎しているという。社説は「2016年にクルマン・ギシンがネパール電力公社の代表に任命され、ネパール電力庁の停電スケジュールに合わせて生活していた人々は改善を期待したが、ネパールを暗闇から救い出すことは容易ではなかった」と振り返ったうえで、「しかし1年も経たないうちに改善の兆しが見えるきた」と指摘する。
「計画停電に慣れてしまった人々は、数カ月の間、計画停電が一度もない状況に最初は面食らい、どうせまたすぐに元に戻るだろうと思われていた。しかしネパールは、2021年に入ってから余剰エネルギーがある状態が続いており、政府は国民に電気をもっと使うようにすすめている。電力規制委員会は11月17日より電力料金を引き下げることを決定した。ネパールは長きにわたり第三国からのガスや石油製品に依存していたが、世界がクリーンエネルギーを渇望している中、自前で電力を調達できるようになったことは喜ばしい。化石燃料への依存を最小限に抑えることができれば、国の財政への負担も軽減される」
「暗闇から光の場所へ」
さらにネパールは、インドへの売電を開始する計画だ。社説は「ネパールにとって大きな隣国であるインドは、経済活動に必要なエネルギーが不足している。ネパールは、エネルギー供給国としてこの機会を逃してはならない」と指摘した上で、「粘り強い交渉が奏功し、インド電力公社はネパールの水力ダムから39メガワットの電気を購入することを決定した」と伝えている。
英国・グラスゴーで11月12日まで開かれていた気候変動会議「COP26」では、気候変動の悪化を踏まえて各国が環境対策を宣言した。社説は「ネパールはクリーンエネルギーを産出しており、他国よりアドバンテージがある」との見方を示し、化石燃料に依存しない新たなシナリオを歓迎した上で、次のように呼びかける。
「ネパールの人々は、電化の普及を歓迎している。世界で電気自動車が主流となれば、ネパールは充電スタンドの建設にも対応できる。タイミングよく世界が変わりつつある。より良い明日に向かって、暗闇から歩き出そう」
ネパールの人々は「良いことは長続きしない」という悲観的な考えにすっかり慣らされていたが、「クリーンエネルギー」という宝物を手にしていた。あとはそれをどのように賢く利用するか。新しいシナリオには、新しい考え方が必要だ。
(原文:https://kathmandupost.com/editorial/2021/11/04/from-darkness-to-light-1636022081)
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