日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕(64)が30日、都内で会見を行い、北京冬季五輪(来年2月開幕)を控える開催国について言及した。
女子テニスの彭帥(中国)が同国の張高麗元副首相に性的関係を強要されたと告発した後に消息不明となっている問題は、世界中で関心を集めている。山下会長は「彭帥選手に関しては消息が不明ということで私も心配していた。ただ、得ている情報というのは、マスコミ以上のものはない。詳細は把握していない。その中で、ここでコメントすることは適切ではないと考えている」と述べた。
中国に関しては人権団体や専門家らが新疆ウイグル自治区などで違法行為が行われていると指摘してきた。ただし、これにも「ウイグルに関してもマスコミから得ている情報のみ。私は世界の国を回ってきているので、人権の問題、紛争があったり、差別があったり、虐げられていることには心を痛めている。人々が安心して暮らせる社会は常に望んでいるが、中国の人権問題に対してここで発言することは適切ではない」と話すにとどめた。
また、一部の国が北京五輪の「外交的ボイコット」を検討していることについて、山下会長は「それぞれの国の立場、国益がある。日本は日本の国益を鑑みて日本政府が対応を協議されると思う。それ以上のコメントは控えたい」と言葉を選びながら語った。
この日、コロナウイルス「オミクロン株」の感染拡大を受けて、外国人の新規入国が原則禁止となった。五輪開幕が約2か月後に迫り、競技会への影響も心配されるが、山下会長は「出場資格に関わる大会がどうなっていくのか、あるいは日本選手はどう対応していけばいいのか、試合があるのか、帰国できるのか何も情報を持ち合わせてない」とコメント。その上で「状況は刻一刻と変わっていくので、関係機関と連携を取りながらできる限りの情報を収集して、動向を注視していかなければいけない」とした。
一方で札幌市が招致を目指す2030年冬季五輪・パラリンピック大会については「札幌市の計画は既存施設を強く打ち出している。13の競技会場のうち、12会場を既存施設としている。東京大会を経験している日本だからこそこうした大会運営を通じて将来のオリンピックムーブメントに貢献する、札幌モデルを提示できるものと考えている」と意欲を見せた。