コロナ禍で休業手当の助成金が4兆円超
厚生労働省が、雇用保険料の引き上げの検討に入ることがわかった。
新型コロナウイルスの影響で、企業が従業員に支払う休業手当を助成する「雇用調整助成金」の給付決定額が4兆円を超え、財源が不足していることから、厚労省は雇用保険料の引き上げの検討に入る。
雇用保険は、仕事を失っても生活に困らないようにするための事業と雇用安定や能力開発の事業に大きく分けられていて、保険料は労使双方が支払い、一部には国費も充てられている。
具体的な引き上げ率は、2021年秋にも議論され、早ければ2022年の通常国会に雇用保険法の改正案を提出する方針。
負担増を嫌う企業による雇用の不安定化懸念も
Live News αでは、社員全員がリモートワークで働くスタートアップ・キャスター取締役CRO（Chief Remotework Officer）の石倉秀明さんに聞いた。
三田友梨佳キャスター：
雇用保険料の引き上げの検討に入るということですが、石倉さんはどうご覧になりますか？
キャスター取締役CRO・石倉秀明さん：
雇用保険は失業手当の財源としてなど、働く人のセーフティーネット的な役割もあるので、一定の引き上げは仕方ない部分もあると思いますが、やはり個人にとっては負担が増えるのは痛いところです。今回でいうと一番避けたいのは、負担が増えることを企業が嫌って、例えば、保険対象外の週20時間未満の方の雇用ばかりを増やしたり、ほぼ雇用と同じような働き方をしているのに、個人事業主契約を増やすなど、働く人にしわ寄せがいく懸念があると思います
三田友梨佳キャスター：
今後は雇用保険のあり方そのものを、時代に合わせて見直すことも考えた方がいいのかもしれませんね？
キャスター取締役CRO・石倉秀明さん：
もちろん、国の一般会計からの支出を増やしていただくのは必要だと思いますが、一方、保険適用対象を広げることも同時に検討するべきだと思います。例えば、週20時間未満で働く方や個人事業主や学生さんなども対象に加えることで、1000万人から1500万人ほど加入者が増えることになります。そうなると個人単位で見たときに、保険料を引き上げなくても財源をまかなえる可能性も出てくると思います。また、適用対象を広げることで、今、失業手当など対象になっていない非正規雇用の方とか、個人事業主の方などに対して、セーフティネットを拡充することもセットで実現できると思います
（「Live News α」7月28日放送分より）