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 「国際ガールズデイ」の10月11日、バングラデシュの英字紙デイリースターが、児童婚について社説で採り上げた。世界でも児童婚が多いとされるバングラデシュで「児童婚根絶のための努力が必要だ」と、主張する。

(c) Tarikul Raana / Pexels

学校に戻ってこない女子児童たち

 「国際ガールズデイ」にあたって発表された統計によると、世界で250万人の子どもたちが未成年のうちに結婚しているという。社説は、「そのうち1万1000件は、残念ながらバングラデシュで起きている」と、指摘し、次のように述べる。
 「今年3月、国際連合児童基金(UNICEF)は、新型コロナによる学校の閉鎖や経済的な負担増、サービスの一時停止、両親の死去などによって、女の子たちの児童婚の危険性が以前よりも高まっていると警告した。特にわれわれバングラデシュは、この警告を真摯に受け止めなければならない。実際、バングラデシュでは9月から学校が再開されているが、教師たちは教室に戻ってこない女子児童が多くいることを認識している」

学校閉鎖で途絶えたコミュニケーション

 社説によれば、新型コロナの感染拡大前、バングラデシュは世界で4番目に児童婚が多い国だったと指摘し、その原因として「貧困」を挙げる。新型コロナの感染拡大によって、国内には1600万人とも2400万人ともいわれる新たな貧困層が生まれた。社説は、「コロナ禍によって貧困層が増大したことで児童労働や児童婚が増えているという事実を政府が認識していないのは、驚くべきことだ」と、批判する。
 同紙が報じた記事によると、教師たちは子どもたちが児童労働や児童婚の危機にさらされていないか学校でどのようにモニターすれば良いか、教育当局から何のガイドラインも渡されていないという。また、コロナ禍で学校が一時閉鎖され、教師と児童や生徒のコミュニケーションも途絶えがちになったこともあり、教師が児童の変化に一層気づきにくくなっているいという。
 「教育当局はなぜ、1年半にわたり教師たちに指導できなかったのか。学校閉鎖によってどのように児童婚や退学数の増加に影響したのか、具体的なデータはいまだに発表されていない」
 さらに社説は、教育を受けられない子どもほど、家庭内暴力や性的暴力の被害者になりやすいという研究があると指摘し、次のように訴える。
 「こうした被害を避けるために、政府は一刻も早く子どもたちを学校へ戻すべきだ。同時に、教育当局はコロナ禍によって児童婚が増えてしまった事実を認め、適切なモニタリングシステムを立ち上げ、児童婚の禁止法を実質的に適用すべきだ」
 コロナ禍によって学校が一時的に閉鎖されたことは、子どもたちの学習面だけでなく、生活環境、精神面にも多大な影響を与えた。しかし、バングラデシュに限らず、多くの国で、本格的な研究や、それに基づく政策が打ち出されていないのではないか。新型コロナの感染拡大が下火になっても、社会に残された課題はまだまだ多い。

 

(原文https://www.thedailystar.net/views/editorial/news/more-efforts-needed-stop-child-marriage-2195976)

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