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AMDではRDNA1をベースとしたBC-160などマイニング用グラフィックカードの準備を進めているというリークが出現していますが、今回RDNA2をベースとしたマイニング用グラフィックカードに関する情報が出現しました。

RDNA2ベースのマイニング用GPUの情報が出現

Sapphire GPRO X080 cryptomining card with Navi 22 GPU and 10GB memory leaked, costs 750 EUR – VideoCardz.com

マイニング用グラフィックカードについてはNVIDIAのCMPシリーズを投入するなどしてゲーミング用グラフィックカードとマイニング用グラフィックカードで棲み分けを行おうとしています。

このNVIDIAの動きに対して、AMDも同様にマイニング用グラフィックカードの市場投入を検討していると見られており、10月頃にはBC-160と呼ばれるRDNAアーキテクチャーのNavi12をベースとしたマイニング用グラフィックカードの情報が出現していました。

Navi 12ベースのマイニングカードBC-160の情報出現。72MH/sを発揮

今回、このBC-160とは異なりRDNA2アーキテクチャーを搭載したNavi22およびNavi23をベースとしたSapphire製のマイニング用グラフィックカード『GPROシリーズ』に関する情報が出現しました。

GPROシリーズは元々データセンターなどへの搭載を想定したグラフィックカードを指した名称となっていましたが、どうやら方針転換を行いマイニング用モデルに使われる名称となったようです。

情報の出所はスペインのテック系サイトであるEl Chapuzas Informaticoと呼ばれるサイトから出現しています。El Chapuzasによるとこのマイニング用グラフィックカードは一般販売は行われず、直接大規模なマイニングファームなどへ納品が行われるとの事で、判明している限りではRadeon RX 6700MとRadeon RX 6600をベースにした2つのモデルが存在するとの事です。

Navi 22ベース(Radeon RX 6700M)の『GPRO X080』

1つ目のモデルが、ハイエンドモデルにあたる『GPRO X080』と呼ばれるモデルで仕様はNavi 22 GPUを搭載し、Compute Unit(CU)は36基、Stream Processors(SP)は2304基搭載しています。動作クロックについては2132MHzでVRAMにはGDDR6を10GB搭載し、これらが16Gbpsの速度でバス幅が160bitで接続されています。

TDPは165Wで、PCIe 8pin電源を1口搭載しています。また、マイニング用グラフィックカードという事でディスプレイ出力用ポートは搭載せず、対応OSもLinuxのみ対応となっておりマイニング用途以外に使い道は無さそうなモデルになっています。

この『GPRO X080』ではスライド上で示されている通り、デフォルトでの動作では165WのTDPで38.05MH/sの性能を発揮する一方で、Power Limitの引き下げやメモリー速度の引き上げなどを行うチューニングを施せば93WのTDPで41.6MH/sの性能を発揮できるとの事です。

仕様面ではモバイル向けのRadeon RX 6700Mに最も近いですが、動作クロックが若干低くく、それに伴いTDPもRadeon RX 6700Mより低くなっています。

モデル名 Sapphire
GPRO X080
AMD Radeon RX 6700M AMD Radeon RX 6700 XT
GPU SKU Navi22 Navi22 Navi22 XT
Compute Unit 36 36 40
Stream Processors 2304 2304 2560
ベースクロック ??? 1489MHz 2321MHz
ブーストクロック 2132MHz 2250MHz 2581MHz
VRAM仕様・容量 10GB GDDR6 10GB GDDR6
96MB Infinity Cache
12GB GDDR6
96MB Infinity Cache
バス幅 160bit 160bit 192bit
帯域幅 320 GB/s 320 GB/s 384 GB/s
TDP 165W 180W 230W

Navi22をベースにしたマイニング用グラフィックカードについては2021年9月に初登場していますが、この時の仕様は今回出現した仕様と全く同様でマイニング性能についても39MH/sという事で同じモデルと言えそうです。

ちなみに、一般販売は行われていませんが価格は750ユーロとなっており、日本円でそのまま換算すると10万円ぐらいになります。

AMDからRadeon RX 6700ベースのマイニングGPUが近く登場?

