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Google App Engine アプリをコンテナ化し、Cloud Run で実行する
この記事は Google Cloud、デベロッパー アドボケート、Wesley Chun(@wescpy)による Google Developers Blog の記事 “Containerizing Google App Engine apps for Cloud Run” を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
任意の移行
Serverless Expeditions がお送りする動画ミニシリーズ Serverless Migration Station は、Google Cloud で実行しているアプリケーションを最新化し、サーバーレス コンピューティング プラットフォームに移行するデベロッパーをサポートすることを目的としています。これまでのエピソードでは、従来の古い App Engine(標準環境)サービスを、Cloud Datastore などの Google Cloud の新しい同等なスタンドアロン機能に移行する方法を紹介しました。今回のエピソードは、App Engine から完全に移行し、アプリをコンテナ化して Cloud Run で実行するという点で少し異なります。
ここ 10 年ほどで、業界がアプリケーションのデプロイ メカニズムとしてコンテナ化に向かっていることに、疑問の余地はほとんどありません。しかし、初期の App Engine デベロッパーは、のちに柔軟な環境が利用できるようになるまで、Docker やコンテナを使うことはできませんでした。現在のデベロッパーは、ますますオープンになっている Google Cloud からさまざまな選択肢を選択できます。Google は App Engine の長期サポートを表明しており、ユーザーにとってアプリのコンテナ化は必須ではないので、この移行は任意です。そのため、主にアプリのデプロイ戦略にコンテナ化を追加し、明示的に Cloud Run への移行を考えているデベロッパー向けの内容になります。
アプリのコンテナ化について考えている方のために、動画ではその主な理由について説明しています。開発言語やバイナリの利用など、従来のサーバーレスの制約を受けることはありません(柔軟性)。コード、依存関係、コンテナのビルドとデプロイの手順が変わらなければ、同じイメージを確実に再作成できます(再現性)。必要に応じて、アプリケーションを他の場所にデプロイしたり、動作していた以前のイメージにロールバックしたりすることができます(再利用性)。さらに、アプリをホストする場所には、さまざまな選択肢があります(移植性)。
移行とコンテナ化
従来の App Engine サービスは、バンドルされた一連の独自 API を通して利用します。ご想像どおり、このサービスは Cloud Run では利用できません。そのため、アプリをコンテナ化して Cloud Run で実行するには、その準備が整っている必要があります。これは、Google Cloud の同等なスタンドアロン機能か、他のサードパーティの代替機能に移行された状態を指します。たとえば、最近のエピソードでは、Datastore にアクセスするために、App Engine の ndb を Cloud NDB に移行する方法について説明しています。
このような移行の動画を公開し始めたのは最近のことですが、デベロッパーはすでにコードサンプルや Codelab チュートリアルにアクセスできるようになっており、さまざまな移行が行われています。今回の動画では、従来のサービスから切り離され、Cloud Run でコンテナ化する準備が整った Python 2 と 3 のサンプルアプリを紹介します。Datastore にアクセスする Python 2 App Engine アプリでは Cloud NDB を、Python 3 ユーザーは Cloud Datastore を使うことになるでしょう。これが移行の開始点になります。
ここで行うのは実行プラットフォームの切り替え「だけ」であるため、アプリケーション コード自体は変更しません。必要になる移行は、アプリの設定を App Engine から Cloud Run に変更することだけです。具体的には、app.yaml
、appengine_config.py
、lib
フォルダなどの App Engine アーティファクトは、Cloud Run で使うことはないため、削除します。また、コンテナをビルドするため、Dockerfile
を導入します。app.yaml
ファイルでこれよりも複雑な設定が行われているアプリでは、Cloud Run で同等の機能を持つ service.yaml
ファイルが必要になります。この場合、app.yaml を service.yaml に変換するツールを使うと便利です。ベスト プラクティスに従うなら、.dockerignore
ファイルも追加します。
App Engine と Cloud Functions はアウトソーシングのようなもので、Google Cloud が自動的に gunicorn
などのデフォルトの HTTP サーバーを提供します。Cloud Run では、ユーザーがコンテナ イメージを提供してサーバーにバンドルしなければならないので、もう少し自作度が高くなります。この場合、下のスクリーンショットのように、明示的に gunicorn
が選択され、既存の requirements.txt
に記載された必須パッケージ ファイルの最上部に追加されます。また、最後のステップとして gunicorn
を起動してアプリのサービスを開始する Dockerfile
も示しています。Python 2 の Dockerfile
との唯一の違いは、a)Cloud Datastore ではなく Cloud NDB パッケージ(google-cloud-ndb
)が必須である点と、b)Python 2 ベースイメージから始める点です。
Python 3 の requirements.txt
と Dockerfile
次のステップ
デベロッパーの皆さんに移行手順を説明するため、動作するアプリ(START)から始めて、必要なアップデートをし、最終的に動作するアプリ(FINISH)を完成させます。今回の移行では、Python 2 サンプルアプリの START は Module 2a のコードで、FINISH は Module 4a のコードになります。同じように、Python 3 アプリの START は Module 3b のコードで、FINISH は Module 4b のコードです。このようにすれば、移行がうまくいかなくても、いつでも START にロールバックしたり、自分のソリューションと FINISH を比較したりできます。自分のアプリケーションでこの移行を検討している方には、サンプルアプリで試してから、自分のアプリについて検討することをお勧めします。動画に加えて、順を追ってこのエクササイズについて説明する Codelab もあるので、ガイダンスとしてお使いください。
すべての移行モジュール、動画(公開されている場合)、Codelab チュートリアル、START と FINISH のコードなどは、移行リポジトリにあります。近いうちに、Java 8 などの以前のランタイムについても説明したいと考えているので、ご期待ください。Module 5 でも、引き続き App Engine から Cloud Run への移行について説明しますが、コンテナ、Docker、Dockerfile
についての知識がなくても大丈夫です。開発ワークフローを最新化し、コンテナと CI/CD パイプライン作成などのベスト プラクティスを活用することは、常に単純とは限りません。このようなコンテンツが、その方向に進む皆さんのお役に立つことを願っています。
Reviewed by Eiji Kitamura – Developer Relations Team<!—->