東京都内の女子高校生の行方が分からなくなり山梨県内で遺体で見つかった事件で、逮捕された夫婦のうち夫が「2年前にSNSで知り合った女子高校生とのやり取りを妻に問いただされた」という趣旨の供述をしていることが捜査関係者への取材で分かりました。
夫婦は女子高校生を呼び出して車に乗せたとみられ、警視庁が詳しいいきさつを調べています。
この事件で、警視庁は行方不明になっていた東京・墨田区の高校3年生、鷲野花夏さん(18)の遺体を山梨県内に遺棄したとして、いずれも群馬県渋川市の職業不詳、小森章平容疑者(27)と、妻の和美容疑者(28)を逮捕しました。
被害者の女子高校生は今月28日の午後、母親に「知り合いに会う」と言って外出していましたが、防犯カメラの映像などから自宅の近くで夫婦の車に乗ったとみられています。
これまでの調べで、章平容疑者は2年前にSNSで被害者と知り合い、ことし和美容疑者と結婚したあともやり取りを続けていたということですが、そのことを和美容疑者に問いただされたという趣旨の供述をしていることが捜査関係者への取材で分かりました。
逮捕された2人は被害者を呼び出して車に乗せたとみられ、章平容疑者は「話し合うつもりだった」と供述しているということです。
警視庁が詳しいいきさつを調べています。
警視庁によりますと逮捕された2人はいずれも容疑を認め、殺害についてもほのめかしているということです。
東京都内の女子高校生の行方が分からなくなりその後遺体で見つかった事件で、長野県辰野町の中央自動車道下り線の辰野パーキングエリアでは、午後7時すぎに2人の容疑者が乗っていた白い乗用車を警視庁の捜査員が撮影したうえでレッカー車に乗せて運びだしていきました。
【被害者を知る人は】
事件を受けて、鷲野さんの93歳の祖父が、都内の自宅前で報道陣の取材に応じました。
この中で祖父は「孫の行方が分からなくなってからずっと心配していました。きのうまではどこかから突然現れるのではないかという希望を持っていましたが、けさ、テレビで事件のことを知りがく然としました。本当にいい孫でした」とうつむきがちに話していました。
鷲野さんの祖父母と50年来の付き合いだという近所に住む76歳の男性は「花夏さんは今どき珍しくあいさつをしっかりしてくれる子で、人の心をくんでくれる優しい性格でした。私がふだんから金魚などの世話をしていることを知っていて、メダカを10匹ほどくれたこともあります。メダカは大事に育て、今では30匹余りにまで増えました。事件のことはニュースで知りましたが、悲しいなんてものではありません。なぜあんなに優しい子が事件に巻き込まれなければならないのかと、強い憤りを覚えます」と話していました。
今回の事件を受けて、鷲野さんが通っていた都内の私立高校が取材に応じました。
石田圭学校長は「温厚でおとなしく、周りの友人に気遣いができる優しい生徒でした。大学への進学を目指して努力していただけに、本当に残念でいたたまれない気持ちです」と話していました。
また、担任の教諭によりますと、鷲野さんは茶道部に所属して熱心に活動していたほか、絵を描くのも得意だったということです。
大学では心理学を学びたいと話していたということで、教諭は「最後に会ったのは母親と一緒に面談した先月で、『このままの調子で進学に向けて頑張ってほしい』という話をしたばかりでした。今でも亡くなったことが信じられず、悲しい気持ちでいっぱいです」と話していました。
【遺体見つかった山梨の現場周辺は】
女子生徒の遺体は、山梨県の西部、早川町にある住宅の物置小屋で見つかりました。
現場は山あいの地域の県道沿いにあり、トラックなど車の通行はありますが、近くに民家などはなく、付近を歩く人の姿はほとんど見られません。
この住宅を借りている60代の男性は「10年ほど前までは人が住んでいましたが、親が亡くなってからはほとんど空き家状態で、年に5、6回来るぐらいです。お盆や正月には兄弟など親戚25人ほどが集まる憩いの場になっていました。まさかこんなことになるとは思わなかったです。いとこから現場が自分の家じゃないかと連絡を受けて、冗談かと思いました。被害者の女の子がなぜこんな物置に置かれなければならないのか、かわいそうでなりません」と話していました。
現場の近くに住む79歳の男性は「こんな穏やかな田舎でこのような事件があるなんてとても考えられない。いまは、このあたりには、20人から30人ほどしか住んでおらず、ほとんどが空き家で、遺体が見つかった家も誰も住んでいなかった」と話していました。
また、近くに住む65歳の男性は「本当にびっくりした。被害者がかわいそうで、あとで花でも供えてあげようと思う。現場に面した通りは、車両は行き来するが、人通りはほとんどなかった」と話していました。
【容疑者を知る人は】
逮捕された小森和美容疑者が以前、働いていたという群馬県渋川市のコンビニエンスストアの女性従業員は「おとなしいタイプでしたが同僚にいじられながら笑って話をするなど、普通の人という感じでした。半年以上前にあいさつもないまま辞めていきました。どうしてこんなことをしたんだろうと思ってしまいます」と話していました。
逮捕された夫婦の自宅近くに住む20代の女性は「2人とも近所づきあいはありませんでしたが、2か月ほど前から一緒に暮らし始めたようで、車で出かける姿をよく見かけました。笑いながら話していて夫婦仲はよさそうに見えましたが、こんな事件が起きたと知って怖いです」と話していました。