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三月のパンタシアの7thシングル「101(読み:ワンオーワン)/夜光」がリリースされる。「101」は、TVアニメ『魔法科高校の優等生』のOPテーマで、作詞・作曲・編曲を担当するのはクリエイターとして多方面で活躍するじんということでも話題になっている。

この初コラボがどのようなものだったのか。そして三月のパンタシアのみあ自身が書き下ろした小説と、それに紐付いた「夜光」「パインドロップ」についてもたっぷりと話を聞いた。

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『魔法科高校の優等生』のOPテーマは新しい三パシを見せられるチャンス!

ーーみあさんの長編小説『さよならの空はあの青い花の輝きとよく似ていた』(幻冬舎)が発売中ですが、今回のシングルのブックレットには、そのスピンオフの短編小説が収録されていて、それを読むと長編小説の内容が知りたくなりますね。何から手を付けても楽しい仕掛けになっているのが面白い試みだなと思いました。

みあさん(以下、みあ):そういう意図もあって、CDにスピンオフを収録していたので、一番生っぽい意見を聞けた気がして、嬉しいです(笑)。

ーーでもその前に表題曲「101」が、TVアニメ『魔法科高校の優等生』のOPテーマになっているので、その話をしたいのですが、第1話のラストに流れていましたね。

みあ:すごくカッコいい感じで流していただきました。アニメは1クールあるので、物語と一緒に、「101」という曲がリスナーの中で豊かになり、聴こえ方も変わっていくのだろうなと思うと、私自身も楽しみになります。

ーー最初に聴いたときは、ものすごく情報量が多い曲だと思いました。

みあ:難解ですよね(笑)。すごくテクニカルな感じにもなっているので……。オケはもちろんですけど、歌に関しても三月のパンタシアの曲の中で一番難しい楽曲だと思います。

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ーーどのように作っていったのですか?

みあ:三月のパンタシアは、基本的には私の書いた小説を元に楽曲制作をするのですが、タイアップの場合は原作を元に、こういう部分をサウンドにしたいなど、要望を出して制作していくんです。

今回の魔法科シリーズは、魔法を使ったバトルシーンがめちゃくちゃカッコいいアニメなので、そのバトルシーンが映えるような攻撃的でカッコいい曲にしたいとまず思いました。きっとこれは新しい三月のパンタシアを見せられるチャンスだ!と思ったので、コンポーザーにはじめましてとなるじんさんをお迎えして「これまでにないくらいクールで攻撃的でカッコいい曲にしたいです!」とお願いをしたんです。

ーーそのみあさんの気持ちを受け止めまくったのがこの曲だったんですね。優等生は女の子たちがメインになるので、かわいい曲がくるのかと思ったら、予想以上に激しかったです。

みあ:最初は、もっとゴリゴリのギターフレーズが効いていたんですよ。でも、アレンジが進む中で少し軽やかになっていきました。

イントロも、「カッコいいピアノのフレーズが印象的な曲にしてみたい」というお話をしたら、すごくテクニカルで難解な、でもカッコいいピアノのフレーズが考えてくださって、かなり気に入っています!

ーー少し話は逸れますが、自分の小説を元にして音楽を作るのは面白そうですね。小説を書き始めたのは2018年からだそうですが、小説を先に書く良さはどこにあるのでしょう?

みあ:まずは「伝えやすさ」というのがあります。やってみたときに描写で説明をするほうが温度感や色み、匂いとかも含めてより具体的に伝えやすいなという手応えがあったんです。やりとりも、小説が軸になっていたほうが、「なるほど! このシーンのここを切り取るのね」みたいな作曲家さんとのやり取りもスムーズにいくことが多かったので、自分で歌詞を書くときも小説から書くようになりました。

歌詞を書き始めたときは、頭の中に書きたいことがいっぱいあるけどすごく散漫としてて、どこをどう歌詞にすればいいのか分からなかったんです。でもそれを一度物語にすることで、書きたいことが自分の中で固まっていく感覚があったんです。そういうことが重なり、小説を軸に曲制作をしていくスタイルが、自分に合っているなと思ったんです。

ーー歌詞って入れられるワード数が限られているけど、5分前後しかない曲を聴いたとき、一本の映画を見たような感覚になるときがあるじゃないですか。だから実際に歌詞の裏側には映画が作れるくらいの物語があったりするんですよね。それを思い出しました。でも、小説を書くことで、書きたいことがまとまっていくという工程がない分、原作があるタイアップとは、少し方法が違うかもしれないですね。ちなみに歌詞では、物語のどこを切り取ろうと考えましたか?

みあ:最初に『魔法科高校の優等生』の原作漫画を読んだとき、何で(主人公の)深雪はお兄ちゃんのことがこんなに好きなんだろうと思ったんです。そこから『魔法科高校の劣等生』を含めていろいろ勉強をして、彼女の過去を知っていったんです。

そこから深雪の気持ちを自分の中で噛み砕いていったとき、やっぱり命を救ってもらったという強烈な過去があるからこそ、自分がお兄様のことを絶対に守りたいとか、一番近くで支えてあげたいという強くて熱い気持ちがあるんだと思ったので、その真っすぐな想いみたいなのは歌詞にしたいと思いました。

でも、それと同時に少女らしい素直になれないところ、本当はこう言いたいけどあまのじゃくになってしまう女の子らしい気持ちもあるので、そこをうまく織り交ぜられたら嬉しいですということはお伝えしました。

ーーそれを聞くと、みあさんの書く小説にも近いところはあるのかもしれないですね。

みあ:そうなんですよ! 三月のパンタシアは、言いたくても言えない切なさだったり、素直になれないあまのじゃくさみたいなことをずっとテーマにしてきているので、深雪もそういう思春期の女の子ならではの気持ちを抱えているんだなと思ったので、これは三月のパンタシアらしい曲に絶対になるなと思いました。

ーーそうやって完成した「101」だったんですね。

みあ:個人的には、2番のラップが気に入っているんですよ! でもアニメでは流れないかもしれないので、そこはフルで聴いてほしいところです!

ーーこのラップは勝手に体が動いちゃう、すごくノれるところですよね。

みあ:だと思います! ライブだったらみんな絶対踊りたくなると思います。