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東京オリンピックの陸上男子100mは、31日夜に予選が行われ、日本の3人はいずれも予選で敗退しました。

男子100mは7組に分かれて予選が行われ、各組の上位3着までとタイムが上位の3人の合わせて24人が8月1日の準決勝に進出します。

日本からは史上最もレベルが高いといわれたことしの日本選手権を制した多田修平選手、ことし6月に9秒95の日本記録をマークした山縣亮太選手、日本歴代3位の9秒98の自己ベストを持つ小池祐貴選手の3人が出場しました。

まず1組に出場した多田選手は、ピストルの音に反応するリアクションタイムでこの組で1番速い「0秒130」と、持ち前の鋭いスタートを見せましたが、世界クラスの選手の中で抜け出すことができず、追い風0.2メートルの条件で10秒22のタイムにとどまり、この組の6着で予選敗退となりました。

3組に出場した山縣選手はまずまずのスタートでしたが、中盤以降ほかの選手がスピードを上げる中でペースが上がりきらず、追い風0.1メートルのなか、着順で準決勝進出が決まる3着の選手とは100分の3秒差の10秒15で4着に終わり、3大会連続の準決勝進出はなりませんでした。

そして4組に出場した小池選手は、レース中盤から後半にかけて加速し伸びのある走りを見せますが、10秒22のタイムで4着にとどまり、準決勝に着順で進める3着とのタイム差は100分の1秒と、わずかの差で準決勝進出を逃しました。

オリンピックの男子100mで日本の選手が準決勝に進めなかったのは、2004年のアテネ大会以来17年ぶりです。

多田「自分のレース全くできず」

予選敗退が決まった多田修平選手は「隣のレーンの選手がスタートから前に出て、力んでしまった。自分のレースが全くできず非常に悔しい」と振り返りました。

また、このあとのリレーに向けては「出場するのであれば、自分の役割をまっとうして走れればいい」と意気込んでいました。

小池「競り勝てると思ったが残念」

また、小池祐貴選手は「競り勝てると思ったが残念だ。できる準備はしてきたので、結果がこれだったらこれが実力だ」と振り返りました。

そのうえで「まだリレーもあるので、終わってみたら楽しかったといえる大会にしたい」と意気込んでいました。

山縣「まだまだ納得いっていない」

陸上男子100mで予選3組で4着となり、タイムでも上位に入れず、予選敗退が決まった山縣亮太選手は「すごく緊張した。3回目のオリンピックだが、いつもこういう大舞台は特別な気持ちがある」と振り返ったうえで、自身の走りについては「まだまだ納得いっていない部分ある」と話し、悔しさをにじませていました。

男子100m 突きつけられた厳しい現実

史上最高レベルと言われる日本短距離陣の激しい代表争いを制した山縣亮太選手、小池祐貴選手、多田修平選手の3人で挑んだ東京オリンピックの男子100m。

決勝進出という大きな目標を掲げましたが、その前に準決勝にすら進むことができませんでした。

日本陸上競技連盟の記録集を参考に過去の記録をさかのぼると、これまでに日本選手の多くが予選の壁に跳ね返されてきたことがわかります。

1932年のロサンゼルスオリンピックで吉岡隆徳が6位に入賞して以降、準決勝に進んだ日本選手は1964年東京大会と1968年メキシコ大会の飯島秀雄さん、1996年アトランタ大会の朝原宣治さん、2000年シドニー大会の伊東浩司さん、2008年の北京大会の塚原直貴さん、2012年ロンドン大会の山縣亮太選手、2016年のリオデジャネイロ大会の山縣選手、ケンブリッジ飛鳥選手の6人だけです。

1次予選、2次予選を経て準決勝だった時代と、予選のあとに準決勝が行われる今とでは方式の違いはありますが、決勝に挑むチャンスすら少なかったのがこれまでの日本陸上界です。

しかし、ここ数年、日本のレベルは急激に向上し、準決勝に進出するのは当たり前という雰囲気になっていました。

そこに突きつけられた全員予選敗退という厳しい現実。金メダルを目標に掲げる男子400mリレーに向けても、戦略の見直しが迫られる結果となりました。