Navi 23ベース(Radeon RX 6600)の『GPRO X060』

2つめのモデルは『GPRO X060』と呼ばれており、このモデルは初めて出現するモデルとなります。GPUにはRadeon RX 6600と同じNavi 23 XLが採用されており、CUが28基、SPが1792基搭載されており、これらが2044MHzで動作する仕様になっています。VRAMについては8GBのGDDR6を採用し、14Gbpsの速度で128bitのバス幅で接続がされています。

TDPについてはデフォルトで100WとなっておりPCIe 8ピン電源を1口の接続が必要となっています。

この『GPRO X060』は仕様からも見て分かる通り、Radeon RX 6600と全く同一と言えるモデルとなっており、対応OSはWindows 10やWindows 11、Linuxなど幅広く、ディスプレイ出力用ポートもHDMIとDisplay Portそれぞれ1口ずつ備えており、普通のグラフィックカードとして運用が可能になっています。

モデル名 Sapphire
GPRO X060
AMD Radeon RX 6600
GPU SKU Navi23 XL Navi23 XL
Compute Unit 28 28
Stream Processors 1792 1792
ベースクロック ??? 1626MHz
ブーストクロック 2044MHz 2044MHz*
2491MHz
VRAM仕様・容量 8GB GDDR6
32MB Infinity Cache
8GB GDDR6
32MB Infinity Cache
バス幅 128bit 128bit
帯域幅 224 GB/s 224 GB/s
TDP 100W 132W

*ゲームクロック

マイニング性能については、Radeon RX 6600と等しい性能となっており、通常時では100Wで27.8MH/sですが、最適化を施せば60Wで29.4MH/sにまでパフォーマンスを向上させることが可能になっています。

なお、Radeon RX 6600では50Wで30MH/sとなっていますので、マイニング効率はRadeon RX 6600の方が優れた状態となっていますが、これは最適化次第なのかもしれません。

AMD Radeon RX 6600(無印)のマイニング性能判明50Wで30MH/s

この『GPRO X060』も一般販売は行われていませんが、マイナーへの販売価格は1台辺り550ユーロとなっており、為替レート1€=130円と計算すると7.15万円とRadeon RX 6600より若干高い金額での販売と言う事になります。

マイニング効率はやや高め。ただ、Radeon RX 6600などには及ばず

GPRO X080とX060はマイナー向けにのみ販売されているモデルとなっていますが、Sapphireの説明スライドに記載されているマイニング性能を既に出現しているグラフィックカードと比べるとマイニング用グラフィックカードと言う割にはベースとなるGPUに対して劣っているというのが正直な所です。

また、AMDとしてもGPRO X060などはRadeon RX 6600をそのまま流用していると見られるような仕様になっており、なぜわざわざマイナー専用モデルとして登場させているのか疑問符が付くモデルとなっています。

GPUモデル MH/s W PPW
CMP 170HX 164 250 0.656
Radeon RX 6600 30 50 0.600
Radeon RX 6600 XT 32 55 0.582
GPRO X060 29.4 60 0.490
Radeon VII 93 200 0.465
AMD BC-160 69.5  150 0.463
GPRO X080 41.6 93 0.447
GeForce RTX 3060 Ti 58 130 0.446
GeForce RTX 3070 58 130 0.446
Radeon RX 6800 64 150 0.427
Radeon RX 5700 XT 55 130 0.423
GeForce RTX 3080 91 230 0.396
Radeon RX 5600 XT 40 110 0.364
GeForce RTX 3090 114 320 0.356

 

GPRO X080はモバイル向けRadeon RX 6700Mをベースにしているため、ドライバーなどがLinuxしか存在しないようですが、こちらに関しては何らかの理由でモバイルPCなどには行きつかなかったGPUがこのGPRO X080に流用されている可能性がありそうなのですが、問題はGPRO X060です。このモデルは仕様上Radeon RX 6600そのままであり、本来ゲーミング用に使われるはずのGPUの一部がマイニング用に流れていると見て正しいと言えそうです。

ちなみに、この2つのモデルはAMDやSapphireからも公式発表される気配がないようなのですが、公式発表しない理由はもしかしたら、Radeon RX 6600がそのまま流用されていると判明して、ゲーマーから非難を浴びる事を恐れている可能性もありそうです。

どちらにせよ、Radeon RX 6600は入手困難なグラフィックカードとなっていますが、このようにマイナーの元には色々なルートを経て渡っているようです。

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