韓国の裁判所が30日、日帝強勢徴用被害者らが起こした損害賠償請求訴訟で、日本製鉄(旧新日鉄住金)の韓国国内資産に対する強制売却決定を下した。韓国の裁判所が日本の戦犯企業の資産売却命令を下すのは、これで2例目だ。
大邱地裁浦項支部の金玄浚(キム・ヒョンジュン)判事はこの日、強制徴用被害者のイ・チュンシクさん(97)など18人が「日本製鉄の韓国国内の資産を裁判所が代わりに売却してほしい」として起こした強制売却申請について、特別現金化命令(売却命令)を下した。これに先立ちイさんらは日本製鉄を相手取って損害賠償請求訴訟を起こし、大法院(最高裁に相当)は2018年に「日本製鉄は被害者らにそれぞれ1億ウォン(現在のレートで約968万円。以下同じ)を賠償せよ」と判決した。資産の強制売却は、この判決の後続措置に当たる。
同地裁浦項支部は、日本製鉄が持っている「POSCO-NIPPON STEEL RHF Joint Venture,Co.,Ltd.」(PNR)の株式のうち19万4749株(およそ9億7393万ウォン=約9424万円)について売却命令を下したという。PNRは製鉄の副産物をリサイクルする企業で、日本製鉄とポスコが共同で設立した。もし日本製鉄が直ちに抗告しなければ、裁判所の執行官が日本製鉄の持つ株式を売り、徴用被害者らに賠償金を分配することになる。
この判決に先立ち大田地裁も今年9月、日帝強制徴用被害者のヤン・グムドクさん(92)とキム・ソンジュさん(92)が戦犯企業の三菱重工業を相手取って起こした商標権および特許権の売却命令申請を受け入れ、資産の売却を命令した。三菱重工業は翌10月に即時抗告し、現在は抗告審が行われている。三菱重工業の一件は、抗告審・再抗告審(大法院)で「日本企業の韓国国内資産に対する売却は正当」という最終決定が出れば、売却が実際に執行される。この場合、韓日関係に大きな影響が及ぶ見込みだ。日本政府は、強制徴用賠償に関連する韓国国内の司法手続きは国際法違反だとする立場だ。
リュ・ジェミン記者