Google Chat で Webhook を使って非同期通知を提供する

この記事はデベロッパー アドボケート、Charles Maxson、戦略クラウド エンジニア、Justin Wexler による Google Developers Blog の記事 “Deliver asynchronous notifications in Google Chat using webhooks” を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。

Google Workspace がチーム コラボレーションの未来を再定義し、Google Chat のルームは Spaces へと進化している中で、現在のチャットルームですでに利用できる Webhook は、ユーザーが作業するチャットルームに直接非同期メッセージを提供できる便利な機能です。Chat の Webhook は、使いやすい機能で、Google Chat API を使ってユーザーと同期的に通信する専用のアプリケーションである Chatbot と違い、ボットではないアプリケーションで Google Chat への非同期メッセージングを実現します。この投稿では、Chat での Webhook の使い方について説明し、Google 内部で実際に使っているユースケースを紹介します。

Google Chat で Webhook を使う事例

Google Chat では、さまざまな目的でルーム(現在は Spaces)を作成して使用することができます。セールス サポートやカスタマー サービスといったトピックなど、テーマに沿ったルームもあれば、特定の部門や全社での会話のように、もう少し汎用的なルームもあります。しかし、こういったユースケースは、すべて人間の活動が中心になっています。そのため、これらへの依存が高まれば高まるほど、お互いのコミュニケーションにとって重要な方法になります。

Webhook を利用すると、他のシステムやアプリケーションから、ルームや会話のテーマに沿った最新の情報を導入できます。そのため、ルームのレベルが飛躍的に向上します。たとえば、セールス サポートのルームで Webhook を使うと、商談がまとまったタイミングや RFP の締め切りが近づいたタイミングで CRM システムからアラートをユーザーに通知できます。カスタマー サービスのルームで Webhook を使うと、リクエストに対して緊急のアラートを投稿し、チーム全体の注目を集めることができます。汎用的なルームで Webhook を使うと、部門のユーザーに今後の締め切りについて通知したり、株式市場の取引時間終了時に会社の株価を全社員に広く共有したりできます。Webhook を使うと、状況を問わず、効率的かつリアルタイムにデータや情報を提供できます。

Google での実際のユースケース

Google には、G Workspace Community という名前のチャットルームがあり、質問やプロダクト全体の最新ニュースを取得したい Google 社員同士や、Google Workspace のカスタマー チームとの交流に使われています。ご想像どおり、このルームは広く使われており、毎日たくさんの投稿や回答が行われています。特によく議論されるのは、リリースのタイミングに関する情報や、ロードマップでのステータスなど、新機能に関するトピックです。

Google では、Workspace の新機能が公開されるときに全員に周知できるように、Google Workspace Updates ブログの公開フィードも作成しています。G Workspace Community の全メンバーが Updates ブログも購読し、リリースされるすべての機能について最新情報を受け取れていると想定するのは論理的かもしれません。しかし実際は、G Workspace Community チャットルームが主要なリソースになっており、Google 社員はそこで Google Workspace の最新情報を取得しています。そのため、チャットルームにリリースについての質問を投稿する前にブログをチェックしてもらう代わりに、Google Workspace Community ルームに Google Workspace Updates フィードを持ち込むことにしました。これは、Google Chat の Webhook を使って簡単に実現できます。そして現在は、誰もが Google Workspace から簡単にすべての最新情報を取得できるようになっています。

Google Workspace Updates「ボット」の紹介

Updates ブログで Workspace の新機能についての投稿が公開されると、Google Workspace Updates「ボット」(内部的には、作成者の Justin Wexler にちなんで Google Wexbot と呼ばれています)がチャットルームに新しいスレッドを追加し、そこに投稿のタイトルとメイン コンテンツの最初の 250 文字を送信します。これにより、ルームのメンバーは新機能についてすばやく把握できるだけでなく、ブログの内容についてすぐに議論を始めることもできます。メンバーは、機能リリースについて質問したりコメントを追加したりできるので、はるかに高度なコラボレーション体験が実現します。また、[READ MORE] をクリックするだけで Updates ブログの全文を読むこともできます。

Google Workspace Updates ボットのイメージ

Webhook + Apps Script = 魔法

このような最新情報をタイムリーに受け取るコミュニティのメンバーにとって、この「ボット」は魔法のように思えるかもしれません。実際には、これは魔法でも従来型のチャットボットでもありません。そのため、Chat の UI でこれを「ボット」と呼ぶのは正しい表現ではありません。実は、Google Updates「ボット」は単純な Google Apps Script アプリケーションです。このアプリケーションは、新しい投稿の RSS フィードを解析し、Webhook 経由で非同期的にルームに送信します。

Apps Script は、一定の間隔で実行できるトリガー(すなわち cron ジョブ)を提供するので、このユースケースに適しています。この仕組みを利用して Updates ブログの新しい投稿をチェックし、投稿のフィード XML を解析し、UrlFetchApp を呼び出して待機している Webhook に Chat Card 形式で結果を返します。

Google Workspace Updates「ボット」の内部実装では、1 時間に 1 回 Apps Script トリガーが実行され、Update ブログの新しい投稿をチェックしています。さらに、プロジェクト自体がさほどコード量が多くない 1 つの Apps Script プロジェクト ファイルになっており、チャットルームの設定も簡単なうえ、実質的にメンテナンスの手間もかかりません。Justin がオリジナル バージョンを作るためにかけた時間は、たった数日でした。しかし、ユーザーにとっての価値は明らかだったため、作者にちなんだ名前が付けられることになったのです 😉

Google Workspace Updates「ボット」(通称 Wexbot)を自分のチャットルームに追加する

自分の Google Workspace Updates「ボット」を追加してみたい方や、他のユースケースを実現するために Apps Script を使って Webhook 経由で Google Chat に非同期メッセージを送る方法を知りたい方のために、GitHub でプロジェクトを公開しています。ぜひ確認して、実装してみてください。

Google Chat Updates Bot Project – GitHub

README | Apps Script Code.js

その他のリソース

Google Workspace の Chatbot や Webhook の詳細については、以下のリソースをご覧ください。

Google Workspace デベロッパー ニュースレターへの登録もお忘れなく!

Reviewed by Eiji Kitamura – Developer Relations Team<!—->