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 江戸時代、大坂道頓堀には浄瑠璃をこよなく愛し優秀な作者を輩出させることで、その文化を後世に遺そうとした人々がいた。造り酒屋「松屋」の跡取り平三郎(絵師としての屋号は耳鳥斎)もその一人。そんな中、竹本座の看板浄瑠璃作者・近松半二とその娘おきみのもとには、浄瑠璃作者を目指し切磋琢磨する男たちが集っていた。後に歌舞伎作者へ転向する娼家のせがれ徳蔵も、最初はおきみを師と仰ぐ浄瑠璃作者で、彼女への秘めた恋心を抱いている。リズム感のある大阪弁のせりふが読後の余韻となる。